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[INTERVIEW] Unknown Mortal Orchestra

photo: Neil Krug

ニュージーランド生まれのRuban Nielson率いるポートランドのサイケデリック・バンド、Unknown Mortal Orchestra。先立って発表された新曲「American Guilt」は、ヘヴィなギター・リフに乗せて、アメリカで暮らすことの罪悪感を歌ったガレージ・ロック・チューンだった。

そんな「American Guilt」を含む3年ぶりの新作『Sex & Food』には、幼い子供たちへの愛情と、成長した彼らが暮らす未来への不安が込められているという。Jimi HendrixやPrinceといった、今は亡きレジェンドたちの亡霊が憑依したかのような演奏を聴かせるアルバムについて、Rubanが語ってくれた。



最もロックだと思うバンドのひとつはギターウルフ


——昨年の来日公演はいかがでしたか? 2013年に初来日した時には東京でオーストラリア人の女性と知り合って、それが前作『Multi-Love』のモチーフになったそうですが、何か印象に残る出来事はありました?

来日公演はすごく良かったよ。日本で最初の単独公演だったしね。最初に来日した時は、東京に行ったことがなかったから、とにかく限られた時間でどこかに行こう、何か見ようとしていたけど、2回目はもっと落ち着いていたから、特に何もなかったな(笑)。したことといえば、スタッフと飲んでマンガについて語ったくらい(笑)。

——前回は行かなかったけれど、その時に行った場所などはありますか?

どこに行ったんだったかな…日本の皆にとっては、普通すぎてつまらない場所だと思うよ。ベース・プレイヤーが俺たちをラーメン屋に連れて行ってくれたんだけど、どのラーメン屋だったかは覚えていない。一人一人席があって、シートに書き込むところだったな。

——一蘭ですね(笑)。

そうなんだ(笑)。チェーンって聞いたけど、俺にとっては素晴らしい店だった(笑)。美味しかったし、あんな雰囲気でラーメンを食べるのは新しい経験だったからね。君たちにとってはなんてことないんだろうけど(笑)。あと、ゴールデン街も行ったよ。あれも面白かった。

——あなたは日本のアニメ『新世紀エヴァンゲリオン』のファンで、7歳になる娘さんはきゃりーぱみゅぱみゅにハマっているそうですが、『ドラえもん』という日本のマンガの作者藤子・F・不二雄が、性欲と食欲が逆転した世界を描いた「気楽に殺ろうよ」という短編があるのはご存知でしょうか? その世界では人前でセックスをするのが当たり前で、逆に食事は恥ずかしい、というストーリーなのですが、要するにどちらも人間にとっては不可欠ということです。あなたたちの新作のタイトルは『Sex & Food』ですが、このタイトルを選んだ理由は?

エヴァンゲリオンは息子が好きなんだ。で、エヴァンゲリオンを俺に紹介してくれたのは、さっき出てきたオーストラリア人の女性(笑)。俺は世代ではないから、エヴァンゲリオンではなくて、ナウシカやアキラを見ていたね。このアルバムを書いている時、俺自身ショッキングな政治的なことや世界で起こっているヘヴィなことに影響を受けていたんだけれど、それが全てのレコードにしたくなかったんだ。世の中、ダークなことだけではないということをを映し出すタイトルにしたくて、ピュアでシンプルで馬鹿馬鹿しい名前にしたかった。アルバムも、曲の中には娘について書かれたものもあるし、その曲はすごく純真無垢な内容になっている。こんな社会でも、動物や人間の純粋さが世の中に存在していることを表現したかったんだよ。それに、ポジティヴなイメージを持った言葉でもあると思ったしね(笑)。

——ちなみにあなたたちは「Swim and Sleep (Like a Shark)」という曲も歌っているので、食欲、性欲、睡眠欲という人間の三大欲求が揃ったことになりますが(笑)、この三つに個人的に順番をつけるなら?

一番は食欲だな(笑)。で、最後が睡眠。俺はあまり睡眠に興味がないから。人間が寝なくてすむならいいのにって思うくらい、睡眠には関心がないんだ。不眠症だから、良い睡眠を追求するのは諦めてしまったんだよ(笑)。



——その「Swim and Sleep (Like a Shark)」のジャケットにはあなたの娘さんが赤ん坊の頃の写真が使われていましたが、2013年から毎年クリスマスに発表しているミックス音源の第3弾「SB-03」と第5弾「SB-05」のアートワークに写っているのも、あなたの娘さんでしょうか?

