[徹底討論]レコード・レーベルの役割とは何ぞや?
2009.11.19 (Thu)
npr Musicというサイトで、本ブログでもお馴染みのアメリカの主なインディ・レーベルの主宰者同士で「激動する音楽産業の中で、レコード・レーベルの役割とは一体何ぞや?」という主旨のチャットが催された模様です。興味深い内容だったので、一部を訳してみました(佐藤による拙訳ですので、大きな誤訳があったらご指摘下さい)。
■出席者
・Maggie Vail and Portia Sabin from Kill Rock Stars
・Gerard Cosloy from Matador
・Mac McCaughan from Merge
・Robb Nansel from Saddle Creek
・Chris Swanson and Darius Van Arman from Jagjaguwar/Secretly Canadian/Dead Oceans
Carrie Brownstein(司会)(以下CB):レーベルという立場から、この2000年代の最初の数年のことを思い返してみて、「あれ、何か変わったぞ??」って一番最初に思った瞬間っていつ?
Darius Van Arman(以下D):まぁ、言うまでもないけど2000年代の初め頃にiTunesが登場した時だね。
Portia Sabin(以下P):うん、私もそう言おうと思ってたの。iTunesはキャッシュフローに対する革命を起こしたと言える。それによってインディー・レーベルは通常、1年に4回支払いを受けることになったから。
D:世界中に流通させるために、立派なスーツを着た誰かさんに頼る必要もなくなったからね。
CB:それによって最初に得をしたレーベルはどこ?
Gerard Cosloy(以下G):Twin/Toneが極初期に全てのカタログをデジタル化したんじゃなかったっけ? あれは1923年にカラーTVが発明されたのと同じくらいの衝撃だったね。
CB:時代に追いついたなって思ったのはいつぐらい? 待っている間に何か失ったものはある?
Mac McCaughan(以下MM):Mergeは決して君の言うような「早期導入者」とは言えないね。
G:やっかいな問題だからね。最初はファイル・シェアリングに関しては大して脅威を感じてなかったんだ。その頃はまだネットの帯域や速度がそれほど大きくなかったから多くの人にとってはダウンロードの障害になっていた。でも、ブロードバンドが主流になった頃には・・・もう手遅れだった!
MM:Geraldの言うとおり。僕らはゆったり座って何が起こるのかを見ていた。そしたらこうなっちゃったんだ。
CB:ファイル・シェアリングはメジャー・レーベルと同じくらいインディ・レーベルにとっても重大な問題なの? ネットのリークや噂の広がりから恩恵を得たバンドはいないのかな?
G:最初の頃はたいていはその恩恵にあずかっていたよ。でもそれは数分でボックス・セットを丸ごとダウンロードできるようになる前の時代のことだけどね。
Portia Sabin(以下P):問題はその効果が測定不能だってことね。たぶん最初の頃はバンドにある程度の効果をもたらしていたと思うんだけど、今ではアーティストが違法ダウンロード抜きでどれだけの売り上げをあげたかを測定するのは不可能なのよ。
D:俺はまだアーティストにとっては有益なものになりえると思う。まぁ、損になろうが得になろうが、レーベルにとってはそれを判断するにはかなり厄介なものだけどね。
G:Dariusの言うとおり。自分はこの問題については一切リサーチをしていないんだ。でも、たぶん初期にダウンロードやアップロードをしていた人たちは、他の誰よりもレコードを買っていたハードコアな音楽バカたちなんだろうなって思うけどね。
CB:Gerald! 私はイギリスの誰かがこれについて研究したんじゃないかって思うの。だからあなたは正しいわ!
G:それから数年の内にファイル・シェアリングは主流になった・・・。そして若い世代のオーディエンスはレコード・ストアやレコード・レーベルといったものに対する愛情が薄くなってきている。
Maggie Vail(以下MV):それって明確な問題だと思う。インディー・レーベルはメジャー・レーベルのように腐敗したりはしていないっていうことをそろそろしっかりと社会レベルで認識してほしいと思うわ。でも、そういう動きはまだ起こってないみたいね。多くの人にとってレーベルはただレーベルでしかない。そしてレーベルというものはすべて悪なんだって思ってる。もしくはそういう風に理由付けているのよ。
G:もっと多くのインディ・レーベルがメジャーみたいに腐っていなければそういう動きも生まれるんじゃないかな。
MV:たしかにね!
