2018年のジャパン・ツアーも記憶に新しい、カナダはモントリオール出身のドリーム・ポップ・バンドTOPS。そのツアーでも披露していた新曲をタイトルに冠し、前作に続いてBeach House作品で知られるChris Coadyがミックスを手掛けたニュー・アルバム『I Feel Alive』が、バンドの自主レーベルであるMusique TOPSからリリースされた。

彼ら特有のメランコリックなバラードも健在で、“ポップになった”という捉え方にはメンバーも抵抗があるようだが、それでも冒頭の「Direct Sunlight」や、ABBAやFleetwood Macすら思わせるタイトル曲に漂うポジティヴなムードは、リスナーに春の訪れと、生きる喜びを感じさせてくれることだろう。

自身のポートレートがジャケットを飾る本作について、現在はベルリンで暮らしているというヴォーカルのJane Pennyが答えてくれた。



いつもタイトでキャッチーなアレンジを心掛けていて
それがロックかポップかは重要じゃないの


──2018年の日本ツアーはいかがでしたか? 何か買ったものはありました?

日本を回るツアーは本当に素晴らしくって、松本にも行ったんだけど、山間部の町を訪れるのは初めてだったから、特別な気がした。そこに住んでいたアーティストやミュージシャンのグループに迎えられたんだけど、みんな私たちに良くしてくれたの! 共演したバンドのひとつ、Her Braidsがテープをくれたんだけど、いまだによく聴いてる。旅行中に買ったものを思い出せないけど、ゲーム・センターのUFOキャッチャーで獲った大きな猫のぬいぐるみを、アジア・ツアーと世界中に連れていって、ベルリンの私のアパートに持ち帰ったの。カトーっていう名前をつけて、今でも一緒に住んでるのよ。

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──アルバムの一部は前作まで所属していたカナダのArbutus Recordsで録音されているそうですが、どうして自主レーベルを始めたのでしょう?

Arbutus Recordsはモントリオールから出てきたアーティストにとってすごく重要なレーベルだし、今でもわたしたちのマネージャーとして彼らと仕事していることは誇りに思うけど、フル・バンドとして活動して世界をツアーするのには経費がかかるし、特にあなたが人生の新しいステージに移ろうとしているなら、そのプロジェクトを維持するのは難しくなってしまう。わたしたちはArbutusのサポートを受けながら自主レーベルを始めることを決めたんだけど、それはバンドとして成長しながら、この変動の時期に夢を追うためにベストだったから。

──今回のアルバムのほとんどはモントリオールで録音されているそうですが、前作のレコーディング当時に住んでいたロサンゼルスから戻ったのですか?

わたしと(ギターの)Davidは2017年にモントリオールに戻って、それからわたしは2018年にベルリンに引っ越したの。(ドラムの)Rileyはわたしたちが一緒に借りていたカリフォルニア州グレンデールの家に残って、いまでも奥さんと一緒にそこに住んでるわ。美しい庭とたくさんの植物があって、訪れるたびにキレイになってるし、いまでもツアーのためにガレージで練習したりするのよ。LAにいるのは好きだけど、Davidはもっと東海岸の人間なの。彼はいろんなものが密集していて、ショウに行ったり、食べ物を買うのに車を運転する必要のない便利な場所が好きで、今ではモントリオールに自宅兼スタジオを作ったから、他の場所で暮らすなんて想像できないわ。

──新メンバーのMarta Cikojevicの加入は、新作に何をもたらしてくれましたか?

Martaはとても直感的なキーボード・プレイヤーだし、一見スムースだけど、少し複雑で充実したハーモニーに対する似たような好みを持っていたから、TOPSにはすぐにハマったわ。彼女はこのアルバムで、「Direct Sunlight」のイントロのようにとてもリズミックなパートを書いてくれたの。自分では書けなかったようなパートだけど、本当に気に入ってるわ。それに彼女にキーボードのパートを弾いてもらうことで、わたしがメロディーやアレンジに集中して、自分の初恋の楽器だったフルートをたくさん吹けるようになったのも素晴らしいわね。



──前作『Sugar At The Gate』に続いて本作もChris Coadyがミックスを手掛けていますが、彼に頼んだのはなぜですか? 彼の手掛けた作品で好きなものはありますか?

