金曜日に発売されたVampire Weekendの新作『Father Of The Bride』。そのアートワークが公開された時、これまでとは全く違うテイストにファンからも賛否両論が巻き起こったが、それに対してEzra Koenigが、「見開きジャケットの内側には、もっとVampire Weekendっぽい写真が載ってるよ」と言っていたのが印象に残っている。その見開きジャケットの写真がこちら。



早くもこの写真を使ったオリジナル・ジャケットを作るファンまで登場しているが、一目見た瞬間、「あれ、これって日本?」と思ってしまったのは僕だけだろうか。もしかしたら、赤白に塗り分けられた工事用のタワークレーンに、既視感があったからかもしれない。そう思ってよく見てみると、下のほうに「アコム」や「レイク」といった日本の消費者金融の看板が見える。



そしてその左側には何やらオーロラ・ビジョンのようなものが。何度も通っているので間違いない。これは渋谷のスクランブル交差点前のあのビルだ。そう思って昨日銀座に行く途中、京王線の渋谷駅から、スクランブル交差点を撮影してみた。



うーん、近過ぎる。おそらく京王線渋谷駅の真上にあるエクセルホテルから撮影しても、ジャケット写真のようにはならないだろう。ということは、可能性として残るのはひとつだけ。エクセルホテルよりも南にある、セルリアン・タワー・ホテルだ。そう思って海外からの観光者向けのサイトに載っていたセルリアン・タワー・ホテルからの眺めの写真を見てみたら、ほぼ完全に一致。右手のほうに東急百貨店の屋上が見えるのも一緒だ。



「ほぼ」というのは、現在は「MAGNET」という名称になっているオーロラビジョンのロゴが、上記サイトの写真では「109 MEN'S」のままだからなのだが、「109 MEN'S」が「MAGNET」にリニューアルしたのは2018年の4月だから、『Father Of The Bride』の見開きの写真は、それ以降に撮影されたことになる。Vampire Weekendは去年7月のフジロックで来日しているので、その時だと考えて間違いないだろう。じゃあこの写真の女性は? と思っていたところ、フジロックのVampire Weekendのステージにサプライズ出演したHaimのDanielle Haimが、昨日Instagramにこんな写真をアップしていた。



これも確証はないが、おそらく渋谷駅の歩道橋だろう。Danielleの着ているシャツの色も、見開きジャケットの女性が着ているシャツとよく似ている。

つまりVampire Weekendの『Father Of The Bride』は、再開発中の渋谷を写したアルバムということにもなる。渋谷の再開発が終わるのは2020年。そう考えると、細野晴臣の「Talking」をサンプリングした「2021」の歌詞も、トランプ政権の終わりではなく、そんな変わりゆく東京の街に想いを馳せたものなのかもしれない。

2021, will you think about us?
2021年、僕らのことを考えてくれるかい?
Copper goes green, steel beams go rust (Boy)
銅は緑色になり、鉄骨は錆びていく
It's a matter of (Boy)
それは問題
(Vampire Weekend 「2021」)