G:自分は平均的なアメリカのティーンエイジャーたちがこういったことについて残念に思うとは期待してないんだ。っていうのは会社が潰れること(Wind Up)は彼らにとってはただ単に不快なだけだから(?)。Touch & Goがトラブルに見舞われたことに対して気の毒に思う子がいるかどうかも疑わしいよ。レーベルが担っている物に対して敬意を払ってくれる子なんて殆どいないんじゃないかな。
CB:今現在のレーベルの役割って何だと思う?
Chris Swanson(以下CS):文脈(Context)。
P:これまでと同じね。フィルターであり、銀行であり、プロモーションのためのマシーンでもある。そして、業界内におけるコネの源。
CB:私は自分に対する情報をキュレイトしてくれて、フィルタリングもしてくれるという意味で、レーベルはまだ有用だと思う。
MM:インターネットはあらゆる音楽に好きなようにアクセスすることが可能になった。そしてそれが問題なんだ。――もし、自分が何を探しているのかわからなかったから、それはまるで中古ショップでいいレコードを見つけようとしているようなものだ。だからPortiaが言ったように、レーベルっていうのはフィルターか、もしくは少なくともファンにとっての出発地点だと思う。
D:音楽を買っている人からレーベルには関心がないっていう話を何度も聞かされるんだよ。特に若者がね。
MV:それは本当ね。
CB:でも、人々がどのバンドがどのレーベルに所属しているかすら知らないなんて、何だかヘンじゃない?
D:そうだね。
G:おかしなことだし、悲しいよ。でも、興味をもってくれている活発なマイノリティはまだ存在しているけどね。
CB:10年前、人々はバンドが所属しているレーベルを基準にして音楽を買っていた。もしくは、逆にこのレーベルのバンドだからという理由でアルバムを買わないようにもしていた。
MV:まだそういう人はいると思うわ。昔ほど多くはないにしても。
MM:僕のレーベルのハードコアなファンはそういう事柄に対して関心をもっているよ。で、そういう音楽ファンをもっと増やすのが僕らの仕事でもあると思う。
D:僕の理想は――そしてレーベル・オーナーとしてみんなが望んでいると思うことは――ある程度のところまでは、キュレート(監督)というものが必要だということが明確になることだね。
CS:今の人々がレーベルを知らないっていうのが本当かどうかは僕にはわからないな。音楽オタクの人たちはレーベルを知っていると思うけど。
P:たぶんレーベルは今、文化的に辛い状況に立たされてしまっているんだと思うわ。誰もレーベルが何をしているかを知りたいとは思わない。ソーセージ工場のようなものだと思ってるのよ。長いキャリアを誇るバンドでさえもレーベルがしていることについて話すことはなかなかできない。
G:そうでなければHoZacもシングル・クラブなんて出来なかっただろうね。
MM:どうやら僕はレーベルに興味をもたない人間の内の一人だったようだ。HoZacって何だい?
CB:私も知らないわ。
G:じゃあググってみよう。
MM:GTS!
MV:http://www.hozacrecords.com/
MM:わかんないな。僕はバンドはレーベルに所属するものだと思う。というのは、少なくとも僕らが一緒に働いていたバンドの人々の殆どは音楽ファンだったからね。ベースボールのファンのように、今だけではなく過去の歴史に対する意識があったし、物事のこれまでの経緯のようなものにも興味があった。だから僕たちがニュージーランドを一番最初にツアーした時はFlying Nunで働いている人々に出会えて本当に興奮したよ。
CS:賛成。音楽ファンというものは、たとえカジュアルなファンにとっては難解なものに見えようが、もっと多くの情報を欲しがるものさ。
P:私はバンドがレーベルに属することは賛成よ。私はレーベルが何をしているかについて理解してくれている人々のことについて話しているの。なんというか、ある意味「半分意図的な不理解」のようなもの(無視?)が存在すると思うの。
CS:今じゃあレーベルは昔のようにスタジオを運営することもなくなっているからね。そのことが間違いなくレーベルの役割をあやふやなものにしてしまっている。
G:僕はこういう状況を想定しているんだ。ここ最近の人々(若者、老人、誰でも)は、40から50もの“お気に入り”のバンドを、ソーシャル・ネットワーキング上の自分のプロフィールの中で挙げることが出来る。たとえ、実際にリストに挙げたバンドの音源を一枚も持っていなかったとしてもね。ウェブ上には沢山のフリー・コンテンツが存在する(そしてそれらの多くはレーベル自身が費用を払って作られたものだ)。そして、いざ、バンドのライヴのチケットを買うか、アルバムを買うかという選択肢になった時、多くのファンはチケットを買うのさ。
MM:でもそれって平行線のことが起きてないか? Gerardがいう「所属するレーベルに対する知識のないお気に入りのバンド」と、「レコード・ストアによく行くような音楽オタク」。この二者は決して出会わないんじゃないかな。もしくはある時点でどこかで出会うのかな?
