ALBUM OF THE WEEK
*
Anne



Categories
*
Selected Entries
Bookmark
Search This Site
Others
<< [FEATURE] 寛容と共存〜Pinegroveと新作『Skylight』について | main |
[INTERVIEW] The Magic Gang

PHOTO:Teppei

ゆるキャラ風の犬のロゴをバックに、大きめなメガネをかけて歌うヴォーカルのJack、ギターのChris、ベースのAngus、ドラムのPaerisの4人は、The Magic Gangなんて名前が似つかわしくない、穏やかでナードな雰囲気だ。

60年代サーフ・ロックの影響が伺える爽やかなメロディーに乗せて歌う彼らの世界観は、甘過ぎないがピースフル。2018年、Goat GirlやHMLTDをはじめとしたパンク・スピリットを掲げる若手バンドがひしめきあう混沌としたイギリスのロック・シーンで、彼らはのらりくらりマイペースにロマンスを歌うのである。

満を持してリリースとなったデビュー・アルバムを引っ提げ、初のアジアでのライブとなる東京公演を終えた彼らに話を訊いた。
人をどうしたいとかではなく
僕たちにとって音楽は自己表現だね




──先日までUK〜ヨーロッパ・ツアーをしていたようで、いくつかの公演はソールド・アウトにもなってたようですが、どうでしたか。

Jack:素晴らしかったよ! 予想しなかったぐらいたくさんの人たちが来てくれて、本当に良い時間を過ごせた。現実味がなかったね。

Angus:ロンドン公演はO2 Academyだったんだけど、数千人の人々の前で演奏できたからクレイジーだったよ。

──実はあなたたちがイギリス・ツアー中に私も旅行でロンドンにいたのですが、残念ながら行けず…。でもYala! Recordsのパーティーには行って来ました。The MaccabeesのFelixが主催しているこのレーベルからあなたたちのアルバムがリリースされたわけですが、どのような経緯でこのレーベルを選んだのでしょう?

Jack:Felixが新しいバンドに興味を持っていて、探していたことを知っていて一緒にやることになったんだけれど、彼のレーベルからアルバムを出せるなんてエキサイティングなことだね。

Angus:というのもThe Maccabeesはビッグなバンドだから。Felixが僕らのことを気に入ってくれたと最初知った時は興奮したよ! 他にも素晴らしいバンドが所属しているね。

──そうですね、YAKにwhenyoungと良い若手バンドが揃ってますよね。

Paeris:あと、Our Girlもかっこいいよね。

──ところで、あなたちのシンボルの犬のロゴは可愛いですね。誰がデザインしたのでしょう。

Jack:Chrisの兄弟がデザインしたんだ!

Chris:そう、彼はグラフィック・デザイナーみたいな仕事をしているんだよ。色々なアートワークを手がけているんだ。このロゴについては、だいぶ昔に彼がナプキンに描いたやつなんだよ。それを気に入って使ったんだ。彼は素晴らしい才能があるよ。



──あなたたちのEPのアートワークとかも、手がけたことがあったりするのでしょうか。

Chris:えーと、そうだね。確かPaerisとコラボレーションして描いてもらったよ。あと、Tシャツのデザインもやってもらったりね。家族にはお金が入った方がいいでしょ(笑)。

Jack:やるべきだよ、って頼むと彼はいつもハッピーそうだね。「Money!」って。

──確かにそうですね(笑)。EPのアートワークはシンプルでしたが、今作は4人の写真ですね。バンド名をタイトルとしてますし、やはりこのバンド自体を表すような作品ということでしょうか。

Paeris:僕たちの以前のEPのアートワークは音のイメージを与えるようなもので、デビュー・アルバムはそういう風にしたくなかったんだ。空白があって、ユニフォームを着た自分たちがいて、シンプルなんだけれども、でも自分たちがどうであるかというアイディアを確立している。僕たち男の子4人が写っている写真なんだけれども、この作品が僕たちだ、というのを伝えたかった。

Angus:このアルバムは、僕たちが一緒に活動してから4〜5年ぐらいかかってようやくリリースしたものだし、今までの活動を経て制作した作品のコンピレーション的なものになっているね。

Jack:そう、だから僕たちについての紹介的な作品だね。だからシンプルに自分たちのバンド名をタイトルにして、自分たちの写真も使ったんだ。


The Magic Gang - The Magic Gang


──なるほど。私もあなたたちのバンド名をメディアによく見るようになったのは3年前ぐらいで、ようやく! という感じですが、なぜデビュー・アルバムをリリースするのにこんなに時間がかかったのでしょう。

Jack:それには2つの理由があるんだ。ひとつはレーベルだね。なかなか契約するレーベルが決まらなかった。もうひとつの理由は、アルバムをリリースするのに急ぎたくなかったんだ。時間をかけて自分たちのペースでやりたかった。そしてライブで各地を回って、ファンを獲得した今、今作をリリースするのにぴったりだと思ったんだ。

──そういえば、DIYのあなたちのアルバム・レビュー読みました? 「One Directionと反対の方向、インディーな方向でボーイ・バンドの称号をもらう」みたいな書き方から始まっていて、ちょっと面白かったのですが、どう思いました?

Paeris:ああ! 読んだよ! DIYはいつもユーモアがあって、面白いこと書くメディアだよね(笑)。彼らと比較しながら、僕たちは"バンド・ボーイズ"って!

