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Larkin Grimm - Parplar
地球に生まれてよかった

だって地球には海があって、空には太陽が輝いていて、おまけに喉が渇いたら、水を飲んで潤すことだってできるんだから!

と、テンションが上がってスケールの大きなことを口にしてしまいましたが、本作はそのぐらい素晴らしい、太陽と海のアルバムです。
評価:
Young God Records
(2008-10-28)

まずはこのLarkin Grimmという女性の、世にも数奇な生い立ちをご紹介しましょう。メンフィスでフィドル奏者の父親とシンガーの母親のもとに生まれた彼女は、6歳になるとジョージア州北部のアパラチアン山脈に属するブルー・リッジ・マウンテン(Fleet Foxesも曲にしていましたね)に移り住み、雄大な自然の中で、文字通り野生児として育ちます。その後、コカコーラの運営する全寮制学校からの奨学金で名門Yale大学に進学するも、スノッブな雰囲気に馴染めずドロップ・アウト。単身放浪の旅に出掛けた彼女は、タイでマッサージを学びながらストリッパーの女性と親しくなったり、グアテマラをヒッチハイクしたりしながら、最終的にはアラスカでのたれ死にかけていたところを、チェロキーの血を引く女性に助けられます。その女性に連れられていったワシントン州オリンピアのコミューンでスピリチュアルな生活を送りながら、次第に唄うことの楽しさに気づいていったという彼女は、やがてYaleに復学。そこで出会ったDave Longstrethのバンド、Dirty Projectorsのツアーに参加し、本格的に音楽の道を歩み始めることになります。そしてこれまでに『Harpoon』、『The Last Tree』という2枚のアルバムをリリースしてきた彼女が、Young Godに移籍して発表するのが本作『Parplar』です。
 
プロデュースを手掛けているのは、レーベル・オーナーでもあるSwansのMichael Gira。LarkinはJean Ritchieなどで知られる民族楽器マウンテン・ダルシマーの名手でもあり、そんな彼女の唄と演奏が堪能できるこれまでのシンプルな作品も素晴らしかったのですが、レーベル・メイトのFire on Fireが全面的に参加した本作ではアレンジの色彩が豊かになり、Devendra Banhartの『Cripple Crow』にも通じる、見事な咲き乱れっぷりを披露しています。

ジプシー風のブラスが怪しげなムードを醸し出すタイトル曲から、Iron & Wineの「Naked As We Come」によく似たオープン・チューニングによるギター弾き語りのバラード「Be My Host」、ヴァイオリン、バンジョー、ハーモニカなどが加わったジャグ・バンド風の「Fall On My Knees」まで。その響きはどこまでもオーガニックで、「Anger In Your River」では、遠くから鳥のさえずりまで聞こえてきます。
 
Larkinは曲によって声色を自在に使い分けていますが、ハスキーな地声はチェロキーの血を引く女性フォーク・シンガー、Karen Daltonを思わせるものがあり、彼女が60年代後半の(実際に交流もあった)Holy Modal RoundersやIncredible String Bandに加入していたら、こんなサイケデリックで祝祭的な音楽を奏でていたかもしれません。
 
印象的なアートワークはLarkinと同じYale出身の女性画家、Lauren Beckによるもの。トカゲにしろキノコにしろ、毒を持っているもののほうが見た目が鮮やかだと言われていますが、命取りになるとわかっていてもその尻尾を捕まえずにはいられない、不思議な魅力と美しさを持った作品です。現時点で間違いなく今年のベスト。

MySpace - Larkin Grimm
Posted by 清水祐也
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