[INTERVIEW] Big Thief


photo by Dustin Condren

4ADからリリースされ絶賛された前作『U.F.O.F.』からわずか半年足らずで、早くも今年2枚目となる新作『Two Hands』をリリースする4人組ロック・バンドBig Thief。ライブでも演奏されていない実験的な曲が多かった前作と比べると、既にライブで定番となっている曲を数多く収録した『Two Hands』は、極限まで無駄を削ぎ落とした、バンド本来の演奏が聴ける作品となっている。

そんなBig Thiefの核となっているのは、両親と共にインディアナ州のカルト集団から脱退し、15歳の時にシンガー・ソングライターとしてデビューしたというヴォーカル&ギターのAdrianne Lenkerが持つ、圧倒的なカリスマ性だ。しかし同時に、「彼女たちを見ていると、あの4人以外の誰かは必要じゃないような気がしてくる」とboygeniusのLucy Dacusが語るように、メンバーからはまるで血の繋がった家族のような、強い絆が感じられる。

新作のリリースにあたってバンドにインタビューする機会を得たのだが、Adrianneには雑誌『ミュージック・マガジン』の5月号でその生い立ちについて語ってもらったこともあり、今回はMega Bogの傑作『Dolphine』にも参加していた、ドラマーのJames Krivcheniaを指名。“天上と地上の双子”だという2枚のアルバムが出来るまでについて、エンジニアでもある彼ならではの視点で語ってくれた。


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[INTERVIEW] Velvet Crush



23年ぶりにオリジナル・メンバーでの活動を再開し、10月には東京・大阪でのライブも決定しているVelvet Crush

80年代からレコードを自主制作し、ファン主導による来日公演を行うなどDIYな活動を行ってきた彼らの、ノイジーなギター・サウンドと瑞々しいメロディーが融合した名曲の数々は、今も多くのポップ・ファンに愛されている。

来日公演を前にメールでインタビューに答えてくれたのは、ヴォーカル/ベースのPaul Chastain。バンドの現状報告から、96年のJeffrey Underhillの脱退の経緯、故Tommy Keeneの話など、いろいろな話を聞かせてくれた。

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[INTERVIEW] (Sandy) Alex G


photo by Tonje Thielsen

グリム童話の「ヘンゼルとグレーテル」には、お菓子の家の魔女に捕まった兄のヘンゼルを救い出す、勇敢な妹のグレーテルが登場する。一方、フィラデルフィアのシンガー・ソングライター(Sandy)Alex Gの「Gretel」という曲で歌われているのは、魔女に兄を殺させ、お菓子を貪り続ける身勝手な少女だ。

Frank Oceanの『Blonde』と『Endless』でギターを弾いていたことで一躍脚光を浴びたAlexが間もなくリリースする新作『House of Sugar』のタイトルもまた「ヘンゼルとグレーテル」を思わせるものだが、一般的には“House of Candy”と英訳されることの多いお菓子の家の“Candy”を、彼が“Sugar”に変えた理由は何だったのだろう。

実は古くから砂糖の精製で有名だったフィラデルフィアには、砂糖工場を改築した“SugarHouse”というカジノがあり、そこに時々通ってはルーレットに興じていたAlexは、そのカジノにちなんだタイトルをつけたのだという。そしてフィラデルフィアに実在する通りから命名された「Hope」という曲では、こんな風に歌われている。

 彼は僕の親友だった/彼は死んだ/どうして今更そのことを書くんだ?
 彼にどうにか敬意を表するため/その晩泣いている人たちを見た
 そう、フェンタニルは僕らから幾つかの命を奪った


ドラッグを暗喩する“Sugar”やギャンブルなど、甘い誘惑や欲望に負けてしまう人たちを描いた寓話とも言える本作について、Alexが話してくれた。


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[INTERVIEW] Girlpool



9月に待望の初来日が決定した、Cleo TuckerとHarmony TividadによるLAの2人組Girlpool

Cleo Tuckerのトランスジェンダーとしてのカミングアウトと、ホルモン療法による歌声の変化を経ての最新作『What Chaos Is Imaginary』は、2人がニューヨークとフィラデルフィアで別々に暮らしていた時期に書かれた楽曲を、バンド編成で再録したものだった。