G:容量が満タンになったiPodをもってるやつが自分に「音楽オタク」っていうIDをつけるんだよ。
CB:私たちは今「つまみ食い」(Dabbling)の時代にいるのかしら?
G:つまみ食い? たしかにね。
MM:その通りだ。
G:それから人々の「興味の移り変わり」(?)(Churn Factor)も激しくなってきているね。最近は人々はお気に入りだと思ったものに対してあっという間に飽きてしまう。
MM:Mergeではある程度のところまでそういうことが起きていることは把握してはいるけれど、敢えて無関係だという態度をとっているよ。
CB:そういった「大衆の興味の移り変わり」に対して特に被害を被ったバンドっている?
G:敢えて「誰か」とは言いたくないね。でもセカンド・アルバムを作るバンドなら誰でもある程度そういった問題と戦わなくちゃいけない、ってことはいえるんじゃないかな。
P:たぶん、私たちは「何でも好き(I Like Everything)」っていう時代に生きているんじゃないかな。どんな曲でもラジオやiPodに落として聴くことが出来るっていう。それが大多数の音楽ファンなんじゃないかなって個人的に思うわ。
CS:満タンのiPodっていうのは、大衆の大部分がかつて60年代にしていたように、今音楽を消費しているっていうことを示している。つまりシングル主導型、もしくは曲主導型っていう感じのね。iPodによるジュークボックス文化のようなものだね。それも遍在性のとても高い。人々は今やバンドやアルバム、レーベルよりも曲の方に関心を持っているんだよ。
G:異議なし。
CS:もしその曲がグレイトなら、人々はそれを好きになるのさ。
MM:僕は曲は好きだよ。でもそういったトレンドは嫌いだな。
【ここでSaddlecreekのRobb Nanselが対談に加わる】
CS:多くの人々はいまだに曲だけじゃなくてもっと深く音楽を知ろうとしているけれどね。でも、これがセンス(Taste)の腐敗の兆候だとは思わないな。人々はいい曲に心を奪われているのさ。
P:でも、残念ながらそれが決してアーティストにとっては必ずしもキャリアに繋がるというわけでもないのよね。
MV:そうね。それって新しいことでもなんでもないわ。ただ今の私達の世界の中での出来事だってだけよ。
G:Portiaは正しいと思うよ。これまでにもそういう風に思う人が大多数だったと思う。でも今の状況とこれまでとの違いは、誰かを違う考え方へと導くような「文化的なおせっかい」(ちょんちょん=Nudge-Nudge)というものは最早なくなってしまったってことだね。
MV:そうね。
G:メインストリームのレヴェルではなくてね。
D:今ってさ、音楽ファンが新しい音楽を誰よりも早く発見することを誇りに思っていて、実際の音楽の中身よりもそのことに対して興奮しているんじゃないかって感じたりしない?
CB:Darius、私はそういう人は常にいると思うわ。そういう人ってよくレコード・ストアで働いているのよね。
MV:そうね。もちろん、それは今までもこの先もずっとそうなんだろうって思う。私はワシントンのオリンピアでみんながリリース日の一ヶ月前に『Nevermind』のテープを持っていたことを覚えているわ。
G:僕は誰かからMatadorの発売前のコンピに対して批判されたことがあったよ。そのコンピは(発売日前にプロモーションのために関係者に送る)アドヴァンス・テープすらもまだ作ってなかったというのにね。それなのに彼はそのコンピを全部聴いていたんだ。魔法みたいだね。たぶん、彼は嘘をついていたんだと思うけど、でも問題はそこじゃないよね。
D:僕はそういう人々の一人だったのかもしれないな。Roy Montgomeryのレアな7インチを苦労して手に入れたんだ。この音源を手に入れることがとても難しいからってだけの理由でね。若い頃の僕はなんてバカだったんだろうと思うよ。
G:存在しないレコード/バンドをでっちあげて、みんなが興奮する様を見るのは楽しいことなんじゃないかな。一方で、既に存在する何かを人々に聴かせようとするのはそんなに楽しくない。みんな飽きてしまうからね。
(続く?)
