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[INTERVIEW] James McNew(Yo La Tengo)


『暴動』という邦題で知られるSly & The Family Stoneの1971年のアルバム『There's A Riot Goin' On』は、A面の最後に実際には存在しない0秒間の、完全に無音のタイトル・トラックが記載されていた。

そのアルバムとほぼ同じタイトルを冠したYo La Tengoの最新作も、バンドが2002年に深海生物のドキュメンタリー『The Sounds of the Sounds of Science』に提供したサウンドトラックを思わせるような、キャリアで一、二を争うほど静謐で、スピリチュアルな作品になっている。

10月には3年ぶりの来日公演も決定したバンドのベーシスト、James McNewへのオフィシャル・インタビューを入手したので、作品を読み解く手掛かりにしてほしい。


——『There's A Riot Going On』聴かせていただきました。美しくパワフルな作品でした。作り終えた今の感想、手応えを教えてください。

アルバムが仕上がってリリースされる前の間の今は、なんとも言えないモヤモヤした時期なんだ。ライブのために練習をリハを重ねているところだけど、今はとにかく“待つ”時。その状態って、すごく嫌なんだ(笑)。今はとにかく緊張しているよ。不安もあるし、もう待つのは嫌だね(笑)。早くアルバムがリリースされて、ライブをやって、解放されたい(笑)。でも、アルバムのサウンドにも、アルバムが持つフィーリングにもすごく満足している。このアルバムの出来に関しては、心からハッピーだよ。

——今作はYo La Tengoの歴史の中でどういう位置づけのアルバムになりそうですか。

それはまだわからない。制作に長い時間をかけてアルバムに向き合ってはきたけれど、この作品はまだ自分たちにとってすごく新しいからね。毎日ライブでプレイするようになってしばらく経てば、自分たちにとって今作がどういう存在なのかが理解できてくると思う。自分たちだけで完成させた作品だから、すごく濃く、強い作品に仕上がっているとは思うね。曲作りからレコーディングまで、それにレコーディング・スペースの設置までを自分たちで手がけたのは初めてだったし、曲作りの方法も新しかったから、自分たちにとってはすごく新鮮でエキサイティングな作品なんだ。もちろん大きなチャレンジでもあったし、大変でもあった。でも、そのぶん得た達成感も大きいアルバムだね。

――今回のアルバムは、やはりSly & The Family Stoneの往年の名作と同じタイトルであることが大きなキーであり話題でもあると思います。このようなタイトルをつけた理由、経緯などを教えてください。

そのタイトルに関しては、一年前くらいから話し始めたんだ。でも、なぜこのタイトルにしたかは皆にそれぞれ考えて欲しい。タイトルを見て、リスナーが何かを思ってくれたらそれでいいんだ。あまり理由は言いたくない。それぞれが自由に捉えてくれた方がいいからね。音楽もそうだし、他のアートも同じ。アーティストがその作品の説明をしたり、何を考えて欲しいかと断定してしまうよりは、受け取る側が自ら何か考えたほうがいいと思うんだ。

――Slyの『There's A Riot Goin' On』は、1971年のアメリカという時代と分かち難い作品でした。Yo La Tengoの『There's A Riot Going On』は、2018年という時代とどのように結び付くと思いますか。

2018年とどう結びつくかはちょっとわからないな。このアルバムは主に2017年に制作、レコーディングされた作品だから、2018年というよりは、2017年が映し出されているレコードだと思う。2017年の1月に曲作りを始めたんだけど、その時期は世界で様々なことが起こっていた。だから、ダイレクトではないけれど、アルバムの中ではそれが表現されていると思う。