パンキッシュなCleoの楽曲を、ドリーミーなHarmonyの楽曲が包みこむような本作で生まれ変わった彼らだが、今回のツアーは結成当時を思わせる、2人だけのスペシャルな編成で行われるという。来日を控えたCleoとHarmonyに、メールでインタビューを試みた。

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[INTERVIEW] Jay Som



フジロックでのステージも好評だったMelina Duterteのソロ・プロジェクトJay Somが、サード・アルバムとなる『Anak Ko』を、8月21日に日本先行でリリースする。

母親の生まれたフィリピンのタガログ語で“わたしの子”を意味する本作には、アルバムは自分が生んだ子供のようなものだという、彼女の想いが込められているという。本人曰く“Alanis MorissetteミーツCocteau Twins”だという「Superbike」や、Steve Reichの「18人の音楽家のための音楽」に影響を受けたという「Devotion」など、新境地を開いた新作について、エピソードを交えながら語ってくれた。

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[FEATURE] アイ・カンマ・アイ〜Bon Iverの最新作『i,i』についての覚え書き



予定より3週間も早く、昨日8月8日(∞∞)に急遽リリースされたBon Iverの新作『i,i』にジャーナリストのLaura Bartonが寄せたライナーノーツに、興味深い一文がある。

「Bon Iverのアルバムタイトルには必ずカンマが入る。つまりふたつの考えとふたつのものが存在するということ」

すなわち2008年のデビュー作『For Emma, Forever Ago』、2011年の『Bon Iver, Bon Iver』、2016年の『22, A Million』、そして今回の『i,i』だ。

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[INTERVIEW] Stella Donnelly


Ⓒ Taio Konishi

愛くるしいルックスと美しい歌声にパワフルなパフォーマンスで、フジロックフェスティバル'19、3日目のお昼のレッドマーキーを大いに沸かせたStella Donnelly

しかし、もしあなたがルックスだけで彼女を評価していたとしたら、それはナンセンスだ。満を持してリリースされたファーストアルバム『Beware of the Dogs』は、友人のレイプ被害の体験を基にし、#MeTooムーヴメントの代表曲として取り上げられる「Boys Will Be Boys」を始めとして、男女間の格差や故郷オーストラリアにおける人種差別など、彼女が世の中や社会に対して「これっておかしいんじゃない?」と思ったことを訴えかける内容になっている。

でも彼女は世界に絶望しているわけではない。くるくると表情を変え、笑いとユーモアを交えながらも冷静に自分自身の意見をはっきりと言う彼女に、音楽は世界を変えられるかもしれない、という希望が見えてくるだろう。

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[SONG OF THE DAY] Little Scream - Dear Leader



11月に来日が決まったArcade Fireのメンバー、Richard Reed ParryのパートナーでもあるLittle ScreamことLaurel Sprengelmeyerが、Sufjan StevensやOwen Pallettも参加した前作『Cult Following』から3年ぶりとなるニュー・アルバム『Speed Queen』を、10月25日にMergeからリリースします。

ツアーで回った北米の危機的状況について、カナダの貧しい家庭で育った彼女の視点から歌ったという本作のリード・トラック「Dear Leader」のミュージック・ビデオには、Richard Reed ParryやThe NationalのBryce Dessner、レーベル・オーナーであるSuperchunk(祝・来日!)のMac McCaughanらがカメオ出演。様々な人たちが歌詞の書かれたボードを掲げる、メッセージ性の強い内容になっています。ぜひ歌詞を読みながら聴いてみてください!
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[FEATURE] 10 Overlooked Albums of 2019 (So Far)



2019年も下半期に突入! Vampire WeekendやThe National、Weyes Bloodなど、今年もたくさんの話題作がリリースされていますが、今回はその中からMonchiconが「もっと注目されてもいいと思うアルバム」を、10枚選んで紹介したいと思います。


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