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[INTERVIEW] Courtney Barnett

photo by Pooneh Ghana

オーストラリアのシンガー・ソングライター、Courtney Barnettの3年ぶりのセカンド・アルバム『Tell Me How You Really Feel』の冒頭を飾る「Hopefulessness」には、やかんの沸く音が収められている。

グラミー賞のベスト・ニュー・アーティストにノミネートされたデビュー作『Sometimes I Sit and Think, and Sometimes I Just Sit』のリリース後、曲が書けずスランプに陥っていたというCourtney。しかしKurt Vileとコラボレートした昨年の『Lotta Sea Lice』を経て届けられた今回のアルバムでは、失いかけていた自信を取り戻した彼女の言葉が、蒸気のように噴き出しているのだ。

ネットでの心無い中傷に耐えかね、怒りを露にするリード・シングルの「Nameless, Faceless」や、The BreedersのDeal姉妹をコーラスに迎えた「Crippling Self Doubt and a General Lack of Self-Confidence」など、いつになく自分自身の感情に向き合った楽曲が並んだ本作。その背景には、一体どんな心境の変化があったのだろう? そこで今回は、ドイツ人ジャーナリストのPatrick Sudarski氏が2月に行った彼女へのインタビューを、翻訳して紹介することにした。

Courtney、本当はどう思っているの?


曲作りの過程で味わう失望は気に入ってる(笑)
その後の報われる思いもね


──Kurt Vileとのアルバムに続き、新作の発表です。彼との共演は新作『Tell Me How You Really Feel』にどのような影響がありましたか?

Kurtとのアルバムは2年という期間に渡って作ったもので、その二度のセッションの間にJen Cloherの新作のレコーディングにも参加したわ。それに加えて自分の新作の曲も書いていた。色々なプロジェクトがあって、それぞれ違うアイデアだったり、違う役割で関われたのは良かったと思う。色々なミュージシャンとプレイすることで、たくさんの刺激をもらうことができた。

──曲はそれぞれどうやって出来て行ったのでしょうか。書き溜めたものがたくさんあって、それをプロジェクト毎に仕分けしていくのですか? たとえば「これはKurt Vile用」とか。

Kurt用に書いた曲、というかKurtとのアルバム用に書いた曲は、どれもあの作品以外は考えられなかった。どこに属するべきか聴けばわかる。はっきりしないものもあるけど、徐々に見えてくるものよ。



──ツアーの合間にまとまった曲作りの期間を設けるのですか? 具体的にどのように進めているのか教えて下さい。

そうね…。前作のツアーを終えてから、新しいレコーディングに向けたアイデアに取り組み始めたの。他のこともやりながらだけど、ツアーではなかったわ(笑)。

──Kurt Vileとやって何か大きな発見などはありましたか? 新作を形作る上で参考になったような。

あえて取り上げるような壮大なものはなかったけど、ちょっとした学びがたくさんあったのは間違いないわ。これだけ色々な創作活動をして、ツアーをして新しい人たちとの出会いがある中、目と心を開いて新しい経験を受け入れないのは間違っているわ。だから当然私も個人的なことから、仕事上のこと、音楽的なことまで、ちょっとしたことを吸収したわ。

──新作を作る上で一番のチャレンジは?

新作で一番のチャレンジ? 毎日腰を据えて自分と向き合うこと。以前よりもやったわ。思いついたアイディアを一度バラバラにして、とにかく曲と書く実践を重ねることで、アイディアが自然に形成し、変形していくのを目指したの。時間のかかる作業だったけど、やった甲斐があったわ。

──それは曲作り、あるいは制作作業のルーティーン化を図る意味もあったのですか?

そうね。試しにやってみようと思ったのは確か。毎日曲作りを行うことを習慣付けようと。これまでやったことがなかったから。いつも時間が余った時に曲を書いていた。まとまった時間を確保して、やってみたらこれが結構面白くて。机に向かって、絞り出すの。これが最善の方法なのかはわからないけど、試しにやったのは良かった。

──国を超えたアーティストや作品に向けて曲を書くという点でも、そうやって自分を追い込んだほうがうまくいくと思いましたか?

どうだろう。このアルバムを作るにあたって、ものすごくたくさんの曲を書いたわ。その時の紙の束とノートが何冊もあるわ。でも、その多くは決まって酷いものなの。でも、それで落ち込んだり、恥ずかしいと思わないようにしようと思ってる。私は昔から努力家だった。曲がどこからともなく降って湧いてくるものだとは思わない。幸運の女神が現れて曲をプレゼントしてくれるとも思わない。でも、作る過程で味わう失望は気に入っている(笑)。その後の報われる思いもね。



──曲を作る際に、特定の香りを炊くとか、祭壇をおくとか、特別な環境は必要ない? どこでも書けますか?

