パートナーのNick McKinlayと共同で、Stella Donnellyの「Old Man」や、Rolling Blackouts Coastal Feverの「Cars In Space」のミュージック・ビデオを監督していたオーストラリアのシンガー・ソングライター、Julia Jacklin。失恋やリベンジ・ポルノといった難しい話題を包み隠さず歌った昨年のアルバム『Crushing』が絶賛され、Lana Del Reyのステージにも招かれた彼女が、バンド・メンバーを従えて待望の来日公演を行う。

シリアスな楽曲とは裏腹に、普段の飄々とした佇まいが印象的で、自身のミュージック・ビデオでもディレクター、ダンサーとマルチな才能を発揮しているJuliaが、これまでのキャリアや、来日公演への意気込みを語ってくれた。




母親が日本語の先生で、弟が日本に住んでいたから
日本には何度か行ったことがあるんだ


──まずはオーストラリアの森林火災の現状について教えてください。日本から何かできることはありますか?

オーストラリアではかなり酷い火災を経験していて、それが広範囲にわたって影響を及ぼしているの。いろんな資金集めの組織が発足しているし、みんな新しい方法で自分たちにできることを精一杯してる。もしも余裕があるなら、寄附はいつでも募ってるわ。

──同郷のStella Donnellyのミュージック・ビデオを手掛けていましたが、あなたのミュージック・ビデオも、ほとんどあなた自身とNick McKinlayの共同監督によるものですよね。映像についてはどのように学んだのでしょうか? ダンスするシーンが多いのは意図的ですか?

Nickとは同じ高校に通っていたから、かなり長い間一緒に作品を作ってるの。映像を作ることに関しては実際にやりながら、試行錯誤を繰り返して学んだ感じかな。だけど彼は本当に素晴らしいコラボレーター。ダンスのシーンがある理由はシンプルで、たとえスローで悲しい曲だとしても、私は音楽を聴くと踊りたくなっちゃうから。それに良いダンサーじゃなくても、カメラでダンスを撮影するとかっこよく見えるしね。




──家族について歌っている曲が多いですし、ビデオにも時々家族が登場しますが、あなたの家族はどんな人たちですか? 家族はあなたの曲を聴いて何か感想を言っていましたか?



私には4人の兄弟と4人の両親がいるんだけど、いたって普通の、離婚を経験した今どきの家族。いつもツアーに出ているからそんなに頻繁には会わないんだけど、みんな仲が良くて、私の音楽を応援してくれるし、来られるときにはショーにも来てくれる。曲で歌われている私のパーソナルな部分を聴くのはきっと変な感じだと思うんだけど、一度もネガティヴなことを言われたことはないな。



──音楽をはじめたきっかけは、Britney Spearsのドキュメンタリーだったと聞きました。今でもライブでカバーしたりしているそうですが、どんなところに惹かれましたか?



まだとても幼くて、ロールモデルを探してたの。たくさんの若者が、そうやって崇拝するポップスターを見つけるんだと思うんだけど。ブリトニーは子供にしてはとても野心的に見えて、彼女みたいになりたいって思った。必ずしも彼女の音楽に惹かれたというわけではなくて、彼女が作り出すおとぎ話や、彼女の活動に惹かれたんだと思う。



──ファースト・アルバムの「Elizabeth」という曲で歌われている友人のElizabeth Hughesと再会したという、高校卒業後の南米旅行について教えてもらえますか?


ああ、実は18歳で高校を卒業した後のギャップイヤーに、ひとりで8ヶ月旅行したの。自分探しをするために旅に出たんだけど、道中何人か友達にも会って、リズ(Elizabeth Hugues)もそのなかのひとり。その旅行でいくつか自分についての発見があったけど、まだ理解しなきゃいけないことがたくさんあるね。



── 2014年にリリースしたEP『Santafel』のジャケット写真はなんとなく親しみがあるというか、日本のようにも見えるのですが、実際にはどこで撮影したのでしょう?


確かにそう見えるかも。けどその写真は何年も前に、ロサンゼルスのサンセット・ブールヴァードで撮ったんだ。


『Santafel』(2014)


──実際には苦労があったと思うのですが、ファースト・アルバムからイギリスとアメリカでリリースされるなど、海外から見ていると、あなたは突然登場してきたようにも思えます。TransgressiveやPolyvinylとサインしたきっかけは何だったのでしょう?



(2018年の)SXSWに出た時にTransgressiveのスタッフに出会って、それをきっかけに一緒に働くようになったの。それ以来ワイルドな日々が続いてるね。


──ファースト・アルバム『Don't Let The Kids Win』をニュージーランドにあるBen Edwardsのスタジオでレコーディングしたのは、彼がプロデュースしたニュージーランド出身のAldous Hardingのファースト・アルバムを聴いたのがきっかけだったと聴きました。あの作品のどこに惹かれましたか?



