[INTERVIEW] Real Estate


photo: Jake Michaels

変わらないことが魅力のひとつだったニュージャージーのロック・バンドReal Estateにとって、3年ぶり5作目のアルバムとなる『The Main Thing』は、いくつかの大きな変化を捉えた作品だ。

ドラム・マシーンとストリングス・セクションを導入したオープニングの「Friday」や、前作から加入したギタリストのJulian Lynchが初めてリード・ヴォーカルを取るプログレッシヴな「Also A But」といった新機軸を含むバンドの挑戦心は、The WalkmenのMatt Barrickがパーカッションで、Sylvan EssoのAmelia Meathがコーラスで参加したリード・シングルの「Paper Cup」にも端的に表れている。

変わり続ける世界で、彼らが大切にしている“The Main Thing”とは一体何なのだろう。フロントマンのMartin Courtneyが語ってくれた。

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[FEATURE] Andy Shaufを知るための22の質問



先月ニュー・アルバム『The Neon Skyline』をリリースしたカナダのシンガー・ソングライター、Andy Shauf。その雄弁な楽曲とは裏腹に普段の口数は少なく、インタビューでも「ひとつの質問に対して一行しか答えない(ただし、機材の話題は除く)」という噂があるほどです。

案の定先日行ったメール・インタビューでも非常に簡潔な答えが返ってきましたが、そんな彼が先日、海外のコミュニティ・サイトRedditでファンからの質問に答える“AMA(Ask Me Anything)“という企画を実施していたので、そこからの回答も交えつつ、この寡黙なミュージシャンの謎を紐解いていきたいと思います!

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[INTERVIEW] Inhaler



The Murder Capital、Fontaines D.C.、whenyoungなど、今アイルランドの勢いある若手バンドが本国を飛び越え、イギリス、ヨーロッパでロック、パンク・ファンを熱狂させている。

その中でBBCの“Sound of 2020”にも選出され注目を浴びる若き新人Inhalerは、2018年に2曲入りのシングル「I Want You」をリリース。2019年には彼らが影響を受けたという80年代のマンチェスター・シーンを再構築した、瑞々しく疾走感ある青春ソング「Ice Cream Sundae」でメジャー・デビューを果たした。

デビュー・アルバムのリリース前にも関わらず、Noel Gallagher's High Flying Birdsなどの大物バンドの前座も務め、UK、ヨーロッパツアーの公演の多くがソールド・アウト。実はフロントマンでギター&ボーカルのElijah HewsonはU2のBonoの実の息子であり、大体的に書かれた記事のタイトルが嫌でも目を引くが、父親の名前を借りなくても実力は十分だろう。2月8日に初の東京公演を控えたバンドのベーシスト、Robert Keatingがメールで質問に答えてくれた。


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[INTERVIEW] Sandro Perri



1曲24分の大作「In Another Life」と、Andre Ethier(The Deadly Snakes)、Dan Bejar(Destroyer)とのメドレーによる「Everybody's Paris」という2曲のみで構成された2018年のアルバム『In Another Life』に続き、昨年早くも新作『Soft Landing』を届けてくれたカナダのシンガー・ソングライター、Sandro Perri

2011年の傑作『Impossible Spaces』からの7年の空白が嘘のように溢れ出してきたこの2枚のアルバムは、一体どのように生まれたのだろう? そこで行われたソングライティングにおける大胆な実験について、メールで話を聞いてみた。

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[REVIEW] Andy Shauf - The Neon Skyline

悲しき酒場の唄

“夜の9時を15分回った頃、僕はチャーリーをネオン・スカイラインに呼び出した。スツールを確保すると、僕のことをよく知っているローズは、何も聞かずに冷たい缶を開けて、目の前に置いてくれる。ありがとうと言うと、僕はジュディと一緒にここに来ていた頃のことを思い出していた──”

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[INTERVIEW] Pinegrove



ニュージャージーのロック・バンド、PinegroveがRough Tradeからリリースするニュー・アルバム『Marigold』のリード・トラックだった「Moment」では、ドライブの帰り道で動物を跳ねてしまい、狼狽する主人公の姿が歌われている。そしてアルバムの実質的なラスト曲である「Neighbor」に登場するのは、裏返っても立ち直ろうとする小さな昆虫や、家の前で車に轢かれてしまうフクロネズミ、冬越えをする途中で猟師に撃たれてしまう渡り鳥といった、愛すべき隣人たちだ。

奪う者と奪われる者、両方の視点から描かれた本作。バンドを取り巻く環境は変わったが、女性メンバーのNandi Plunkettのコーラスも、メンバーの父親が弾くペダル・スチールの優しい音色も、変わらずそこにある。黄色と青のモザイク模様のアートワークは、青の時代とも言える前作『Skylight』から、Pinegroveの原点であり、黄色いジャケットに包まれた初期音源集『Everything So Far』に回帰しようとしているかのようだ。

彼らのひとつのサイクルの終わりでもあり、始まりでもあるこのアルバムについて、フロントマンのEvan Stephens Hallが語ってくれた。


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[FEATURE] Monchicon's Best Albums of 2019



例年にない豊作だった2019年。その中からモンチコンが選んだ20枚のベスト・アルバムは、思いのほか海外のランキングとの親和性が高いものになりましたが、そのほとんどがサイトで紹介してきた作品なので、読者のみなさんにも納得してもらえるのではないでしょうか。なかには既に来日が決まっていたり、来日が噂される(?)アーティストもいるので、来るべき2020年を楽しみにしながら、今年を振り返ってみることにしましょう。

それではよいお年を!

