ルーズ・フィット

 『タイト・ニット』なんてタイトルが付けられているけれど、ゆるゆるの聴き心地。Vetiverの通算4枚目のSub Popからのフル・アルバムは相変わらずいい感じに力の抜けた味わい深いフォーク・ソングが詰まった好アルバム。
 Sub Popにはいわゆる「フォーク部門」みたいなところがあって、昔でいうとBeachwood SparksやPernice Brothers、最近で言うとお馴染みFleet Foxes、Daniel Martin Mooreあたりがその系列に属する。で、その中にVetiverが今回加わったのはとても自然な流れのようにも思える。PerniceとBeachwoodの両方のデビュー作を手掛けた熟練プロデューサーThom Monahanが本作を担当、また元Beachwoodの"Farmer" Dave Sherも参加しているのがまたそんな思いに拍車をかける。

 Vetiverの魅力は「決して急がないこと」にあると思う。本作に共通するのはゆったりとした時間軸の流れと、どこかほんのりとレイドバックしたまどろみの気配。Andy Cabicの(Beachwood SparksのヴォーカルChris Gunst譲りの)寂しげな声質とバックのマイルドなサウンドメイクとの相性は、まるで寒い日の夜にコタツにあたりながら暖か〜いココアをまったりと飲んでる時の気分に近い(ベタなたとえでスミマセン)。

 かといって、レイドバックしすぎてダレることもない。「Everyday」や「More Of This」のようなポップで人懐っこい面も兼ね備えていて、絶妙なさじ加減のバランス感が終始保たれている。このいい意味での「中庸さ」こそがVetiverの最大の魅力だ。だから、友人のDevendra Banhartのような唯一無比のエキセントリックさや、Fleet Foxesのような壮大なスケール感のようなものはない代わりに、いつ聴いても安心して自分の世界の中にすっと無理なく溶け込んでくる柔らかい音がここにはある。隠し味的に潜んでいるサイケデリア(「Strictly Rule」や「At Forest Edge」など)の香りがまた魅力的で、いつの間にか再び再生ボタンを押している自分にふと気がつく。

 なお、Andy Cabicは将来録音されるvashti Bunyanの新作のプロデュースを担当する予定だという。なるほど、彼に任せれば間違いはないだろう。

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