Darius Van Arman(以下D):まぁ、言うまでもないけど2000年代の初め頃にiTunesが登場した時だね。
Portia Sabin(以下P):うん、私もそう言おうと思ってたの。iTunesはキャッシュフローに対する革命を起こしたと言える。それによってインディー・レーベルは通常、1年に4回支払いを受けることになったから。
D:世界中に流通させるために、立派なスーツを着た誰かさんに頼る必要もなくなったからね。
CB:それによって最初に得をしたレーベルはどこ?
Gerard Cosloy(以下G):Twin/Toneが極初期に全てのカタログをデジタル化したんじゃなかったっけ? あれは1923年にカラーTVが発明されたのと同じくらいの衝撃だったね。
CB:時代に追いついたなって思ったのはいつぐらい? 待っている間に何か失ったものはある?
Mac McCaughan(以下MM):Mergeは決して君の言うような「早期導入者」とは言えないね。
G:やっかいな問題だからね。最初はファイル・シェアリングに関しては大して脅威を感じてなかったんだ。その頃はまだネットの帯域や速度がそれほど大きくなかったから多くの人にとってはダウンロードの障害になっていた。でも、ブロードバンドが主流になった頃には・・・もう手遅れだった!
MM:Geraldの言うとおり。僕らはゆったり座って何が起こるのかを見ていた。そしたらこうなっちゃったんだ。
CB:ファイル・シェアリングはメジャー・レーベルと同じくらいインディ・レーベルにとっても重大な問題なの? ネットのリークや噂の広がりから恩恵を得たバンドはいないのかな?
G:最初の頃はたいていはその恩恵にあずかっていたよ。でもそれは数分でボックス・セットを丸ごとダウンロードできるようになる前の時代のことだけどね。
Portia Sabin(以下P):問題はその効果が測定不能だってことね。たぶん最初の頃はバンドにある程度の効果をもたらしていたと思うんだけど、今ではアーティストが違法ダウンロード抜きでどれだけの売り上げをあげたかを測定するのは不可能なのよ。
D:俺はまだアーティストにとっては有益なものになりえると思う。まぁ、損になろうが得になろうが、レーベルにとってはそれを判断するにはかなり厄介なものだけどね。
G:Dariusの言うとおり。自分はこの問題については一切リサーチをしていないんだ。でも、たぶん初期にダウンロードやアップロードをしていた人たちは、他の誰よりもレコードを買っていたハードコアな音楽バカたちなんだろうなって思うけどね。
CB:Gerald! 私はイギリスの誰かがこれについて研究したんじゃないかって思うの。だからあなたは正しいわ!
G:それから数年の内にファイル・シェアリングは主流になった・・・。そして若い世代のオーディエンスはレコード・ストアやレコード・レーベルといったものに対する愛情が薄くなってきている。
Maggie Vail(以下MV):それって明確な問題だと思う。インディー・レーベルはメジャー・レーベルのように腐敗したりはしていないっていうことをそろそろしっかりと社会レベルで認識してほしいと思うわ。でも、そういう動きはまだ起こってないみたいね。多くの人にとってレーベルはただレーベルでしかない。そしてレーベルというものはすべて悪なんだって思ってる。もしくはそういう風に理由付けているのよ。
G:もっと多くのインディ・レーベルがメジャーみたいに腐っていなければそういう動きも生まれるんじゃないかな。
MV:たしかにね!
G:自分は平均的なアメリカのティーンエイジャーたちがこういったことについて残念に思うとは期待してないんだ。っていうのは会社が潰れること(Wind Up)は彼らにとってはただ単に不快なだけだから(?)。Touch & Goがトラブルに見舞われたことに対して気の毒に思う子がいるかどうかも疑わしいよ。レーベルが担っている物に対して敬意を払ってくれる子なんて殆どいないんじゃないかな。
CB:今現在のレーベルの役割って何だと思う?
