photo by Shinya Aizawa

新作『Metronomy Forever』を携え、サマーソニック'14以来5年ぶりの来日となったMetronomyの東京公演は、新旧譜から余すことなく演奏し、ライブ・バンドとしての彼らの集大成を見せた一夜だった。

新作のオープニング・ソングであるキラキラとした「Wedding」で幕を開け、同作からのファースト・シングル「Lately」に続いてバンドの代表曲である「The Bay」の美しいキーボードのイントロが始まると、観客席はダンスフロアへと変わった。途中、フロントマンのJoseph MountがMCで「日本の郊外にも行ってみたい、郊外や田舎の音を再現しよう」と呼びかけると、観客からは動物の鳴き真似が飛び交かい、ほんわかするような場面も。全員でパッと上を向いて宇宙と交信でもしているかのような(お揃いのジャンプスーツは宇宙服に見えなくもない)ダイナミックなシーンもあった。

ライブの後半ではキャッチーな「The Look」、叙情的な「Love Letters」といった彼らの代表曲の連発に、特に昔からのファンは、各々の当時の思い出と一緒にシンガロングしただろう。最後は“R.A.D.I.O. L.A.D.I.O.”と合唱の嵐。Metronomyよ、永遠に――と、バンドがステージを去った後も拍手が鳴り止まなかった。

そのライブ前、前作『Summer 08』から3年ぶりの新作について、Josephが語ってくれた。


結婚は人生で必ずしも必要なものではないけれど
一緒になって永遠を誓うことはロマンチックだと思う



――こんにちは! Instagramのストーリーに早速、一蘭でラーメンを食べている写真を上げてましたね。久しぶりの東京を満喫しているようですが、どうでしょうか?

そうだよ、ラーメンの写真を上げたんだ(笑)。日本に来るたびにみんな、食べることを楽しんでいるのは明らかだね。日本は素晴らしいよ! 来て2日だけど、とても楽しんでいて、ギグが待ちきれない。

――ストーリーで”Metronomyフォーエバー”のGIFを使ってましたが、Instagramで“Metronomy”と検索すると、あなたたちのGIFがたくさん出てくるんですね。自分たちで制作してアップしているのでしょうか?

レーベルが作ったものもあるけれど、いくつかは自分たちで制作したよ。実は、GIFに少し怒っていて、“Metronomy”で検索すると出てくるんだけど、自分でマシなのを作ろうと思って、それで作ったんだ(笑)。

――「Sex Emoji」という曲もありますし、普段からよく絵文字とかGIFを使っているんでしょうか?

はは(笑)、いや奇妙なことに、絵文字をそんなに普段から使うわけではないんだよね(笑)。でも、絵文字のことはなんとなく好きだよ(笑)。

――最近、フランスのClara Lucianiの「La grenade」という曲をカバーしていますね。2018年にフランスでヒットした曲ですが、なぜカバーしたのでしょう? 彼女と交流があるのでしょうか? 

彼女は僕たちの「The Bay」を、フランス語バージョンの「La baie」としてカバーしてくれたんだ。それで僕らは、フランスのテレビ番組で一緒に演奏した。だからお互いの曲をカバーするのが面白いだろうと思って、彼女の曲をカバーすることにしたんだ。





――そういえば以前、あなたはフランスに住んでいましたよね? フランスでの経験は、あなたの音楽に影響を与えましたか?

もちろん。面白いことに、バンドの他のメンバーは今それぞれ違う国に住んでいるんだよね。OscarとMichaelはアメリカに、Annaはポルトガルに住んでいるんだ。外国に住むという経験は、様々な方面で影響を受けるね。僕にとってパリに住んだことは、とてもクールな体験だったよ。

――なるほど。パリに住んでみて、仲良くなったミュージシャンはいますか?

フランスの音楽シーンはとても狭いからね。僕らのレーベル(Because Music)はEd Bangerと関連があったから、JusticeとかEd Bangerのアーティストとは交流があった。

――話は変わって、最近公開された「Insecurity」のミュージック・ビデオは、ハッピーなプロムの雰囲気と思いきや、何か事件が起きて、あなたが捕まるようなシーンがあります。このビデオでは何が起きているのでしょう?