Chris Coadyは、『Sugar at the Gate』で作業するにあたって私たちにアプローチしてくれたんだけど、彼がわたしたちのサウンドの本質を失うことなく、録音の質を上げてくれたことにとても感銘を受けたわ。彼はミックスに熟練していて、信じられない微細な部分にまでこだわりながらも、音楽を美しく感じさせることについて自覚的なの。彼が手掛けたBeach Houseの作品は好きだけど、正直に言うなら一番印象的だったのは、The Yeah Yeah Yeahsの「Maps」ね! これだけの年月が経っても色褪せてないわ!

──モントリオールはフランス語圏でもありますが、「Drowning in Paradise」にフランス語のパートを入れたのはなぜですか? 好きなフランス語の曲があれば教えてください。

自分たちの曲にスポークン・ワードを入れようと何度も試してたんだけど、満足するようにはいかなくて、いつも消してしまっていたの。この曲は自分にとってフレンチ・ニュー・ウェーヴっぽい感じがあったから、フランス語で喋るっていうアイデアが浮かんだんだけど、フランス語のほうが響きが良かった。フランス語圏の人たちの耳にも問題ないことを祈ってるわ! わたしが好きなフランス語の曲はヴァネッサ・パラディの「Marilyn & John」、デザイアレスの「Voyage Voyage」とミレーヌ・ファルメールの「Desenchantee」ね。



──この曲に入っている犬の鳴き声はCat Stevensの「Was Dog A Doughnut」を思わせるのですが、意図的だったんでしょうか?

ワオ! これってクレイジーね。実を言うとこの曲を聴いたことは一度もなかったんだけど、あなたは完全に正しいわ! 本当にそっくり。あの犬の鳴き声はお遊びで、作業中に笑える内輪ネタとして入れたの。そしたらうまくいったから、そのまま残すことにしたのよ。



──ライヴでPretendersの「Brass In The Pocket」をカバーしていましたが、本作のポップな方向性に影響を与えたのは何だったのでしょう?

このアルバムがポップな方向にあるかどうかは確かじゃないし、少なくともわたしたちの狙いではなかったわ。感じられるほどの変化はなかったし、わたしたちの意図は変わってなかった。いつもタイトでキャッチーなアレンジを心掛けていて、それがロックかポップかは重要じゃないの。



──「Favorite Ballads & Sad Movies」という曲がありますが、あなたたちの好きなバラードと悲しい映画があれば教えてください。

悲しい映画:『復讐者に憐れみを』、『いますぐ抱きしめたい』、『自由の代償』、『コード・アンノウン』、『もしも昨日が選べたら』。

バラード:Olivia Newton Johnの「Love Song」、Berntholerの「My Suitor」、Carpentersの「Superstar」、ABBAの「Winner Takes It All」、April Wineの「I Wouldn’t Want To Lose Your Love」、Corgisの「Everybody’s Gotta Learn Sometimes」、Black Sabbathの「Changes」。



──日本盤のボーナス・トラック「Freeze Frame」について教えてください。

数年前から「Freeze Frame」っていうタイトルの曲を書くアイデアがあったの。わたしは映画が好きだし、言葉の響きが好きだったから。歌詞を書いた時は、不可能だってよくわかっているのに、人付き合いの中で良かった時期に戻りたいと思うことについて考えていたの。それはまるで頭の中から消すことのできない、良かった時間のスナップショットみたいで、あなたを立ち止まらせて、何をしたらいいのかわからなくなってしまう。いつもと同じように、わたしが説明しようとするよりも曲を聴いてもらうのが一番だけど、アイデアは掴めると思うわ。


TOPS - I Feel Alive
(Musique TOPS / PLANCHA)


1. Direct Sunlight
2. I Feel Alive
3. Pirouette
4. Ballads & Sad Movies
5. Colder & Closer
6. Witching Hour
7. Take Down
8. Drowning In Paradise
9. OK Fine Whatever
10. Looking To Remember
11. Too Much
12. Freeze Frame [Bonus Track]