そのアルバムのまばらさがとても好き。彼女が直接耳に向かってささやいているような感じがするでしょ。自分のアルバムも、巧妙に作り込みすぎているようなものにはしたくなかった。曲にそのままの姿で輝いてほしかったの。



──ファースト・アルバムのジャケットに写る部屋は「Pool Party」と「Pressure To Party」のミュージック・ビデオにも出てきますが、自宅なのでしょうか? 本棚に大量の推理小説とトロフィーがあるのが気になりました。



いえ、あれは私の家じゃなくて、コラボレーターでもあるNickの両親の友達の家。その家は、私の美的感覚にたくさんのインスピレーションを与えてくれる場所なの。本棚にはなんの本があるのか全然わからないけど、次のアルバムを出す時にその家でまたビデオを撮って、寄りで本も撮影しようかな。




──ファースト・アルバムのほとんどの曲は成長することをテーマにしている気がするのですが、ジャケットでティーンエイジャーっぽい服装(2008年のオリンピックTシャツ、白いソックス、履き古したリーボックなど)をしているのは意図的でしょうか?



あー、えっと、たぶん? 本当のティーンエイジャーの時にああいう服装をしてたら、もっとクールだったのに。たぶん、自分がこんなティーンエイジャーだったら良かったっていう服装をしたんだと思う。



『Don't Let The Kids Win』(2016)


──Elizabeth Hughesとは、"Fantastic Furniture"をもじったような"Phantastic Ferniture"というバンドも一緒にやっていますが、家具に興味があるのでしょうか? よりロック寄りなPhantastic Ferniture"での活動は、セカンド・アルバムのサウンドに影響を与えましたか?



あんまり家具には興味がなくて、ただのオーストラリアの家具屋についてのジョークなの。あと、その時なる早で名前を付けなきゃいけなかったから。Phantastic Fernitureで演奏することで、パフォーマーとしての自信がついたと思う。(Phantastic Fernitureでは)ギターを弾かなかったから、その代わりに踊って、お客さんたちをちゃんと盛り上げなきゃいけなかったの。曲を演奏するのとお客さんを盛り上げるのって、まったく違うスキルだよね。





──セカンド・アルバム『Crushing』をプロデュースしたBurke ReidはCourtney Barnettの作品で知られていますが、彼を起用した理由はなんだったのでしょう?

彼が手掛けた作品は全部大好き。お気に入りのオーストラリア出身バンドのひとつでもあるThe Dronesとも一緒に仕事をしていて、ただ彼らと同じくらいクールになりたかったんだよね。


『Crushing』(2019)


──『Crushing』のバック・ミュージシャンは今回の来日メンバーでもありますが、ファーストと大幅に入れ替わっていますよね? あまり他の作品で見かけない人が多いのですが、どんな人たちなのでしょう?

ベースはHarrison Fuller、ギターはBlain Cunneen、ドラムにClayton Allen がいて、キーボードとバッキング・ヴォーカルを担当するのがGeorgia Mulligan。みんな素晴らしい人たちだよ。

──セカンド・アルバムに収録されている「Body」の、“ベッドの上で裸であなたを見つめてる/あの写真をまだ持ってる?/わたしを傷づけるためにそれを使うの?”という歌詞は、あなたの経験に基づいて書かれたのでしょうか? もしそうであれば、どうして曲にしようと思ったのですか?



「Body」は仕上げるのにとても時間がかかったの。私は自分の人生経験から曲を書くことが多いから。その曲で描かれている感情は、私が個人的に曲として聴いてみたいなって思っていたけど、今まで聴いたことがなかったから、自分で書いてみたんだ。




──『Crushing』には元恋人や亡くなった友人など、いなくなってしまった人についての曲が多いですが、そうした曲を書いてツアーで何度も歌うことはつらくないですか? それとも、歌うことで乗り越えられたりするのでしょうか?



つらいと思ったことはないな。仕事として歌うことで人間としての感情を処理できている私は、とても恵まれていると思う。胸のうちに秘めた苦しみや痛みを、何か意味のあることに昇華してくれるから。



──そういえば先日Lana Del Reyのステージに招かれて、あなたの「Don't Know How To Keep Loving You」を一緒に歌ったそうですが、どういった経緯だったのでしょう?



彼女はとっても素敵な人で、「あなたのファンだからデンバーに来て一緒に歌ってくれない?」って連絡をくれたの。私の人生のなかで最も美しい瞬間だった。彼女はまさに天使。



──あなた自身はBig ThiefやStrokes、Leonard Cohenの曲をカバーしていますが、最近カバーしている曲や、カバーしてみたい曲はありますか?



最近のツアーでは私の好きなLeonard Cohenの「Memories」をカバーしてる。いつかFiona Appleの曲をカバーしたいなって思ってるんだけど、すごく難しいんだよね。彼女はとてつもなくユニークなソングライターだから、彼女の曲を自分のものにするって大変なの。



──日本でしてみたいことがあれば教えてください。


なんでもやってみたい! 母親が日本語の先生で、弟が日本に住んでいたから日本には何度か行ったことがあるんだ。だけど友達と行ったことはないし、演奏するために行ったこともないから、日本人のアーティストに会ったり、行ったことのある場所に友達を連れていくのが楽しみ。あと、お風呂にいっぱい浸かりたい。

JULIA JACKLIN
3月30日(月)ビルボードライブ東京
[1ST STAGE] Open 17:30 Start 18:30
[2ND STAGE] Open 20:30 Start 21:30
サービスエリア¥6,900 / カジュアルエリア¥5,900

※新型コロナウィルスの影響により中止となりました。