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[INTERVIEW] Iceage

photo by Steve Gullick

誰も知るように、栄光の味は苦い──そんな一文で締めくくられる三島由紀夫の小説『午後の曳航』に登場する残酷で早熟な不良少年グループの姿は、10代でデビューしたデンマークのバンド、Iceageのメンバーとどこか重なる。立て続けに発表した3枚のアルバムが賞賛され、若くして栄光の味を知った彼らだったが、2014年の前作『Plowing Into The Field Of Love』を最後にリリースが途絶え、近年はフロントマンのElias Bender Rønnenfeltによるソロ・プロジェクトのMarching Churchなど個々の活動が目立っていただけに、バンドの動向を心配していたファンも多かったかもしれない。

そんな彼らから届けられた4年ぶりの新作『Beyondless』には、初期の性急なポスト・パンク・サウンドから変化を遂げた前作同様、ホーン・セクションやヴァイオリンなど様々な楽器が配され、バンド史上初のゲスト・ヴォーカルとしてSky Ferreiraを迎えた「Painkiller」や、ブルージーな「Thieves Like Us」、Tom Waitsを思わせるキャバレー・ミュージック風の「Showtime」など、20代の後半を迎えたバンドの、成長の跡がしっかりと刻まれている。

先月リリースに先駆けて“Opening Nights”と題したイベントを東京で開催し、アルバムからの曲をいち早くライヴで披露してくれたメンバー4人が、帰りの飛行機に乗る数時間前にインタビューに応じてくれた。


人を喜ばせるためではなくて
自分たちがやりたいことをやりたい


──古本屋の袋が脇に置いてありますけど、何か見つけたんですか?

Elias Bender Rønnenfelt(vo.):そう、神保町に行ってきたんだ。将来の曲のタイトル候補をたくさん見つけたよ(笑)。もっと時間があればね。ケネス・アンガーの『ハリウッド・バビロン』の日本版とか、装丁が美しいと思ったんだけど、買っても読めないから結局諦めたんだ。

──『ハリウッド・バビロン』の日本版、持ってるんで今度送りますよ(笑)。そういえば三島由紀夫の『午後の曳航』が好きなんですよね?

Elias:うん、三島由紀夫はメンバーみんな好きなんだ。あの小説は、美しさとグロテスクさのバランスが魅力的だと思ったんだよね。

──三島由紀夫に『音楽』っていう小説があるんですけど知ってます?

Elias:いや、知らなかった!

──オーガズムを感じると音楽が聴こえるという女性の話なんですけど、あなたたちの新作にも「The Day The Music Dies」というタイトルの曲がありますよね? プレス資料によると「音楽についての曲ではない」ということで、何かのメタファーだと思うんですが、何について歌っているんでしょう?

Elias:あれは終わりを待っている感情についての曲で、その終わりを乗り越えていくことについての曲なんだ。

──オーガズムとは関係ない?

Elias:(笑)まあ、曲の内容についてはあまり特定したくないというか、聴いた人に委ねたいんだよね。



──先日の渋谷duo MUSIC EXCHANGEでのライブを見たんですが、あなたたちの演奏の前に30分ぐらい詩の朗読がありましたよね? あれは誰のアイデアだったんでしょう?

Elias:僕らのアイデアだよ。(詩の朗読をしてくれた)Total ControlのDan Stewartとは長年の友人で、一緒につるむための口実になると思ったんだ。日本とオーストラリアは近いからと思って呼んだんだけど、10時間ぐらいかかったらしいね(笑)。

──新作から「Showtime」という曲だけ演奏してませんでしたが、あの朗読が「Showtime」の代わりだったとか?

Elias:それはちょっと違う(笑)。Danの詩はtwitterとか、SNSに流れている意味のない言葉についてのものだったけど、「Showtime」は舞台の上で自殺してしまう曲だから、特に関連性はないよ。

──今回のイベント名は「Opening Nights」でしたが、ギターのJohanも以前「Opening Nights」というカセット作品をリリースしてるんですよね。何か関係あるんでしょうか?

Johan Surrballe Wieth(Gt.):よく調べたね(笑)。自分でも完全に忘れてたよ。

Elias:Megan名義のやつ?

Johan:そうそう。7年前かな? でも50本ぐらいしか作ってないから、今その名前が出たことに感動してるよ(笑)。

──イベント名はジョン・カサヴェテスの映画『オープニング・ナイト』から?

Elias:これもJohanのアイデアだったんだけど、映画からインスピレーションを受けたわけではなくて、毎晩毎晩がプレミアになるという意味で、このタイトルを付けたんだ。

──そういえば、レーベル・メイトのYo La Tengoが以前フェスティバルで発売前のアルバムの曲ばかり演奏したら、ファンからヘイトメールが送られてきたという話をしていたんですが、今回の試みはどういった意図だったんでしょう?

