先月ニュー・アルバム『The Neon Skyline』をリリースしたカナダのシンガー・ソングライター、Andy Shauf。その雄弁な楽曲とは裏腹に普段の口数は少なく、インタビューでも「ひとつの質問に対して一行しか答えない(ただし、機材の話題は除く)」という噂があるほどです。

案の定先日行ったメール・インタビューでも非常に簡潔な答えが返ってきましたが、そんな彼が先日、海外のコミュニティ・サイトRedditでファンからの質問に答える“AMA(Ask Me Anything)“という企画を実施していたので、そこからの回答も交えつつ、この寡黙なミュージシャンの謎を紐解いていきたいと思います!

<モンチコンからの質問>

──昨年のジャパン・ツアーで印象に残っていることはありますか?

素晴らしい食事を除けば、一番印象的だったのはショウに来たお客さんだったと言えるね。曲をよく知っているのと、どの公演でもすごく集中してるのに驚いた。演奏していて楽しかったよ。

──前作『The Party』はもともとコンセプト・アルバムになる予定は無かったそうですが、今回はどうだったんでしょう?

うん、今回は間違いなく曲を書く段階から意識していたね。ひとつの場所で起こって、すべての曲を繋ぎ合わせる、もっと密接な物語を作りたかったんだ。ある段階で、僕はそれを『The Party』と繋げようとさえしてたんだけど、別々にしておくことに決めたんだよ。

──今回のアルバムにはストリングス・セクションがいませんし、あなたもピアノよりギターを多く弾いていますよね。この編成はライヴに近いと思うのですが、ステージで再現することを意識したのでしょうか?

『The Party』ではピアノで曲を書いていたから、ほとんどの曲は僕が演奏する時の習慣で、ダウンテンポだった。ギターを弾く時のほうが僕はずっとくつろげるし、演奏にもリズミックな要素があるんだ。今回はもっとアップビートで、ソロでも演奏できるように重厚なアレンジを必要としない曲を作ろうと意識していた。ライブのことは間違いなく考えていたし、アルバム・バージョンにかなり近くなるはずだから、僕も楽しみにしているよ。

──Elliott Smithの作品で知られるRob Schnapfと組んだことが、アルバムの方向性に影響を与えたりしましたか?

僕はElliott Smithのアルバムも含む、Robの仕事のファンなんだ。Robに僕の考えを示すために自分でラフ・ミックスをしたけど、今回に関しては彼にミックスを頼むことが理にかなっている気がしたし、彼も僕の求めているサウンドを理解してくれたよ。

──アルバムの資料にありましたが、「Changer」のギターにスプリング・リヴァーブのエフェクトを試している時に起こった、幸運なアクシデントというのは何なのでしょう?

「Changer」という曲を書いてからスプリング・リヴァーブを試してみたんだけど、幸運なアクシデントっていうのは、僕がその曲を気に入ったってことかな。アルバムに入るような曲を作ろうとはしてなかったんだけど、結果的に僕のお気に入りのひとつになったんだ。

──あなたのドラム・サウンドについて気になっている人も多いと思うのですが、レコーディングにはどんなテクニックを使いましたか?

ドラムに関しては、タムのボトムヘッドを外して、たくさんのテープを貼ったり、タオルを置いたりしたね。マイクに関しては、AEA 44をセットの前に、AA CM12のクローン・マイクをキック・ペダルの側に置いて、それからスネアにNeumann KMS 105、キックにBeta 52といったクロース・マイクを設置した。そしてミックスの前に、すべてをテープ・マシーンのひとつのトラックにまとめたんだ。

──赤いネオンサインのあるSkylineという名前のレストランがトロントに実在するそうですが、本作のモデルになったのでしょうか? あなたもよく行ったりしますか?

アルバムのジャケットは、実際のスカイライン・レストランと、その周辺のパークデールに似てるんだ。僕もよく出掛けるよ。



──前作の「Martha Sways」に登場するマーサというキャラクターの名前は、Beatlesの「Martha My Dear」に由来していると聞きました。今回の登場人物には由来がありますか? また、実際の友達の名前を使うことはありますか?

僕は響きの良い名前を使う傾向にあるんだ。実際の友達の名前を使ったことはないよ。


※本人はそう言ってますが…ジュディといえばThe Beatlesの「Lucy In The Sky (With Diamonds)」を「Lucy In Disguise」と聞き間違えたことから生まれたこのヒット曲(邦題「ジュディのごまかし」)。“きみは僕の人生を灰にする”という歌詞も。


──「Fire Truck」に出てくる、主人公の元恋人ジュディが好きな曲というのは何なのでしょう? どんな曲をイメージしていましたか? 

特定の曲があったわけじゃないけど…どちらかと言えば彼女が口ずさむ「ドゥドゥドゥ…」のパートがそうかな。

──『The Neon Skyline』の限定盤のボーナス・シングルに収録されていた「Jeremy's Wedding」という曲を聴いたのですが、前作に登場したジェレミーというキャラクターの結婚式で、主人公がジュディに出会うという内容ですよね。ジュディはジェレミーと結婚したんでしょうか? それとも、ただ参列していただけ?