実際のところ、僕もビデオの中で何が起きたのかはわからないよ(笑)! このビデオは僕が思うに、サイエンス・パーティーみたいな感じの部分があるね。グッド・パーティーな雰囲気の中、液体が溢れて…全然意味わからないよね。僕にとってもミステリーなんだ。何か謎の組織に僕が捕まるんだけど、それもどうしてなのか全然わからないよ(笑)!



――監督のRichard Phillip Smith とJake Lazovickは、フィラデルフィアで活動するJoy Againの「Couldn't」のMVをあなたが気に入ったことからアプローチしたそうですが、彼らのどのようなスタイルが気に入ったのでしょう?

「Couldn't」を見たとき、なんとなく昔っぽいスタイルだな、とMTVで見ていたオルタナティブ・ロックのミュージック・ビデオを思い出したね。彼らが表現するバンドの世界がとてもクールだと思った。



――フィラデルフィアまで出向いて撮影したそうですが、どうでしたか? インディー・ロックもシーンとして盛り上がっていますよね。

フィラデルフィアは大学がある大きな街で、とても面白い場所だったよ。ニューヨークは高いから、クリエイティヴな若者が活動の拠点としているみたいだね。そう、音楽シーンも良いね。今、ロンドンでも同じことが起こっていて、都市は物価が高いので、その周りで良いバンドが出てきているね。

――最近、他に気に入っているミュージック・ビデオや、監督はいますか?

イギリスのラッパー、Octavianの「Bet」が良かったよ。あとはスウェーデンのRobynの「Ever Again」もめちゃくちゃ楽しい。彼女のアルバムを去年一緒に制作したんだ。





――自分でもミュージック・ビデオの監督をしてましたよね。

「Lately」、「Salted Caramel Ice Cream」、「Walking In The Dark」と監督をやったんだ。お金を出して他の人からアイデアをもらって、思ってたのと違うことがあるからね。ミュージック・ビデオのアイデアを出したり作ってみると、とても楽しかった。たぶんまた監督をやってみると思う。

――さて、新作『Metronomy Forever』について、「Wedding」という曲から始まって、アルバム後半にも「Wedding Bells」という曲がありますが、何か結婚式にまつわる思い出があるのでしょうか。

ノー。全然ないよ(笑)。結婚式に呼ばれる機会は何度かあって、楽しんだよ。もっと行きたいから呼んでほしい(笑)。僕らの今の年齢は、周りの友人も結婚したり、子どもができたり、または別れてしまったりと、人生の節目になるような出来事が多かったりする。結婚は人生で必ずしも必要なものではないけれど、ある2人が一緒になって永遠を誓うことは、とてもロマンチックだと思う。

――「Wedding」と「Wedding Bells」、「Insecurity」と「Insecure」と似た曲名が複数あるのはなぜでしょうか?

「Insecure」は曲を作っている時に、「Insecurity」からサンプルを取ったんだ。だからこの2曲については繋がりがあるね。でも、他についてはただの言葉だから、そんなに意味はないかな。

――「Lately」は恋愛の曲のようで、"I'll call her baby"と歌っているのですが、その後の「Lately (Go Spare)」では、"Thinking of the time we had our first baby"と歌っていて、babyの対象が変化しているわけですが、この2曲はストーリーの繋がりがあるのでしょうか。

そういうわけではないんだけど、このアルバムを制作する時に、歌詞のアイデアがたくさんあって。たとえば「Lately」というワードはこの1文字で大きな意味を持つと思うんだけど、こういった大きな意味を持つちいさなフレーズを、別の曲で違う意味として使って仕上げてみようと思ったんだ。

――その「Lately」のミュージックビデオは映画『ミクロキッズ』からインスパイアされているようですが、『ミクロキッズ』は子どもの冒険を描いたファミリー映画なので、「Lately」の歌詞の内容とは雰囲気が違いますよね。なぜこの映画を意識したのでしょうか?

これは実は、『ミクロキッズ』へのオマージュだったわけではないんだ。単にちいさい人たちが登場するアイデアがあって、それで僕らがミニ・サイズになって、カセットテープに乗っかって演奏することになったんだ。「Lately」のビデオの中では、バンドはビッグになりたかったわけではなくて、ちいさい世界にいることがとてもハッピーだと感じている。だからカセット・ステージにいるんだ。



――カセットテープではリリースしてないんでしょうか?

