Photo by Ebru Yildiz

ファースト・アルバムの『Overgrown Path』がFleet FoxesのRobin PecknoldやAndy Shauf、そして元Teenage FanclubのGerard Loveからも絶賛されたシンガー・ソングライターのChris Cohen

そんな彼が先日Captured Tracksからリリースした最新作、その名も『Chris Cohen』の5曲目に収録されている「House Carpenter」(別名「Demon Lover」)はトラディショナル・ソングで、古くはHarry Smithが編纂した『Anthology of American Folk Music』収録のClarence Ashleyのバージョンから、Pete Seeger、Peggy Seeger、Bob Dylan、Joan Baez、Jean Ritchie & Doc Watson、Dave Van Ronk、Paul Simon、Pentangle、Steeleye Spanなどなど、様々なアーティストによって取り上げられています。船旅から帰ってきた昔の恋人(もしくは恋人の姿をした幽霊)に誘われ、結婚相手の大工を捨てて家を出た女性に悲劇が訪れるというこの歌に魅了される人は後を絶たず、Natalie Merchantにいたっては、『House Carpenter's Daughter』なるアルバムまでリリースしているほど。

海外の音楽サイトAquarium Drunkardのインタビューでも語られている通り、Chris Cohenの新作は、伝説のライヴハウスFilmore Eastのマネージャーであり、A&Mレコードの重役でもあった父親の同性愛のカミングアウトと、離婚をテーマにした作品になっていますが、どうして彼はこの曲をアルバムに収録しようと思ったのでしょうか? 先のインタビューで、Chrisは「House Carpenter」についてこんな風に話しています。

「僕はそれを警告だと解釈している。愛を取引のように見てはいけないんだとね」

そんな「House Carpenter」を、歴代の名演と共にお聴きください!




CHRIS COHEN - HOUSE CARPENTER

"We've met, we've met my old true love,
「ついに会えたね、古い恋人よ

We've met, we've met," said he.
ついに会えたね」と彼は言った

"I've just returned from the salt, salt sea,
「俺は塩臭い海から帰ってきたばかり

And it's all for the love of thee."
それもすべて愛するお前のため」


"Come in, come in, my own true love,
「お入り、お入り、わたしの恋人

And have a seat with me.
そしてわたしと一緒に座りなさいな

It's been three-fourths of a long, long year
もう9ヶ月も経つわね

Since together we have been."
わたしたちが一緒にいた時から」


"No, I can't come in and I can't sit down,
「いや、入って座ることはできないんだ

For I have but a moment's time.
ほんの少しの時間しかないから

They say you're married to a house carpenter,
連中が言うにはお前は大工と結婚したそうだね

And your heart will never be mine."
そしてお前の心は俺のものにはならないと」


"I could have married the king's daughter fair,
「俺は王様の娘と結婚することもできた

And she would have married me.
彼女も俺と結婚したことだろう

But I have forsaken her crowns of gold,
けれども俺は彼女の金の冠も投げ捨てた

And it's all for the love of thee."
それもすべて愛するお前のため」


"Will you forsake your house carpenter
「お前も大工を見捨てて

And come along with me?
俺と一緒に来ないか?

I'll take you where the grass grows green
芝生が緑に生い茂る場所にも

On the banks of Iteree."
イタリーの岸にも連れていってやろう」


Then she pickéd up her darling little babe
すると彼女はちいさな赤子を抱き上げて

And kisses gave it three.
三度くちづけをした
Saying, "Stay right here, my darling little babe,
「ここにいるのよ、わたしのかわいい赤ちゃん
And keep your papa company."
あなたのパパと仲良くね」


They had not been on the ship two weeks,
彼らが船に乗って二週間も経たなかった

I'm sure it was not three,
三週間になっていなかったことは確かだ

'Til his true love began to weep and mourn,
彼の恋人が泣いて嘆き始めるまでは

And she wept most bitterly.
彼女はほとんど苦々しく泣いたものだった


"Or is it for your silver you weep?
「お前の銀のことで泣いているのかね?

Or is it for your store?
それともお前の蓄えのことで?

Or is it for that house carpenter,
それともあの大工のことかね

Whose face you'll never see any more?"
お前が二度と顔を見ることのない?」

"A curse, a curse," to the sailor she cried,

「呪い、呪いよ」と船乗りに向かって彼女は泣いた

"A curse, a curse," she swore.
「呪い、呪いよ」と彼女は罵った

"You've robbed me of my darling little babe,
「あなたはわたしから可愛い赤ちゃんを奪った

whose face I'll never see any more."
わたしは二度と顔を見ることができない」


They had not been on the ship three weeks,
「彼らが船に乗って三週間も経たなかった

I'm sure it was not four,
四週間になっていなかったことは確かだ

Until they sprung a leak in the bottom of the ship,
その船の底から水が漏れ始め

And it sunk for to rise no more.
沈んで二度と浮かばなくなるまでは」

■「House Carpenter」名演集