photo by Chiaki Karasawa
3月に初来日し、往年のロック・スターを思わせる扇動的なパフォーマンスで話題騒然となったArrow de Wilde率いるStarcrawler。彼女たちがフジロックフェスティバル '18にて帰還し、再びロックンロールの狂乱を巻き起こした。白目をひん剥きながら、血糊を吐き、暴れまわるヴォーカルArrowは、目撃した者に強烈なインパクトを残したに違いない。
フジロックに向かう前、存分に日本を楽しんでいる様子の彼女たちに話を聞いてみた。
単に、みんなをビビらせたいの
──既に東京を満喫しているようですが、数ヶ月ぶりの東京はどうですか。
Tim Franco(Ba.):楽しいよ! 今回はまだあまり遊びに行けてないけど、前回の来日ではいろいろ行ったし、いつも楽しいね。
──セックス・ショップに行ってたみたいですけど、アメリカと日本では違いますか。
Arrow de Wilde(Vo.):Austinと一緒に行ったんだけど、似てるけどちょっと違うわね。LAのリトル・トーキョーにあるセックス・ショップと雰囲気似ているかも。
Henri Cash(G.):僕は行ってないよ!
──何か買いました?
Austin Smith(Dr.):ううん、見てただけだよ。(冗談で)Timは何か買ったんじゃない?(笑)
Arrow:クールなランジェリーはあったね。
──InstagramのストーリーでArrowが「Kawaii or Die」と投稿していましたが、日本のどんなKawaiiカルチャーに興味がありますか?
Arrow:ただ、Japanか何かのワードで検索したら出てきたのよね。面白かったから使ってみたの。
──Kawaiiという言葉で連想するものはありますか。
Henri:楽しくてキュート!(ポーズをとって)Kawaii〜!!
Arrow:日本のお菓子はカワイイ顔とかキャラクターがよく載ってるな、って思う。
Austin:日本の服装とかもカワイイよね。あとみんな人が笑顔でハッピー。
──お気に入りの日本のお菓子はあります?
Austin:きのこの山。
Tim:おにぎり!
Arrow:餅かな。あずきが乗っているやつ。
Henri:だし巻き卵。寿司。
Tim:お茶が好き。緑茶とか。あと東急ハンズが好き。
──前回の来日からヨーロッパ・ツアーやフェスをこなして忙しそうでしたが、どこの国が楽しかったですか?
Henri:ここ!
Tim:日本は人もハッピーだし、日本のファンは最高。あとオランダ。
Austin:バルセロナも楽しかった。
Arrow:あとロンドンも良いショーだったね。友達も住んでいるから楽しかった。
──「Love's Gone Again」のミュージック・ビデオは前回の来日の様子が撮影されていますが、なぜミュージック・ビデオに日本公演を選んだのでしょう。
Arrow:そうね、日本は好きな国だし、クレイジーなライブだったから、何かしら形として残しておきたかったの。
──私も前回チェルシーホテルでのライブに行きましたが、とてもエキサイティングなショーでした。日本の観客は他の国と違います?
Austin:そうだね、違うと思う。みんな楽しそうだね。興奮してる。
──前回のライブに行った時に少し驚いたのが、あなたたちと同世代の若者よりも、親世代ぐらいの年上のファンが多かったんじゃないかなと。
Tim:僕らのファンは、ロックが若い時に流行ってたような年上のファンは多いかもね。
──ちなみにNYのチェルシーホテルは行ったことあります?
Tim:うん、あるよ。ギターが飾ってあった。
Henri:そこはホテルだから東京のとは全然違うよね。建物が並んでいる中にあって壁とかクールだった。
──監督としてArrowの名前がクレジットされているのですが、映像の仕事や監督業にも興味があるのでしょうか。
Arrow:ええ、ビデオを撮ることには興味はあるわね。でもどんなビデオかにもよるわ。どちらかというと日記的な感じで個人的にビデオ撮ったりするのが好き。
──「Chicken Woman」のミュージック・ビデオも先日公開されましたが、グロテスクで恐かったです。 『悪魔のいけにえ』というホラー映画に似ていると思ったのですが、アイデアはどこからきたのですか?
Arrow:ああ、実はアイデア自体は別の映画からきているの。フランスの殺人の映画なのよね。タイトルはなんだったかな。参考にするのに私たち、色々なホラー映画やポルノを見ているの。日本の映画も見ていて、『自殺サークル』が大好きだわ。
──ビデオの中で黒い液体をかけてるシーンがありましたけど、あの黒いものは何ですか? 最初日本の墨かと思いました。
Arrow:あれはタールね。中世の拷問で熱々のタールをぶっかけるのがあって、それを意味しているの。
──ビデオもですし、ステージ上でも血糊を吐いていますが、血はあなたたちにとって何の象徴なのでしょうか。
Arrow:単に、みんなをビビらせたいの。
──アルバムのジャケットも女の子と血の写真ですが、女の子は友達ですか?
Arrow:そう、家族ぐるみで親しくしている友人ね。
──「Chicken Woman」にはモデルがいるんでしょうか。
Henri:イエス。高校の時に、ダウンタウンから歩いて行って、チャイナタウンにクレイジーな人たちがいたんだ。その中に、鶏を何匹か連れている女性がいて、鶏たちのキャプテンみたいになっててさ。その人がモデルなんだ。最近はその辺りを歩いてないからね。ていうか学校も行ってないし。
──学校やめちゃったんですか? ミュージシャン1本で生計を立てようと?
Henri:うん、ひとつのことに集中した方がうまくいくだろうからね!