Chris:最初にそういった面白い言い回しから始めて、注意を引くのは良いアイディアだよね。



──さて、アルバムについてもっと訊いてきたいと思いますが、オープニング曲「Oh, Saki」の"Saki"というのは日本ではポピュラーな女性の名前なんですよね。日本人の女性の名前からとったんでしょうか。

Jack:この歌詞はサキという作家の短編からインスパイアされたこともあって、そこから取ったんだけれど、後から日本でよくある名前だって知ったんだ。男と女のロマンティックな歌詞になったんだけれど、あまりそういうタイトルにしたくなくて。でもサキ自体は作家から取ったんだ。

──実は東京に"大崎(OHSAKI)”という場所があるので、もしかしてそれだったりして…と密かに思ってました(笑)。

Chris:本当に!? それは行かなきゃ!! 絶対写真撮りたいね。

※後日、大崎駅まで行き、Instagramのストーリーに写真を載せていました。

──「Caroline」「Jasmine」と女性の名前がタイトルの曲が多いですが、彼女たちは実在の人物なんでしょうか。

Jack:ううん、違うよ。「Jasmine」は僕たちが泊まったホテルの名前だね(笑)。歌詞は確かに僕ららしいロマンチックな内容だけど、僕たち誰もJasmineという名前の女の子とは付き合ったことないね! 「Caroline」は元気づけるような曲で、この名前は僕が一度だけ会った人から取っているんだけど、ロマンチックな関係ではなくて友達だね。

──あなたちの音楽はロマンチックな内容が多いですよね。今ちょうど同じく来日中のShameなど、イギリスの音楽シーンではメッセージ性の強い若手のパンク・バンドが人気のように思いますが、彼らのようなパンク・バンドをどう見てますか。

Angus:Shameとは僕たち友達だし、前に一緒にカラオケしたよ! ポリティカルなバンドは好きだけれど、でも僕にとって音楽を聴くということは現実逃避なんだ。僕たちの音楽がロマンチックでエモーショナルなのはそこに根本があって、人生がいかに辛いか、ということを忘れるためにあるんだ。でも、逆に音楽はメッセージを人々に広く伝えることもできる。彼らみたいに、怒りだったりを発散することができる。でも個人的には、僕にとっては音楽は政治のトピックを考えるというよりは逃避するためのものだね。

Jack:そういう自分たちのスタイルを貫く姿勢がポピュラーだね。いや、彼らはパンクだから、パンクだと言うべきなのか。



──つまり、パンクのアティテュードとは反対に、音楽を通じて人々をハッピーな気分だったり、どちらかと言うとポジティブな感情にしたい、ということでしょうか。

Chris:いやそれも実は違うのかな。もちろん音楽で人々に何かを与えることも良いんだけど、人をどうしたいとかではなく、僕たちにとって音楽は自己表現だね。

Jack:ハッピーにしたいというより、ハッピーな気分でもネガティブな気分でも、僕たちの経験を基にした音楽で人々が共感してくれれば良いなと思う。でもどちらかと言うとポジティブな感情のほうが強いかな。

──あなたちの音楽は60年代ののサーフ・ロックの影響を感じるスタイルですが、Kendrick Lamar等のヒップホップも聞くそうですね! 文化系なあなたたちのオススメが他にもあったら教えてください!

Augus:もちろん!僕はIAMDDBが大好きだね。スペルは、I AM DDBを1ワードで♪(ラップ風でスペルを教えてくれました)。UKっぽいヒップホップで、Erykah Baduの感じもあるんだけど、そして何よりクールなのは、ジェンダーのラップのスタイルの、ステレオタイプをぶち壊すようなアーティストなんだよ。ぜひチェックしてみて!



Paeris:ヒップホップではないけれど、さっきのポリティカルな話で思い出した! Sports Teamっていうバンド知ってる? 以前一緒にツアーをしていたんだけど、彼らも政治的なメッセージが強いようなバンドでオススメだね。僕たちとは少し反対だけれども。



──チェックしてみます。以前、「The 1975やArctic Monkeysのようなメインストリームのバンドになりたくない、昔ながらの典型的なギター・バンドにはならない」というような少し尖った発言を他のインタビューで見かけたのですが、あなたたちが目指すバンド像を教えてください。

Jack:あ、そのバンド名言っちゃダメかも(小声)。

Chris:インディー・ポップにはなりたいんだけれども、ポップにはなりたくないんだよね。

Jack:思うに僕らは商業的ロック・バンドにはなりたくないんだと思う。知っている売れているバンドってやっぱり、典型的なロック・バンドにシフトしてくんだよね。でも僕らの音楽に対するプライオリティってそこじゃない。

Chris:もちろん、売れているバンドの中でも、アート的ないわゆる商業的なものでないのもいると思う。いやArctic Monkeysのこの前のアルバムも良かったけどさ、やっぱ最初のやつが良かったな。ビッグになっていくってことは万人受けするポップ・ミュージックになってく必要がある。でも僕らは、ビッグになれるなら越したことないけど、自分たちのスタイルで、インディーな感じでクールにいきたい。
Posted by 栗原葵
INTERVIEW / 22:30 / comments(0) / trackbacks(0)
COMMENT









Trackback URL
http://monchicon.jugem.jp/trackback/2243
TRACKBACK