いいや、でも、プロモとしてのカセットテープは作ったよ。日本ではカセットテープは人気がある?

――最近は日本でもリバイバルで、一部の若い音楽好きに人気がまた復活してるみたいですね。

やっぱりそうなんだ。面白いね。カセットテープは音のクオリティが良くないけど。

――「Whitsand Bay」はイギリスにある実際の湾岸の名前のようですが、何か思い入れがあるのでしょうか?

そうだよ、僕はそのあたりで育ったからね。ティーンエイジのときに、日帰り旅行でみんなでドライブに行ってた。それはとても素晴らしい日だったね。

――“Bay”と言えば、「The Bay」というあなたたちの代表曲もありますね。

実はそれ聞かれるかと思ったよ、本当に(笑)。バンドを始めて、何年か経って、自己言及を始めて「The Bay」がそうなんじゃないかなと思った。これは有名な曲で、Metronomyの代表曲。だから違うアイデアの曲に、同じワードを使ったら、人々は混乱するだろうなと思いつつ(笑)。

――アルバムのアートワークは山なんですね。

人間が出てくる前の地球の自然のシーンを描いたんだ。水が出てきたぐらいの大昔の自然。Metronomyという存在は人類が出てくる前から存在していた、ということを表現したかったんだ(笑)。



――山なのはあなたの苗字(Mount)に由来しているのかなと少し思ってました。

違うよ! あ、でも…僕の苗字はMountだから、確かに。自分の苗字の意味を考えたことなかったな。でもアートワークについては違うよ。良い意見だね。

――『Metronomy Forever』のリミックス盤にUKの新人IDLESが参加していますが、インディ・ディスコなミックスで、あなたも褒めていましたね。バンドの音楽はパンクでMetronomyのスタイルとは異なりますが、彼らのこういったパンク・スタイルをどう感じていますか?

IDLESは、実は僕らとも近いものがあると思う。パンクやポスト・パンクから出てきたんだけれど、今はダンス・シーンからも影響を受けているみたい。でもインディーやパンクと色々ある中で、彼らは自分たちを表現するのにパンクのサウンドを選んだ。彼らの歌詞がそういった内容であるからね。彼らと僕らの間にはお互いリスペクトがあるよ。バンドやミュージシャンとしては別のところにあるけれど、影響しあったり共有できるものがあるよ。



――イギリスの総選挙に向けて、SNSで選挙に関しての投稿をいくつかしているのを見ました。あなたたちの音楽はあまり政治的な内容を含んでないのかなと思うのですが、音楽で政治的なメッセージを発信していこう、とは考えないのでしょうか?

いや、音楽では考えてないね。数年前、僕たちはそんなに政治的なことを考える場所にはいなかった。その後、ドナルド・トランプがアメリカの大統領になった時に、僕は政治的な話を口に出していくべきだと感じたんだ。イギリスにとっては今とても重要な時で、今回の選挙は特に大事なんだ。Dua LipaとかEd Sheeranは若いファンが多いから、彼らのような若者に影響力あるアーティストが、どんどん政治的な意見を言ってくと良いよね。とにかく、僕らが育ってきた国の人々に重大であるということを認識してもらおうと、SNSを使って発言しているよ。

――自分の意見を投稿することで、ファンから反応があって議論したりもするのでしょうか?

うーん、あんまりかな。というのもこれは僕の問題で、もしも好きな音楽を作っているアーティストがいたとして、ファンがその人の意見に影響されないかということが心配なんだ。だから僕のSNSでの政治的な発言は何か意見するというよりも、自由に考えられるように気をつけて発言しているんだ。だから僕の発言から議論に発展するということはないね。

――ライブの写真を見たら、メンバー全員で白と水色のジャンプスーツ(Andrea Crewsというフランスのブランドとのこと)で演奏していたのですが、どういったコンセプトなのでしょう? 今日のライブも衣装がありますか?

今日もこの衣装を着て演奏するよ(ライブでは白のジャンプスーツを着ていました)。もちろん! これはバギースタイルのようなもので、と考えていたんだけど、実際のところバギーじゃなくなったよね。お揃いのユニフォームを作りたかったんだ。結果、リラックスできるユニフォームになったね。

――今夜のライブを楽しみにしてます!

ありがとう!