──ちなみに高校時代はそれぞれどんな感じでした?
Austin:楽しくなかったね。ナードな高校生だった。僕は二人しか友達がいなかった。
Tim:僕も音楽だけだね。バンジョーとかやってた。
Austin:ハハ。じゃTimは友達きっといなかっただろうね。
Tim:高校は色々やらなきゃいけないことがあるから、ひとつのことに自分の時間を使うのは少し難しかったなって思う。
Henri:僕はクールな存在だったと思う。でArrowもクールだったからハングアウトした。と思ってたけど、僕らがクールだから学校で浮いてたのかな(笑)。今のほうが自分らしい。高校では試験だけ気をつけてれば良いよね。
──同世代の他の友達は何の音楽を聴いていたのでしょう。やっぱり最近のポップとか?
Henri:僕の友達はOzzy Osbourneを聞いてたね(Arrowを見ながら)。
Arrow:Henriと共通の友達はアンダーグランドな趣味だった。60年代のロックを聴いてたね。
──あなたたちはオールディーズをよく聴いているイメージですが、最近のポップ・ミュージックとかは聴かないんでしょうか。
Austin:僕はヒップホップも聴くね。
Tim::Gwen Stefaniは好き。
Henri:ABBAは最高だね。
Austin:高校の時つるんでたやつは、パンクとかメタルを聴いてたね。Sonic Youthとかさ。
Arrow:私もGwen Stefani好き! カラオケ行きたい!
Austin:このインタビューの後のプランだね(笑)。
──カラオケでは何歌うんですか?
Henri:Sheryl Crowとか。あと僕のおじいちゃんはいつもシナトラの「My Way」を歌ってる。
──シド・ヴィシャス版の「My Way」もありますよね。
Henri:そうなんだ、知らなかった。あとJohnny Cashも歌うよ。
※Joy Divisionの「Transmission」やBritney Spearsの「Toxic」を歌っていた模様。
──Instagramのストーリーの投稿が頻繁で、最近私の好きなバンドやアーティストもそういった傾向があるのですが、何か発信するのにはやっぱりInstagramがちょうど良いのでしょうか。
Arrow:Facebookのアプリは削除しちゃったのよね。Instagramは簡単。
Henri:僕もInstagramだね。他のSNSよりも楽しいし簡単だし。どこに行ったとか、何をしたとか、思い出を記録しておくのにちょど良いんだ。
Tim:Twitterは政治的だったり、難しい。
──新しい音楽を見つけるのにもInstagramを使います?
Austin:そうだね。新しいバンドを見つけたりすることもあるよ。
Henri:僕はYoutubeで音楽をチェックすることが多いね、簡単だから。てか僕、ユーチューバーなんだよ!(笑)
──Arrowはイラストを描くのが好きとのことで、ファンのイラストもよくインスタにアップしていると思いますが、どういった絵を書いているのでしょうか。
Arrow:うーん、何かな。エンジェルをよく描いてるわ。女の子を描いているね。ホット・ガールを描いてる。
──音楽以外で何か趣味はありますか?
Tim:自転車、歌、スケボー。最近はスケボーしてないけど。
Henri:オンライン・ゲーム。ゴルフ。レゴ。
Tim:ペインティングもするよ。壁に書いたりするやつ。
Henri:ボーリングは好き。Timはうまくないけど。
──東京だったら、笹塚ボウルで音楽を聴きながらボウリングできますよ。
Henri:行きたい! あとで行こう! 東京の地下鉄は複雑でよくわかんないよね。だから、みんなが教えてくれるんだけどさ、英語できない人とかもいるから、一緒に歩いて案内してくれる。あと、シカゴ(古着屋)も行く。
──今年の今のところのベスト・アルバムや、ベスト・ソングがあったら教えてください。
Henri:うーん。なんか色々あるけどあんまり思い出せない。
Arrow:Skating Pollyとか…。
Henri:去年のだけど、Queens of the Stone Ageのアルバムも好きだな。
──ところで、最近出したシングルのB面(日本盤のボーナス・トラックに収録)で「Castaway」という曲がありますが、これはファースト・アルバムを手掛けたRyan Adamsではなくて、デビュー・シングルの「Ants」と同じRedd KrossのSteven McDonaldがプロデュースしていますよね。ということは古い曲なんでしょうか?
Henri:これは僕らが最初に作った曲だね。かなり古いものだよ。ライブでも歌う。
──なぜアルバムに入れなかったのでしょうか。
Henri:Ryanと新しい曲を数曲を作っていて、Stevenとは少しスタイルが違うから入れなかったんだ。Stevenは僕らの音楽スタイルを確立するのに手助けしてくれたよ。気に入ってないわけではないんだ。毎回ライブの始めに演奏しているよ!
──フジロックでも演奏します?
Henri:もちろん! 最初に演奏するつもり!
Comments
面白いインタビューで楽しませていただきました。私は彼らと同世代のファンなのですが、彼らの人生観のようなものに興味をそそられました。もし、またインタビューする機会がありましたら、生い立ちや人生観についてさらに聞いていただきたいです!
インタビューお疲れ様でした。有難うございます。
こんにちは!インタビュアーの栗原です。
コメントありがとうございます!
今回は仰る通り彼らの音楽がどのように作られていくに至ったかのライフスタイルや考え方が訊けたのではないかと。 K-TA SZKさんは同世代ということでもしかしたら共感できる部分もあったでしょうか?
楽しんで読んでいただきありがとうございました。
Monchicon! 栗原 葵