Chris Swanson(以下CS):文脈(Context)。
P:これまでと同じね。フィルターであり、銀行であり、プロモーションのためのマシーンでもある。そして、業界内におけるコネの源。
CB:私は自分に対する情報をキュレイトしてくれて、フィルタリングもしてくれるという意味で、レーベルはまだ有用だと思う。
MM:インターネットはあらゆる音楽に好きなようにアクセスすることが可能になった。そしてそれが問題なんだ。――もし、自分が何を探しているのかわからなかったから、それはまるで中古ショップでいいレコードを見つけようとしているようなものだ。だからPortiaが言ったように、レーベルっていうのはフィルターか、もしくは少なくともファンにとっての出発地点だと思う。
D:音楽を買っている人からレーベルには関心がないっていう話を何度も聞かされるんだよ。特に若者がね。
MV:それは本当ね。
CB:でも、人々がどのバンドがどのレーベルに所属しているかすら知らないなんて、何だかヘンじゃない?
D:そうだね。
G:おかしなことだし、悲しいよ。でも、興味をもってくれている活発なマイノリティはまだ存在しているけどね。
CB:10年前、人々はバンドが所属しているレーベルを基準にして音楽を買っていた。もしくは、逆にこのレーベルのバンドだからという理由でアルバムを買わないようにもしていた。
MV:まだそういう人はいると思うわ。昔ほど多くはないにしても。
MM:僕のレーベルのハードコアなファンはそういう事柄に対して関心をもっているよ。で、そういう音楽ファンをもっと増やすのが僕らの仕事でもあると思う。
D:僕の理想は――そしてレーベル・オーナーとしてみんなが望んでいると思うことは――ある程度のところまでは、キュレート(監督)というものが必要だということが明確になることだね。
CS:今の人々がレーベルを知らないっていうのが本当かどうかは僕にはわからないな。音楽オタクの人たちはレーベルを知っていると思うけど。
P:たぶんレーベルは今、文化的に辛い状況に立たされてしまっているんだと思うわ。誰もレーベルが何をしているかを知りたいとは思わない。ソーセージ工場のようなものだと思ってるのよ。長いキャリアを誇るバンドでさえもレーベルがしていることについて話すことはなかなかできない。
G:そうでなければHoZacもシングル・クラブなんて出来なかっただろうね。
MM:どうやら僕はレーベルに興味をもたない人間の内の一人だったようだ。HoZacって何だい?
CB:私も知らないわ。
G:じゃあググってみよう。
MM:GTS!
MV:http://www.hozacrecords.com/
MM:わかんないな。僕はバンドはレーベルに所属するものだと思う。というのは、少なくとも僕らが一緒に働いていたバンドの人々の殆どは音楽ファンだったからね。ベースボールのファンのように、今だけではなく過去の歴史に対する意識があったし、物事のこれまでの経緯のようなものにも興味があった。だから僕たちがニュージーランドを一番最初にツアーした時はFlying Nunで働いている人々に出会えて本当に興奮したよ。
CS:賛成。音楽ファンというものは、たとえカジュアルなファンにとっては難解なものに見えようが、もっと多くの情報を欲しがるものさ。
P:私はバンドがレーベルに属することは賛成よ。私はレーベルが何をしているかについて理解してくれている人々のことについて話しているの。なんというか、ある意味「半分意図的な不理解」のようなもの(無視?)が存在すると思うの。
CS:今じゃあレーベルは昔のようにスタジオを運営することもなくなっているからね。そのことが間違いなくレーベルの役割をあやふやなものにしてしまっている。
G:僕はこういう状況を想定しているんだ。ここ最近の人々(若者、老人、誰でも)は、40から50もの“お気に入り”のバンドを、ソーシャル・ネットワーキング上の自分のプロフィールの中で挙げることが出来る。たとえ、実際にリストに挙げたバンドの音源を一枚も持っていなかったとしてもね。ウェブ上には沢山のフリー・コンテンツが存在する(そしてそれらの多くはレーベル自身が費用を払って作られたものだ)。そして、いざ、バンドのライヴのチケットを買うか、アルバムを買うかという選択肢になった時、多くのファンはチケットを買うのさ。
MM:でもそれって平行線のことが起きてないか? Gerardがいう「所属するレーベルに対する知識のないお気に入りのバンド」と、「レコード・ストアによく行くような音楽オタク」。この二者は決して出会わないんじゃないかな。もしくはある時点でどこかで出会うのかな?
