毎週いろいろな音楽を紹介するYouTubeの番組“BIZARRE TV”のメイン・パーソナリティーを務めるROTH BART BARONの三船雅也と、元・森は生きているの岡田拓郎。先ほどそんな二人がBeirutの新作『Gallipoli』について語る記事がタワーレコードの音楽サイトMikikiで公開されましたが、ここでは泣く泣くカットした部分を、未公開写真と一緒に掲載したいと思います。

ボラギノールのCMをイメージしながらご覧ください!

(左から)岡田拓郎、三船雅也(photo:徳永雄紀)


BeirutのZach Condonは1986年生まれ

三船雅也(以下、三船) 僕のひとつ上だ。Fleet FoxesのRobin Pecknoldと同い年ですね。

岡田拓郎(以下、岡田) あと(森は生きているのドラマーだった)増村和彦(笑)。

――その世代なんだ(笑)。出身はニュー・メキシコ州のサンタフェです。

三船 あの宮沢りえの…。

――確かに、あの写真集のイメージが強いですね(笑)。



Beirutを聴いたきっかけ

三船 2008年だから、10年ぐらい前かな。セカンド・アルバムの『The Flying Club Cup』が最初ですね。

岡田 僕はリアル・タイムじゃなくて、ceroのインタビューで名前が出てきて、それで聴きました。ceroが1枚目を出した後のインタビューだから、2011年ぐらいかな。

三船 友達界隈で“新しい輸入盤を買う会”っていうのがあって、僕の担当がこれだった(笑)。

The Take Away Shows

――街中を歩きながら演奏して撮影する“The Take Away Shows”っていう企画を立ち上げたVincent Moonっていう映像作家がいて、彼が『The Flying Club Cup』を全曲映像化してるんですけど、アルバムではOwen Pallettが歌っていた「Cliquot」を歌っているのが、なぜかGrizzly BearのEd Drosteっていうサプライズも(笑)。

三船 “The Take Away Shows”が衝撃だったのは、iPhone前夜のカジュアルなカメラだけで街中で撮影していて、よく見ると裏でもマイク回して、音も凝ってるみたいな。そこが面白いんですよね。



――そういえば、 “The Take Away Shows” のクルーが来日して撮影したこともありましたね。

岡田 それは誰を撮ってたんですか?

三船 テニスコーツとか、友川かずきさんとか。来日して上映会があった時に行きましたね。



ROTH BART BARONのブラス・アレンジ

三船 うちは割と、吹いてもらいたいフレーズが決まっている時は、MIDIとか鼻歌とかで“この音域でどうしても弾いてほしい”って伝えたりもするんですけど、最大でトロンボーン2人とトランペット1人みたいな編成になったりするので、トランペットの竹内(悠馬)くんに譜面を書いてもらったりとか。彼は師匠がキューバ人で、キューバ音楽がルーツにあるので。そっちのテイストがどうしても出てくる(笑)。

――あれはキューバンなんですね(笑)。

岡田 ソロ吹くと、巻き方がすごいキューバっぽいもんね(笑)。あそこがジャズ系じゃないのが面白いなって。

三船 トロンボーンの大田垣くんはどっちかというとジャズ寄りで。須賀くんはKEMURIのメンバー。ファンクとジャズと、キューバとスカが混ざってます(笑)。

――ROTH BART BARONがいつもライヴの最後にアンプラグドで演奏してる「アルミニウム」っていう曲なんかは、ちょっとBeirutっぽい雰囲気もありますね。

三船 確かに、うちにはホーンもいますからね。最初はNeutral Milk Hotelみたいにしたいと思って始めたんですけど。

――じゃあ、Neutral Milk HotelのドラマーのJeremy Barnesが参加していたBeirutと、間接的には繋がってるんですね。

三船 元ネタは一緒なのかもしれないですけど(笑)。でもうちのホーンのメンバーが持ってるルーツとは違うし、投げてみたら全然違う方向に行ったみたいな。



Mouse On Mars

――去年出たドイツのMouse On Marsの新作『Dimentional People』にも、Zachがちょっと参加してるんですよ。
 
三船 そういえばBon IverのJustin Vernonと、The NationalのBryce Dessnerがベルリンのミヒェルベルガー・ホテルでやってた、“PEOPLE”っていうフェスティヴァルがあるじゃないですか。あれにZachとかSam Amidonが出ていて。あの辺の人たちが全員、Mouse On Marsのアルバムに参加してたっていう」
 