彼女は出席者で、主人公が主催者側にいるんだ。主催者側が並んでゲストに挨拶する歓待の列っていうのがあるんだけど、彼はどうして彼女がそこにやってこないのかと不思議がる。世界中で一般的な習慣かどうかはわからないけど…ここではそういう習慣になってるんだ。

<ファンからの質問>

──ありがちな質問だけど、どんなアーティスト/アルバムがあなたのサウンドに大きな影響を与えましたか?

Elliott Smithのセルフ・タイトルは自分にとって大きかったね…何年もヴォーカルをダブル・トラックで録音するようになったよ。それからWilcoの『A Ghost Is Born』と、The Beatlesの『White Album』。Neil Youngの『Harvest』も、ドラムの余白という点で大きかったし…僕の好きな曲には、ハイ・ハットが少ないんだ。

 
 


──ドラムのプレイは誰に影響されてるんですか?

始めた頃は(Blink 182の)Travis Barkerに取り憑かれてたけど…ソフトな音楽にハマってからは、シンバルやスティックを壊すのをやめて…だからSteve Gaddとか? Wilcoの『A Ghost Is Born』が、ちいさなドラム・サウンドを追い求めるきっかけになったんだ。

──クラリネットをそんなにたくさん使うことになったきっかけは?

僕が演奏してたバンドで、いくつかクラリネットの入ってる曲があって、サウンドがすごく気に入ったから、クリスマスにママに買ってもらったんだ。自分で弾き方を学んで、単純にすごく良い質感だから、曲に使い続けてるんだよ。

──「Thirteen Hours」の終わりのギター・リフはアルバムのお気に入りの瞬間のひとつだけど、素晴らしいトーンだね。どんなファズを使ったの?

Fairfield Barbershopを2台繋げたんだけど、片方の電圧を下げて、もう片方をドライヴさせる方法があるんだ。「The Magician」の最後で使ったのと同じだよ。2台目のペダルを1台目のペダルからの大量のドライヴとヴォリュームでオーバーロードさせてから、2台目の電圧を下げるんだ。



──レコーディングで使う、好きなエフェクトは?

レコーディングする時は、そんなにたくさんのエフェクトを使わないんだ。AKG BX20とかBX5みたいな良いスプリング・リヴァーブをいくつか持ってるし、KORGのデジタル・ディレイとか…ローランドのディメンションDを再現した500シリーズも持ってるけど、すごく良いよ。

──ハイ、アンディ。新作をノンストップで聴いています。台詞がリアルなところが好きです。あなたの作品はいつも物語風ですが、文学的な影響はありますか?

短編が好きなんだ。レイモンド・カーヴァー、デニス・ジョンソン、ジョン・チーヴァー…。デニス・ジョンソンの『ジーザス・サン』とレイモンド・カーヴァーの『大聖堂』はお気に入りだよ。

 


──新作の中で、実際にSkylineで飲んでいる時に聞いた話が基になっている部分はありますか?

「Dust Kids」という曲は、僕がそこで友達とした会話が基になってるんだ。僕はジム・B・タッカーの『リターン・トゥ・ライフ ― 前世を記憶する子供たちの驚くべき事例』っていう本を読んでいて、みんなにその話をしてたから…あきれられるぐらいにね。



──バーに行った時によく頼む飲み物は?

どこのバーにいるかによるね…Skylineではモルソン・ピルスナーを飲むし、知らないバーに行った時は、置いてあるオヤジ・ビールを頼むよ。



──チャーリーは生まれ変わりに興味があるみたいだけど、彼は「My Dear Helen」に出てくる、同じ名前の犬のキャラクターの生まれ変わりなの? 自分はそう考えるのが好きなんだけど、というのもチャーリーはお気に入りのキャラクターで、協力的な良い友人に見えるし、主人公がくよくよしている時に諌めてくれるから。

チャーリーがチャーリーとして生まれ変わったっていうアイデアは好きだな。考えたこともなかったけど!

──ヘイ、アンディ。友達が“ジュディは「Thirteen Hours」で死んだ説”を唱えてるんだけど、どう思う?

えっと、「Thirteen Hours」は彼が過去の出来事を振り返る白昼夢というか…だからそのことが、バーに現れる彼女を、自分が意図した以上に幽霊っぽくしてると思う。でもどうだろう? “ポールは死んだ説”というか…今のポールがフォールなら、ジュディはフディ?

──どこかのインタビューで、Skylineに入らなかった曲やB面曲をリリースするって読んだんだけど本当? 酔っぱらった運転手や、家が燃えてしまった家族からの視点はある?

それって書くのが面白そうだけど、実際には書いてないよ。B面曲っていうのは「Judy」と「Jeremy's Wedding」で、7インチに入ってるんだ…。いつかはデジタルで配信されるかな? 確かじゃないけど…もっと詳細を知っておくべきだったね。

──オーストラリアにツアーする予定はある?

すぐにでも行きたいよ! 蜘蛛がいないって保証してくれる?


Andy Shauf - The Neon Skyline

1. Neon Skyline
2. Where Are You Judy
3. Clove Cigarette
4. Thirteen Hours
5. Things I Do
6. Living Room
7. Dust Kids
8. The Moon
9. Try Again
10. Fire Truck
11. Changer