――トランプ以降のアメリカの状況をどう見ていますか? それは今作の、あるいは最近のあなたたちの活動に、どういう影響を及ぼしましたか。

もちろん影響はあると思う。でも…彼の言動、彼を中心とする政府の言動は卑劣だし、それに関して心の奥底はもちろん痛む。それを個人的には感じずにはいられないとは思うけど、正直バンドとしてはわからない。とにかく今の自分たちがすべきことは、自分たち自身であり続けるのをやめないことだと思う。強い気持ちを持って、同じ気持ちを持つもの同士がサポートし合うときだと思うね。今の状況に、皆で一緒に立ち向かうことが僕たちに出来ることなんじゃないかな。

――今作の歌詞のテーマはなんだったんでしょうか。キーポイントとなる曲を、いくつか例を挙げて説明していただけると幸いです。

僕たちの全てのアルバムがパーソナルだし、曲は全て自分たちに対して作られている。僕らはそれを喜んで皆とシェアしたいと思っているよ。でも、曲を聴いて何を思い、どこに繋がりを感じるかは、人それぞれだと思う。だから、あまり歌詞の内容やテーマをこちら側から提示して、限定することはしたくないんだ。

――今回のアルバムで、これまで触れていないテーマや内容に触れたりはしているのでしょうか?

いや、そうは思わない。Yo La Tengoの曲はもちろん各曲が異なってはいるけど、大きく捉えると、僕は全ての曲が同じ意味、テーマを持っていると思うね。大げさかもしれないけど(笑)。

――歌詞は、何に基づいて書かれていることが多いのですか? 自分たちの経験?

曲によるよ。自分たちの経験が殆どだけど…自分でも意識していないから言葉で説明ができない。例えば、作家がSFの作品を書くとするよね? それがエイリアンについてであればそれはフィクションだけど、その作家の経験を基に書かれたストーリーであることもある。僕らの歌詞はそんな感じかな。

――キーポイントというか、このアルバムの特徴やテーマが最も表れている曲はどれでしょう?

それも、今の時点ではわからないんだ。ライブで演奏していくうちに、曲それぞれと繋がりを感じるようになるし、その繋がり方は制作していた時の繋がり方とまた違い、新しいものになる。アルバムに収録された音はもう変えられないけど、ライブでプレイしていくと、曲も変化していくからね。それと共に、曲に命が生まれ、僕たちと共に変化し、成長していく。今はまだ、写真を見ているような感じなんだ。これから、その写真の中に写っている人間たちが動き、話し始めるようになる(笑)。そうすると彼らのことを初めて知れるようになるし、友達になれるんだ(笑)。

――今回のサウンド面について。全体にサイケデリックで空間的な広がりと浮遊感のあるサウンドが印象的でした。サウンド・プロダクションにおいて特に意識したポイント、狙い、コンセプトなどありますか。

コンセプトは特になかった。とにかく自分たちが聴いていて良いと思うサウンドを取り入れていったんだ。普通ではないサウンドを試したりして、ミステリアスで認識が難しいサウンドを作りながらね。まあ、それは今回だけではなく普段からやっていることだけど。そっちの方が自分たちにとってはより面白いんだ。

――今回は、外部プロデューサーもエンジニアもゲスト・ミュージシャンも使わず、自前のリハーサル・スタジオで、ほぼ自分たちだけで仕上げたと聞いています。なぜそのようなやり方をしたのですか。

前回はJohn McEntireがプロデュースしてくれているからね。今回は、アルバムを作ろうと思って曲作りを始めたわけではないんだ。気づかないままに曲作りが始まっていたんだよ。ビルの中にあるこじんまりとした部屋の中にマイクやコンピューターといったレコーディングのセットがあって、そこでサントラを作っていたのが始まりだった。大きなスタジオに行くことなく、自分たちだけでその空間の中でサントラ用の音楽を作っていたんだけど、2016年の終わり頃、その部屋の中であるリズムのアイディアが出てきて、そのリズムの上に音を重ねてていくうちに曲が仕上がったんだ。それは自分たちがこれまでに一度も試したことのないソングライティングの方法で、それがすごくエキサイティングだった。その状況に興奮して、サントラを仕上げた後も、そのまま同じ場所に戻って同じ方法で曲作りを続けた。その流れでアルバムが出来上がったんだ。『Fade』の時のJohnが素晴らしかったから、アルバムが出来るくらい十分に曲が出来上がって、自分たちに出来ることをやり終えたらジョンをを招きたいと思っていたんだけど、それまでは同じような勢いで自分たちで曲をただただ興奮するがままに作っていった。で、ある程度出来上がってからJohn McEntireに協力してもらおうと思って、ミックスから参加してもらったんだ。彼が引き受けてくれて、すごく嬉しかったよ。

