Live Photo: Masao Nakagami

先月開催されたGREENROOM FESTIVALに出演するため、待望の初来日を果たしたLAの4人組Allah-Las。60年代のガレージ・サイケ・バンドが現代に甦ったようなサウンドで人気の彼らが、フェスティバルの前日、渋谷WWW Xで単独公演を行った。

メンバー全員がヴォーカルを交互に取るスタイルで、マイナー調のガレージ・ロックからエキゾチックなインスト・ナンバーまで、ジュークボックスのように矢継ぎ早に代表曲を繰り出すと、極めつけは60年代のマイナー・サイケ・バンド、The Human Expressionの隠れた名曲をカバーした「Calm Me Down」。ドラムのMatthewが歌うこの曲では、フロントのメンバーが飛び跳ねながらコーラスをつけ、集まったファンも大いに盛り上がっていた。

そのライブの直前にメンバーと向かったのは、会場近くの渋谷RECOfan。大のレコード・マニアだという彼らは、一体どんなレコードを買ったのだろうか。それぞれの戦利品を手に、話を聞いてみた。










――みなさんAmoeba Music(カリフォルニア州に展開する大型レコード・ショップ)の店員だったんですよね?

Miles Michaud:僕は違うよ。応募したけど採用されなかったんだ(笑)。

――どうやってバンドを結成したんですか?

Matthew Correia:Milesと俺とSpencerは、同じ高校に通ってたんだ。俺はアメーバのサンフランシスコ店で働いてたんだけど、ロサンゼルス店に移って、そこで働いていたPedrumに会った。一緒に演奏するようになってから、俺がMilesを誘ったんだ。

――他にもAmoeba Musicで働いていたミュージシャンっていますか?

Matthew :たくさんいるよ。The Fresh & OnlysのTimとWymondはサンフランシスコ店で働いていたし、俺たちが若い頃…と言ってもそんなに昔じゃなくて、俺らが働き出す数年前にはJimi Hey(Beachwood SparksやAriel Pink's Haunted Graffitiのドラマー)っていう人が働いていて、彼がやっていたいろんなバンドを聴きながら育ったんだ。

――彼のことはよく知ってますよ(笑)。

Miles:No Ageの片方もそうだね。



――渋谷のRECOfanは、Amoeba Musicと比べてどうでした?

Matthew : ほとんど一緒だね。でもAmoeba Musicより小さいのに、たくさん在庫があってビックリしたよ。

――じゃあ、買ったレコードの話をしましょうか。


Spencer Dunham (Ba.&Vo.)


Spencer Dunham:僕は2枚買ったんだけど、1枚はDurutti Columnの『Without Mercy』。1984年のリリースで、ジャケットの表にアンリ・マティスの絵が貼ってある。長い曲が2曲だけ入っていて、聴いたことなかったんだけど、どんな音なのか気になってね。もう1枚はJanko Nilovic。名前の正しい発音がわからないけど、タイトルは『Rythmes Contemporains』だ。ほとんどインストで、これは再発盤だけど、あまりお店で見かけたことがないから珍しいと思ってね。

――Allah-Lasの音楽は60年代のイメージが強いので、Durutti Columnはちょっと意外でした。

Spencer:15年ぐらい前に『Live At The Venue London』っていうアルバムを聴いたんだけど、素晴らしいライヴ盤で、それ以来ずっと彼の作品のファンなんだ。


Miles Michaud(Vo.&G.)


Miles:僕はいくつか買ったんだけど、まずは細野晴臣の『フィルハーモニー』。すごく有名だと思うけど、本物の日本盤を買えて良かったよ。それからイエロー・マジック・オーケストラと、アフリカのレコードをいくつか。Nybomaの『Double Double』はアフリカのザイールのアルバムで、たぶんハイライフっぽい感じじゃないかな。King Sunny Adeの『Juju Music』はアフリカン・ビートで、よく知らないけど買ってみたよ。

 


――ナイジェリアのミュージシャンで、アイランド・レコードがボブ・マーリーに続いて売り出そうとした人ですね。細野さんは最近アメリカで再評価されていますが、あなたはどうやって知ったんですか?

Miles:そうだね。何年か前に友達の作ったミックスとかに入っていて、それで初めて聴いたんだ。はっぴいえんどは聴いたことがあったけど、もっと知りたいね。


Pedrum Siadatian(G.&Vo.)