自分には意味のあるちょっとしたものを色々集めてて、それを机の上に置いているわ。そこまで迷信深いわけではないんだけど、そういうのって嫌いじゃなくて。祖母からもらったちょっとしてものをいつも持ち歩いているわ。そういうものを持っているのってなんとなく素敵だと思う。楽しいし。

──アルバム・タイトルの『Tell Me How You Really Feel』ですが、あなたなりの政治的、あるいは社会的なメッセージが込められているものなのか、それとも身近な誰かに宛てたものなのでしょうか?

色々な意味を含んでいるわ。皮肉を込めた、若干攻撃的な…「本当はどう思ってるのか言いなさいよ」というのもありだし、真面目に、静かな口調で、心から気にかけている「本当はどう思っているの」というのもあり。そのどちらでもあると思う。

──多くの人があなたを女性のロールモデルと見ていますが、それについてはどうですか?

最高よ。ここ2年で、Girls Rock Campといった色々な活動にも関わってきた。ここでもある? アメリカではすごく盛んで、オーストラリアでも最近始まったばかりじゃないかしら。「あなたは自分にとってのロールモデル」と言われるのはいつだって光栄なこと。間違いないわ。

──最近“虐待的な白人男性”についての記事もありましたが、女性アーティストとしてもっと発言する責務があると感じますか?

ひるむことなく堂々と発言したいと思っているわ。高い意識を持った人たちの多くが同じように思っていると思う。それとは別に、子どもたちにお手本を示すというのも大事だと思っている。自分だってなりたいものになれるのだ、という。そういうお手本がなければ、可能だと思えないから。私は女性のロックスターやソングライターをあまり知らずに育った。わざわざ“女性シンガー・ソングライター“と言うくらい今でも真新しいものとして語られる。「まあ、彼女がどれほどのものかみてみようじゃないか」みたいな(笑)。本来なら普通の当たり前のことのはずなのに。早く当たり前のことになればいい…。でも、前例をしっかり示していくと言うのは大事なことだと思う。

──自分自身、そして自分の周りの範疇を超えた事柄についても語る責任がアーティストとしてあると思いますか?

それはアーティスト次第だし、個人の問題だと思う。でも、発言する手立てがあって、影響力もある以上、責任が伴うのは確かよ。アーティストであること自体が既にある意味政治的でもあると思う。そんな自分の立場を使って、発言することは大事なことよ。

──あなたが紡ぐ物語の多くは強い女性ならではの視点があると思いますか? それとも、より普遍的で性別に関係ないものだと思いますか?

どうかしら。永遠の課題とも言えるわ。語り出したらきりがない(笑)。例えば、性別と言うものの捉え方も凝り固まっている。何が「女の子らしい」とか、何が「男らしい」とか。あるいは、「男は強くなきゃいけなくて、女はか弱くなきゃいけない」とかね。だから、女性シンガー・ソングライターも繊細で、自分の思いや気持ちを歌って、男は逞しく、勇敢じゃなきゃいけないって(笑)。お互いが張り合う必要はないと思うの。普遍的で、オープンな考えを持ち、みんなが一つになるべきであって、「男対女」と言う構図じゃないわ。でも、そうするには、男性ソングライターたちに限らず、世の男性たちが意識を変える必要があって、議論に参加すべきだと思う。間違っていることについて女性ばかりに発言させるのではなく。だって、こう言うことを質問されるのはいつだって私たちの方ばかりで、彼らはないでしょ(笑)。



──人々があなたの音楽に共感する理由の一つが、あなたの歌詞がフィルターなしで、凄くパーソナルで、時には辛辣にさえ聞こえるからですが、取材やメディアを通してそれを知った以上、あれほどの親密性を保ち続けるのは難しいと感じますか?

そこまで考えたことはないわ。精一杯いい曲を書いて、それがどう受け止められるか、どう思われるか、どう解釈させるかまでは考えないようにしている。それをしてしまうと、別の視点が作品に色々入ってきてしまって、完全に別物になってしまうから。ありのまま曝け出すのは簡単ではないわ。でも、一人で自分と向き合うことでありのまま出しやすくなる。

──今の時代、プライバシーを守ることがだんだん難しくなってきていますが、アーティストだと特にその辺を犠牲にしなければいけないと考える人がいます。アーティストとして、プライバシーは守りたいですか。それともあまり気にしないですか。つまり、歌詞を書く上で、どこまで正直に全てを曝け出す覚悟がありますか?

自分が曝け出していると感じたらそれでいいわけで、実際にどれだけ曝け出しているかなんて誰にもわからないわけでしょ(笑)。だから何とも言えないわ…。

──今後のライヴはどのようなものが期待できますか。花火など大掛かりな仕掛けがあるのか、あるいは直球のロック・ショウなのか…。

今度のツアーは凄くシンプルよ。シンプルなほうが昔から好きなの。ムードを出す照明の演出くらいはあるけど、花火はないわ(笑)。色々なアーティストに頼んで、素晴らしいプロジェクションを用意して、バンドの後方に映し出したこともあったわ。あれは結構クールだった。今回はもう少し簡素化して、昔ながらの、歌が主役のライヴにするつもりよ。

Posted by Monchicon
INTERVIEW / 23:08 / comments(0) / trackbacks(0)
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