――またそれによって、楽曲の仕上がりなどはどう変わってきましたか。

それが何かは説明出来ないけれど、これまでのYo La Tengoのアルバムにはないサウンドが出来上がったとは思う。何て言ったらいいかな…より実験的なサウンドになった。あと、これまでには作ったことのない質感や世界観が生まれたとも思うね。

――また事前にリハーサル等も一切しなかったということですが、これはどういう意味があったのでしょう?

さっき話したように、サントラを作っている最中にたまたまそういう曲の出来上がり方をしたことからそうなっていったんだ。それは僕たちにとって真新しいことだった。1978年にFleetwood Macが何も曲が出来ていない状態でスタジオに入ってレコーディングに取り掛かったという記事を読んだ時にはなんてクレイジーなんだと思ったけど、今では自分たちがFleetwood Macになってしまったんだ(笑)。彼らのように沢山のお金をかけて本格的なスタジオにいなかったことを除いてはね(笑)。僕らの場合、レコーディングは本当に自分たち3人だけで、ミックスの段階まで誰も部屋に入ることはなかった。レコーディングも、エンジニアも、全部自分たちでやったんだ。その方法では、とにかく思いつく全てのアイディアを試したよ。楽しかったし、大変だったし、複雑でもあった。そして、同時に良い意味で価値のあるミスが生まれることもあった。リハーサルをせず、且つ自分たちでレコーディングすることで、直感的、そして自然なものを捉えることができたんだ。

――事前にリハーサルをしないということは、スタジオで一から楽曲を創ることになり、完成まで長い時間を要することになると思います。そうすることで楽曲やアルバムの仕上がりにどういう影響がありましたか。

その方法の特徴である自由さを十分に活かして曲作りをすることが出来た。自由で時間があったぶん、自分たちが納得がいくまで、試してみたい方法を全て試すことができたんだ。音楽制作との向き合い方が変わったと思うし、異なる方法と試せば異なるものが生まれることもわかった。こういうやり方でも曲を作ることが出来るということがわかったし、自分たちでもそれを成し遂げることが出来るんだという自信がついたね。それが仕上がりにも表れていると思う。曲作りにおける全ての経験が自分たちを成長させてくれるし、より強くしてくれるし、それはバンドを続けていく上で最も大切なことだと思う。僕たちは常に好奇心を持っているし、勢いがあるバンドだと思うんだ。それが僕たちのパーソナリティなんだよ。

――今作によってバンドにどういう変化が起こると思いますか?

今はまだこのアルバムを完成させたばかりだから想像もつかないな(笑)。とにかく、変化することが可能ということだけは理解しているし、それは素晴らしいフィーリング。どう変化するかはもうしばらくしないと自分たちでもわからないけれど、かなり楽しみだね。

――ありがとうございました!

こちらこそ、ありがとう。


YO LA TENGO
JAPAN TOUR 2018


10月8日(月)大阪 梅田CLUB QUATTRO
Information: 06-6535-5569 (SMASH WEST)

10月9日(火)愛知 名古屋CLUB QUATTRO
Information: 052-264-8211 (クラブクアトロ)

10月10日(水)東京 渋谷TSUTAYA O-EAST
Information: 03-3444-6751 (SMASH)

チケット発売:詳細後日発表

協力:BEATINK
お問い合わせ:SMASH 03-3444-6751
Posted by Monchicon
INTERVIEW / 22:30 / comments(0) / trackbacks(0)
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