――Mouse On Marsの新作の「Sidney In A Cup」っていう曲に、オーストラリアのParcelsと一緒にZachが参加していて、クレジットでは歌詞を書いたことになってるんだけど、実際にはほとんど書いてないらしくて。というか歌詞を書くのが苦手で、曲のタイトルとかもほとんどお兄さんが決めてるらしいですよ(笑)。
 
岡田 どういう力関係なんだろう(笑)。



細野晴臣

――ROTH BART BARONの新作『HEX』にもシンセ・ポップっぽい曲がありましたけど、ああいう音楽も、もともと好きだったんですか?

三船 割と好きでした。このタイミングで、封印しないで出してみようと思って(笑)。



――でも反響は良かったんじゃないですか?

三船 意外とみんな喜んでるっていうか、むしろそこが良いって言ってくれる人もいて(笑)。自分も細野さんの呪いにかかっていたというか、『フィルハーモニー』を聴きまくってたせいもあるかもしれない。

――細野さんは、その辺のアルバムのほうが海外では受けてるみたいですね。『HOSONO HOUSE』とかはアメリカっぽい音楽だけど日本語だし、「何だこれ?」みたいな。

岡田 あの時代にああいう音楽をやっている人がいなかったっていう意味で、アメリカ人は横尾忠則とやった『コチンの月』以降が好きなんだろうけど、『HOSONO HOUSE』とかは、普通にLittle Featを聴いたほうが良いって思われてるのかも。

――海外の人たちはLittle Featが参加した鈴木茂の『BAND WAGON』には辿り着いてないんですかね?

岡田 ジム・オルークぐらいかな。たぶん違う視点なんだろうけど…『BAND WAGON』いないですよね。

――というかLittle Feat自体が海外でどういう評価をされてるんでしょうね。Little Featのフォロワーみたいな人たちも最近あんまり聞かないし。

岡田 「Willin'」とか、Dirty Projectorsにカバーしてほしいな(笑)。



Beirutとトクマルシューゴ

三船 新作には参加してなかったけど、Beirutでアコーディオンを弾いていた人(Perrin Cloutier)は、トクマルシューゴバンドにもいたんですよね。

――そうそう、トクマルくんがアメリカをツアーした時のバック・バンドのメンバーで、ドラマーがThe NationalのBrian Devendorfだったんですよね。

三船 Beirutが来日した時に渋谷クラブクアトロに観に行ったら、トクマルさんがオープニング・アクトをやっていて、アコーディオンの彼も参加してたんですよ。

――Beirutの日本語のМCが意外と上手くて、終演後に「トクマルくんよりもBeirutのほうが日本語上手かった」ってツイートしたら、トクマルくんも「自分の方が日本語下手だった、と言われる。反論なし」とか言ってて、申し訳なかったなと(笑)。

岡田 そういうこと言われるから人の前で話すの嫌になっちゃったのかな(笑)。



そして骨折へ…

三船 Zachと同じで、中学生の頃にスケボーをやっていたので、足を捻挫してテニスボールぐらい腫れたことはあります。でも骨折っていう経験はないんですけど、ちょっと興味はありますね。こういう、ギプスみたいなのやってみたいじゃないですか。
 
――クラスメイトからの寄せ書きみたいな?
 
岡田 そこですか(笑)。でも僕、こう見えて50メートル走めちゃくちゃ速かったんですよ。負けず嫌いだったんで、体育の時とか野球部の奴らに絶対負けたくないと思って本気で走り過ぎて、一週間後ぐらいに足が痛いなと思って病院に行ったら、腰を剥離骨折していて。一ヶ月学校休んで、その間にドラクエを全クリしました(笑)。
 
三船 でもやっぱり、怪我はマインド変わりますよ!
 
岡田 できればしたくないけどね(笑)。