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[INTERVIEW] Peter BroderickとTom Lee、Arthur Russellを語る



「多くの作品に見られる、フィナル・ミックスに対するラッセルの消極性は、どことなく美しさを感じさせるものである。演奏、収録、そしてミキシングは可能性の過程であり、すべての道程は抗い難い誘惑を伴っていたためにファイナル・ヴァージョンを決定するという作業──その曲が静止し、故にある種の死を経験する瞬間──はしばしば堪え難いほどに辛いものだった」(ティム・ローレンス著『アーサー・ラッセル ニューヨーク、音楽、その大いなる冒険』より)

ニューヨークを拠点に、現代音楽とニューウェーヴ、ディスコやカントリーを股に掛けた活動を続けたチェロ奏者のArthur Russell。しかしそんな気質が災いしたのか、1992年にエイズでこの世を去った後、彼の部屋には生前リリースされることのなかった、膨大な量のデモ・テープが遺されることになった。その未発表音源は、Tommy BoyのスタッフだったSteve Knutsonが設立したAudika Recordsによって管理され、これまで数作の発掘音源集としてリリースされてきたが、この度その音源の調査と修復を依頼されることになったのが、Arthur Russellの大ファンを自認するヴァイオリン奏者/シンガー・ソングライターのPeter Broderickだ。

それに先駆け、今年の1月にはPeterがArthurの楽曲をカバーした『Peter Broderick & Friends Play Arthur Russell』もリリースされたが、そこでいち早く取り上げられていた「Words Of Love」と「You Are My Love」の2曲を含む新たな未発表曲集『Iowa Dream』が、ここ日本でもリリースされることになった。そんなArthurについて、かつて彼のアルバム『World Of Echo』をリリースしたRough TradeのGeoff Travisはこう語る。

「繰り返し完成を先延ばしすることで、アーサーはいつの日か主流アーティストの仲間入りをする夢を抱き続けることができたのだろう」(同上)

Arthur Russellが抱き続けた夢とは、一体どんなものだったのだろう。『Iowa Dream』の音源の修復、編集とミックスを手掛けたPeterと、Arthurの生前最後のパートナーだったTom Leeが、プロジェクトについて語ってくれた。


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[INTERVIEW] Angel Olsen

photo by Cameron McCool

今から数年前、ミュージシャンとしての駆け出し時代を過ごしたシカゴから、恋人を追ってノースカロライナ州アッシュビルへとやってきたAngel Olsen

作家のトーマス・ウルフが生まれ、スコット・フィッツジェラルドの妻であるゼルダが入院したハイランド病院があるこの土地をAngelはいたく気に入っていたが、そんな彼女は前作『My Woman』のリリース後に“ほとんど離婚に近い状態だった”という別れを経験し、その経験をもとに完成したのが、最新作となる『All Mirrors』だ。

本作は当初簡素な弾き語りバージョンと、オーケストラをフィーチャーしたバージョンが対になった2枚組としてリリースされる予定だったが、Angel本人の意向から、まずはオーケストラ・バージョンのみがリリースされることになった。アルバムのオープニングを飾るのは、“まるで家が燃えているように聴こえる”というストリングスで始まる、壮大な「Lark」。この曲で幕を開けることで、本作は聴き手に、エンドシーンから始まる映画のような印象を与えてくれる。

そんなAngelはアッシュビルに留まり、昨年念願の一軒家を構えることになったが、彼女が住むことに決めたのは長年憧れていた瀟洒な豪邸ではなく、その向かいにある、慎ましやかな家だったという。それは鏡に映る自分と、本当の自分を対比したような本作のタイトルとも、奇妙に重なっていたのではないだろうか。すでに様々なメディアの年間ベストにも軒並み選出されているアルバムについて、電話で語ってくれた。

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[INTERVIEW] Metronomy


photo by Shinya Aizawa

新作『Metronomy Forever』を携え、サマーソニック'14以来5年ぶりの来日となったMetronomyの東京公演は、新旧譜から余すことなく演奏し、ライブ・バンドとしての彼らの集大成を見せた一夜だった。

新作のオープニング・ソングであるキラキラとした「Wedding」で幕を開け、同作からのファースト・シングル「Lately」に続いてバンドの代表曲である「The Bay」の美しいキーボードのイントロが始まると、観客席はダンスフロアへと変わった。途中、フロントマンのJoseph MountがMCで「日本の郊外にも行ってみたい、郊外や田舎の音を再現しよう」と呼びかけると、観客からは動物の鳴き真似が飛び交かい、ほんわかするような場面も。全員でパッと上を向いて宇宙と交信でもしているかのような(お揃いのジャンプスーツは宇宙服に見えなくもない)ダイナミックなシーンもあった。

ライブの後半ではキャッチーな「The Look」、叙情的な「Love Letters」といった彼らの代表曲の連発に、特に昔からのファンは、各々の当時の思い出と一緒にシンガロングしただろう。最後は“R.A.D.I.O. L.A.D.I.O.”と合唱の嵐。Metronomyよ、永遠に――と、バンドがステージを去った後も拍手が鳴り止まなかった。

そのライブ前、前作『Summer 08』から3年ぶりの新作について、Josephが語ってくれた。


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