G:容量が満タンになったiPodをもってるやつが自分に「音楽オタク」っていうIDをつけるんだよ。
CB:私たちは今「つまみ食い」(Dabbling)の時代にいるのかしら?
G:つまみ食い? たしかにね。
MM:その通りだ。
G:それから人々の「興味の移り変わり」(?)(Churn Factor)も激しくなってきているね。最近は人々はお気に入りだと思ったものに対してあっという間に飽きてしまう。
MM:Mergeではある程度のところまでそういうことが起きていることは把握してはいるけれど、敢えて無関係だという態度をとっているよ。
CB:そういった「大衆の興味の移り変わり」に対して特に被害を被ったバンドっている?
G:敢えて「誰か」とは言いたくないね。でもセカンド・アルバムを作るバンドなら誰でもある程度そういった問題と戦わなくちゃいけない、ってことはいえるんじゃないかな。
P:たぶん、私たちは「何でも好き(I Like Everything)」っていう時代に生きているんじゃないかな。どんな曲でもラジオやiPodに落として聴くことが出来るっていう。それが大多数の音楽ファンなんじゃないかなって個人的に思うわ。
CS:満タンのiPodっていうのは、大衆の大部分がかつて60年代にしていたように、今音楽を消費しているっていうことを示している。つまりシングル主導型、もしくは曲主導型っていう感じのね。iPodによるジュークボックス文化のようなものだね。それも遍在性のとても高い。人々は今やバンドやアルバム、レーベルよりも曲の方に関心を持っているんだよ。
G:異議なし。
CS:もしその曲がグレイトなら、人々はそれを好きになるのさ。
MM:僕は曲は好きだよ。でもそういったトレンドは嫌いだな。
【ここでSaddlecreekのRobb Nanselが対談に加わる】
CS:多くの人々はいまだに曲だけじゃなくてもっと深く音楽を知ろうとしているけれどね。でも、これがセンス(Taste)の腐敗の兆候だとは思わないな。人々はいい曲に心を奪われているのさ。
P:でも、残念ながらそれが決してアーティストにとっては必ずしもキャリアに繋がるというわけでもないのよね。
MV:そうね。それって新しいことでもなんでもないわ。ただ今の私達の世界の中での出来事だってだけよ。
G:Portiaは正しいと思うよ。これまでにもそういう風に思う人が大多数だったと思う。でも今の状況とこれまでとの違いは、誰かを違う考え方へと導くような「文化的なおせっかい」(ちょんちょん=Nudge-Nudge)というものは最早なくなってしまったってことだね。
MV:そうね。
G:メインストリームのレヴェルではなくてね。
D:今ってさ、音楽ファンが新しい音楽を誰よりも早く発見することを誇りに思っていて、実際の音楽の中身よりもそのことに対して興奮しているんじゃないかって感じたりしない?
CB:Darius、私はそういう人は常にいると思うわ。そういう人ってよくレコード・ストアで働いているのよね。
MV:そうね。もちろん、それは今までもこの先もずっとそうなんだろうって思う。私はワシントンのオリンピアでみんながリリース日の一ヶ月前に『Nevermind』のテープを持っていたことを覚えているわ。
G:僕は誰かからMatadorの発売前のコンピに対して批判されたことがあったよ。そのコンピは(発売日前にプロモーションのために関係者に送る)アドヴァンス・テープすらもまだ作ってなかったというのにね。それなのに彼はそのコンピを全部聴いていたんだ。魔法みたいだね。たぶん、彼は嘘をついていたんだと思うけど、でも問題はそこじゃないよね。
D:僕はそういう人々の一人だったのかもしれないな。Roy Montgomeryのレアな7インチを苦労して手に入れたんだ。この音源を手に入れることがとても難しいからってだけの理由でね。若い頃の僕はなんてバカだったんだろうと思うよ。
G:存在しないレコード/バンドをでっちあげて、みんなが興奮する様を見るのは楽しいことなんじゃないかな。一方で、既に存在する何かを人々に聴かせようとするのはそんなに楽しくない。みんな飽きてしまうからね。
(続く?)

