去る5月31日、テキサス州オースティンのミュージシャンBill Bairdが、突然日本語でツイートしてファンを驚かせました。その内容は、日本で演奏したいということ、そしてそのための手助けを求めているというもの。




Bill Bairdといえば、2010年頃までは{{{Sunset}}}という名義で数々の作品をリリースしており、その日に灼けた写真のようなサイケデリック・ポップを、覚えている人もいるかもしれません。





とはいえ、日本ではまだ彼のことを知らない人のほうが多いと思うので、今回はファンを代表しておふたりの方に、Bill Bairdを紹介してもらうことにしました。ぜひみなさんも、この機会に彼の音楽に触れてみてください。

私たちはこの夢を現実のものにします!

今回はこの場を借りて、Bill Bairdという音楽家を紹介したいと思います。

2000年代はじめにSound TeamというバンドでCapitolからメジャーリリース、そして解散。解散後に{{{SUNSET}}}という名義で活動を開始。ソロワークから再びバンド形態に転換し複数の作品をリリースするも、2011年にその活動を停止させ、以降は自身の名義で音楽的な活動を続けています。

SUNSET以降の作品はカントリー&フォーク、クラウト・ロック、サイケデリック、あるいはマーチングバンドのようなスタイルまで作風は様々なのですが、共通するのは、奇妙なユーモア、薄暗さとポップさとややヨレた、哀しい歌声。

この紹介文を書くにあたって、Bill Bairdの魅力をどんな切り口で書いたものか…としばらく考えてみました。

SXSWを産んだ南部テキサス州におけるオースティン出身という視点や(ポートランドとオースティン、どっちがWeirdか、という構図もあるそうで)、メジャーvsインディーの対立軸もまだ色濃かったゼロ年代中頃に、あえてメジャー契約を選択していろいろ大変だった話もそれはそれでインディー音楽史的には趣深さは感じられるのとビル・ベアードの作品や活動を理解する上で興味深くもあると思うのですが、混み入った文脈は私にも説明できないので、これは深入りしないことにします。

逆に彼の音楽活動に目を向けると、いわゆる「今っぽい音」の文脈と同期をとるでもなく、ヒップというものでもなく、BandCampYouTubeを通して、10数年、ひたすらパーソナルな作品作りを続けています(フィジカルなリリースもあります)。

彼の諸活動をあらためてふりかえり眺め、そのスタイルを言葉にしてみると、「内省的」といった言葉でもパッケージできるようなものでなく、奇妙で、ふざけていて、薄暗くて…という、結局とらえどころのない表現に行き着いてしまうのですが、こういう感覚をobscureと言うのかもしれないと思いました。

音楽性だけでなく、その存在と、それに対する印象がobscureなものというのはビル・ベアードにとってはアーティスティックな創作活動であり、失礼なもの言いなのかも知れないと思いつつも、SUNSET=日没というネーミングも「ぼんやりとした薄暗さ」について、それこそぼんやりと顕しているようでもあり…。

そんな作品群を現代的な配信チャンネルを織り交ぜながら、誰に向けられているのでもなく、閉じているわけでもなく作り続けているような気がして、ここに捉えどころのない不思議な魅力がある気がしています。

なんだかよくわからない紹介になりました。

作品の大半はBandcamp上でも聞くことができます。この味わい深い音楽家に興味を持ち、いつか日本で彼の演奏が見られることをともに願っていただけると幸いです。

text by tww


kana_bearさんによるSunsetのプレイリスト