Elias:僕らにとってはずっとやってきたことだから、オーディエンスも驚かなくなってると思う。変化を快く思わない人たちもいるだろうけど、ライヴはこういうものだっていうルールもないし、自分たちは人を喜ばせるためではなくて、自分たちがやりたいことをやりたいんだ。

──オーディエンスの反応はどうですか?

Elias:すごくポジティヴな反応が得られているよ。日本以外ではオランダとアメリカでしかやっていないんだけど、みんな音楽に浸ってくれているし、気に入ってくれていると思う。特に日本のファンは跳ね回ってくれて、でも音楽には集中してくれていたし、飲んだり喋ったりして、音楽は二の次っていう感じではなかった。



──滞在中に行われたフラワー・アーティストの東信さんとのコラボレート・ライヴは、どういった経緯で実現したのでしょう?

Dan Kjær Nielsen(Dr.):奥さんが彼の作品を見せてくれて、ずっと気に入っていたんだよね。以前BIG LOVEのHarukaが彼のことを話していたような記憶があって、それで頼んでみたんだ。

Elias:最初はちょっとした作品を作ってもらうだけのつもりだったんだけど、ショー全体を手掛けてくれたんだよね。

──そういえば、ステージの後方に掲げてあったアルファベットの“Y”を重ねたようなロゴって、何を意味してるんですか?

Elias:あれはバンドのイニシャル(IとA)を重ねたものなんだけど、何か新しい表現をしてみたくて、最近ちょっとだけ変えたんだよね。

──ところで、Amen Dunesの新作『Freedom』は聴きましたか?

Elias:まだ聴いてないんだ。すごく良いって評判だけどね。彼の前のアルバムに、僕も参加してるんだよ。


Eliasがヴォーカルで参加したAmen Dunesの前作『Love』収録曲


──どういう経緯で参加することになったんですか?

Elias:きっかけは忘れちゃったけど、ニューヨークで彼と会って、2、3曲で歌ってくれないか頼まれたんだよね。

──場所は違いますが、今回のアルバムも前作同様スウェーデンのスタジオでレコーディングされていますよね。どちらのスタジオもDungenというバンドが使っていることで知られていますが…。

Elias:Dungen? スウェーデンの? そうそう、でも彼らの音楽自体は詳しくないんだ。

Dan:最初はコペンハーゲンから離れたくて、ブリストルだったりベルリンのスタジオをあたってたんだけど、ベースのJakobの知り合いにスウェーデンのスタジオの関係者がいて、マネージャーからの推薦もあってそのスタジオに決めたんだ。

──前作をレコーディングした際は、スタジオにあったマンドリンやチャーチ・オルガンといった楽器を使ったそうですが、今回はどうでしたか?

Johan:ダルシマーとか、変な弦楽器をたくさん使ったね。あとは改造したウーリッツァーとか。

Elias:細かいところは耳を澄まして聴いてもらえたらと思うんだけど、今回のアルバムではシェイカーとか、タンバリンとか、パーカッションを効果的に使っているよ。

──今回のライブでも演奏していた「Theives Like Us」という曲はブルースっぽい曲で、意外と反応もよかったと思うんですが、どういう音楽からインスピレーションを受けてるんでしょう?

Elias:あれはJohanのギター・リフから生まれた曲で、一概に何から影響を受けたとは言えないんだけど、酔っ払ったブルースって感じかな。

──ロバート・アルトマンにも『ボウイ&キーチ(Thieves Like Us)』という映画がありますけど…。

Elias:本当に? 『ナッシュヴィル』と『三人の女』は観たことがあるけど、それは知らなかった。無意識のうちに盗んでいたのかも(笑)。

──ナッシュヴィルといえば、前作に収録されていた「The Lord’s Favorite」はちょっとカントリー・ロックっぽい曲で、激しい曲よりも盛り上がっていたように思いました。

Elias:グルーヴがあるからかな? 激しい曲があるからこそ引き立つんだと思うし。お互いに押し合ったりするんじゃなくて、飛び回るというか。



──アメリカっぽい音楽に興味を持ったきっかけは?

Johan:そういう音楽も以前から好きだったんだ。というか、僕らはアメリカだけじゃなくて、アフリカとか、いろんな国の音楽に興味を持っているからね。

──そんなところで時間が来てしまいましたが…。

Elias:えっ!もっと訊いてよ!あと1問!

──(笑)じゃあ最後にひとつだけ。新作の1曲目の「Hurrah」という曲は戦争について歌われていますが、戦争を知らないあなたたちが戦争について歌うことには、どんな意味があるのでしょう?

Elias:あの曲には兵士の視点から歌われている部分があるけど、もっと人間の奥底に潜む殺意というか…。そうやってお互いを殺しあうということがこの世界では常に行われていて、その危険性について歌ったものなんだ。

Posted by Monchicon
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