「SB-03」は息子だよ。彼は髪が長いから、ちょっと女の子みたいに見えるんだ。「SB-05」は、今回のアルバムのアートワークも手がけてくれているNeil Krugが見つけてきたモデル。娘ではないんだ。Neilは有名なフォトグラファーで、The WeekndやLana Del Reyとも仕事をしたことがあるんだよ。最高のフォトグラファーだね。





——昨年発表された「SB-05」は新作『Sex & Food』のダイジェストになっていましたが、アートワークも対になっていますよね? これは娘さんに捧げたという「Hunnybee」の“天国の舌はフェンシングしている”という歌詞に由来していると思うのですが、『Sex & Food』のアートワークでフェンシングスーツを着ているのはあなたですか?

あれは、「SB-05」と同じモデル。それもニールのアイディアだよ。


Unknown Mortal Orchestra - Sex & Food


——本作では来日公演の時に帯同していた女性ドラマーのAmber Bakerではなくて、あなたの弟のKodyがドラムを叩いています。ジャズ・ミュージシャンだというお父さんのChris Nielsonも前作に続いてサックスで参加していますが、やっぱり家族のほうが気楽に作業しやすいのでしょうか?

父親と作業するのは全然気楽じゃないね(笑)。ブツブツ文句を言ってるし、ボスっぽくなるから(笑)。だから、あまり指示が出せないんだ。完璧主義者だしね(笑)。一方、弟とはすごく作業がしやすい。あまり会話をしなくても、テレパシーみたいに自分たちが求めているものが何かがわかるんだ。それがあるから、作業がすごくスムーズなんだよね。

——次はお母さんですかね?(笑)

ははは(笑)。母親は、実はすごく才能がある。でも、あまり一緒に作業することに興味があまりないんだ(笑)。彼女はフラダンスのダンサーで、ハワイアンだから、ハワイのフラの大会に出たりもしてる。それが母親がメインでやっていることで、彼女にとって歌はその次なんだ(笑)。

——本作はあなたとKodyの自宅に加えて、メキシコ、韓国、ベトナム、アイスランドといった海外のスタジオでもレコーディングされていますが、これは計画的なものだったのでしょうか? それともその場の流れで、断片的にレコーディングしたものを集めたとか?

いや、最初は計画はしていなかった。ポートランドの自宅で一人で作業していたんだけど、同じやり方で2枚アルバムを作ったし、その経験上、一年半孤独で作業しなければいけないということはわかっていたし、それは寂しいと思った。地下にそんなに長く一人でこもりたくなかったから、孤独を感じるたびに、フライトを予約してどこかに行くようになったんだ。その場所を選んだのは、何か理由があったわけではなくて、その時の気分で選んだよ。

——このアプローチは新しかったんですよね?

あまりやったことはなかった。でも実際にやってみると、思っていたよりもずっと簡単だったんだ。慣れないスタジオでも、それが逆にインスピレーションになるし、これからもっとそうしていきたいと思ったね。

——具体的には、どの曲をどこでレコーディングしたのでしょう? レコーディングした場所は曲に影響を与えていますか?

1曲目の「A God Called Hubris」は、『Multi-Love』をレコーディングしていた時にポートランドでレコーディングしたんだ。前回のレコードでは仕上げることができなかった曲で、これは海外に持って行ってレコーディングはしなかったね。2曲目の「Major League Chemicals」は、主にニュージーランドでレコーディングした。ヴォーカルはメキシコだよ。3曲目の「Ministry of Alienation」もニュージーランド。ベース・プレイヤーのJakeと、弟と俺で弟の家でレコーディングしたんだ。あと、父親のサックスとキーボードをレコーディングしたのはベトナム。4曲目の「Hunnybee」も、メインはニュージーランド。仕上げたのはベトナムだったな。5曲目の「Chronos Feasts on His Children」はベトナム。「American Guilt」はバンドが演奏する楽器の部分をベトナムでライブ・レコーディングして、ヴォーカルはメキシコだった。7曲目の「The Internet of Love (That Way)」は、ほぼポートランド。8曲目の「Everyone Acts Crazy Nowadays」はニュージーランドと韓国。あと、ストリングスはベトナム。9曲目の「This Doomsday」はオークランドとベトナム。10曲目の「How Many Zeros」はオークランド、ポートランド、韓国。11曲目の「Not in Love We’re Just High」はアイスランドとベトナム。最後の「If You’re Going to Break Yourself」は全部ベトナム。「SB-05」は、ニュージーランドとポートランド。あと、ベトナムでも少しレコーディングしたな。その場所のムードからはもちろん影響を受ける。メキシコでは大きな地震があって、あれからは結構インスピレーションを得たな。メキシコやベトナムの雰囲気からは歌詞で結構影響を受けた。まあ、一番の影響はその街がもつムード。それが曲のムードに繋がると思う。




——ベトナムからは、たとえばどんなインスピレーションを受けたのですか?