Pedrum Siadatian:これは完全にジャケ買いだね。60年代後半から70年代のサイケ・ロックっぽいのかなと思って。



――ミシェル・ポルナレフ! 彼は日本では人気があったんですよ。

Pedrum: それからRobert Wyattの『End Of An Ear』。彼のことは大好きなんだけど、このアルバムの曲は馴染みがなかったから。それからRolling Stonesの『Undercover』。1983年のアルバムで、「Too Much Blood」っていう楽しいディスコ・ナンバーが入ってるんだけど、間奏でMick Jaggerが『悪魔のいけにえ』について語っていて、それがすごく変なんだよね(笑)。



――どこにでも売ってそうですけど…。

Pedrum:そうだね(笑)。でも最近この曲を知ったから、買おうと思ったんだ。それからKeith Richardsの『Booze and Pills and Powders』。たぶんブートレグで、デモ音源集だと思うんだけど。



――そういえば、Allah-LasはRolling Stonesのトリビュート・アルバムにも参加してましたよね?

Matthew:「Stoned」っていうインスト曲をカバーしたね。忘れてたけど(笑)。

――どうしてその曲だったんですか?

Matthew:ちょうどセカンド・アルバムの『Worship The Sun』のデモをレコーディングしている時で、簡単な曲だったからさ(笑)。

Spencer:トパンガ・キャニオンの一軒家を借りて自分たちの機材を持ち込んで、初めて自分たちでレコーディングした音源なんだ。

Pedrum:あと、これは“3枚買うと1枚無料”でゲットしたんだけど、Mauro Paganiの『Mauro Pagani』。プログレ・コーナーで見つけたんだ。イタリア人はみんなプログレが好きだよね。



――毎回カバー曲の選曲がマニアックですけど、やっぱりあまり知られてない曲をやろうっていうこだわりがあるんですか?

Matthew:間違いないね。

――たとえばFurtherの『Grimes Golden』っていうミニ・アルバムの、イタリア盤にしか入ってない曲とか…(と言って『Grimes Golden』のイタリア盤を取り出す)。



全員:おお〜っ!

Pedrum:それ、さっきRECOfanで見つけたの?

――いや、私物ですよ(笑)。

Matthew:その12インチには、僕たちがカバーした「J.O. Eleven」って曲が入ってるんだ。

Miles:僕らがカバーすることで、曲に正当な評価を与えたいというか。その曲はアメリカではリリースされていないし、録音状態も良くなかったけど、曲を書いた友人のJosh Schwartzが病気で亡くなってしまったから、彼へのオマージュでもあったんだ。



――この12インチは持ってます?

Matthew:いや、10インチしか持ってないんだ。すごく欲しいよ。

――じゃあ、差し上げますよ。

Pedrum: いやいや!…えっ、本当に?

Matthew: それは僕のだ!(Pedrumから取り上げる)フゥ〜〜!!


Matthew Correia(Dr.&Vo.)


――(笑)じゃあ、Matthewが買ったレコードについて聞きましょうか。

Matthew:僕はブラジルのレコードをいくつか買ったよ。これはしばらく探していたレコードで、Nelson AngeloJoyceの共作。どちらのアーティストも知っていたから、一緒にやっているこの作品が聴きたかったんだ。もう一枚はToquinho。彼のことはあまり知らないけど、このアルバムを再発したMr. Bongoってレーベルは、いいアルバムをリリースしているからね。



――そういえば、Allah-Lasっていうバンド名には由来があるんですか?

Miles:特にないんだけど、歌ってるみたいで響きがいいからね。初めて裏庭で演奏する時に、適当に決めたんだ。

――“LA”が入ってるのは偶然?

Spencer:いや、それは後から気づいたんだ。僕らは考えてたのは、もっとShangri-Lasとか…。

Pedrum: The La’sとかね。

Spencer:ロサンゼルスにちなんだわけじゃないけど、似たところがあるのかもね。

――ところで、前作『Calico Review』のリリースから三年経ってますけど、新作の予定は?

Miles:ちょうど完成したところなんだ。9月か10月か、この秋には出るよ!


Alla-Las - Calico Review
(Mexican Summer)