リハーサルをしていたスタジオに現地のミュージシャンたちがいたんだけど、彼らと友達になって、彼らとジャムをすることになってね。その中では伝統的な楽器も使われていて、すごく良いものができた。たくさんレコーディングしたから、その時のレコーディングは彼らとのアルバムとして、また別の形でリリースするつもりなんだ。

——どんな内容なんですか?

エレクトロニック・ジャズとクラウト・ロックが混ざったような感じだね。

——あなたにとってのベトナムは、Jimi Hendrixの「All Along The Watchtower」が流れる映画と結びついているそうですが、その映画とは『フォレスト・ガンプ』でしょうか?

どの映画か覚えてないんだよ(笑)。俺にとっては、その映画の音楽の方が印象が強くて。



——「Major League Chemicals」や「American Guilt」といった曲のギター・リフにジミヘンからの影響が感じられるのは偶然ですか?

いや、偶然じゃない。俺がベトナムに行ったのは、ジミヘンとのコネクションを感じたから。このレコードのギタープレイは、Jimi Hendrixに大きな影響を受けているんだ。

——ヒューブリスやクロノスといったギリシャ神話のキャラクターが曲のタイトルになっていますが、ギリシャ神話からはどんな影響を受けていますか?

昔の神や神話のキャラクター、有名なストーリーの登場人物の名前を歌詞に使うと、その一言で多くを表現、説明することができる。そういう面で、神話やストーリーからは影響を受けているね。

——ギリシャ神話はよく読みますか?

まあね。結構読む方だと思う。

——本作には収録されていませんが、2016年にリリースされたシングルの「First World Problems」や、Grateful Deadのトリビュート・アルバム『Day of the Dead』でカバーしていた「Shake Down Street」といった曲からは、プリンスの影響が感じられました。彼の死後、作品をあらためて聴き直したりしましたか?

少しね。ここ5年間、実はプリンスについて勉強しているんだ。彼の情報はあまりインターネットには載っていないから、文献をできるだけ沢山読んだ。例えば、彼のレコーディング技術に関する本とか。彼は、曲作り、楽器演奏、エンジニア、全てを自分でやっていたんだ。だから、彼のことは心から尊敬しているし、本当に大きな影響を受けている。彼が亡くなった時は、かなりショックだったね。成功したらいつかプリンスに会えるんじゃないかと夢見ていたから、それが不可能になってしまって残念だよ。



——あなたには先ほど話した娘さんと息子さん、二人の子供がいますが、Unknown Mortal Orchestraの曲を聴いて、感想を言ったりしますか? 曲を書く時に、子供に聴かれることを意識するようになったりしましたか?

聴いてるよ。今日も聴いてた。息子にはギターを買ってあげたんだけど、気に入ってくれているよ。かなりうるさいけどな(笑)。息子はミュージシャンになりたいと思っているみたいだし、音楽に興味を持っているけど、娘はどうなのかわからない。医者になりたいとか言うんじゃないかと思ってる(笑)。意識はするね。「Hunnybee」は娘についての曲で、この曲は彼女が25歳になる時くらいに彼女が聴いてくれたら良いなと思っているんだ。

——本作は「近年ロックは"死んだ"と言われ続けて、見放されてきているような風潮があるだろ。じゃあその生きながらに死んでいるジャンルの音が、俺たちの世界ではこんな風に鳴っているんだってことを、わかってもらおうってひねくれた思いつきから生まれたんだ」とのことでしたが、最近ロックンロールを感じた曲やアーティストがいたら教えてください。

オーストラリアのバンドで、King Gizzard & the Lizardっていうバンドがいうんだけど、彼らはロックンロールだと思う。オーストラリアのフェスで一緒になったことがあって、初めて見た時からすごくクールだと思った。7年前くらいだったけど、俺らと彼らが一番知られてない2組だったんだよな(笑)。でも、未だにお互いに生き残ってるのは面白いと思う(笑)。あと、彼ら以外で最もロックンロールだと思うバンドのひとつはギターウルフ。キングブラザーズもカッコいいね。

——日本の音楽、聴かれるんですね(笑)。

J-POPはたまに聴くよ(笑)。きゃりーぱみゅぱみゅとか(笑)。娘がハマっているからね。面白いと思う。

——ありがとうございました!

こちらこそ。次来日する時は、子供達も連れていきたいと思っているんだ。あ、それで思い出したけど、こないだの来日の時はロボット・レストランにも行ったんだった(笑)。あれはすごかったな。また日本に行けるのを楽しみにしているよ。
Posted by Monchicon
INTERVIEW / 18:00 / comments(0) / trackbacks(0)
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