ALBUM OF THE WEEK
*
Worship the Cactus


In The Lover's Corner



Categories
*
Selected Entries
Bookmark
Search This Site
Others
<< Ty Segallのジャパン・ツアーが決定! | main | [INTERVIEW] Robin Pecknold (Fleet Foxes) >>
[REVIEW] Panda Bear - A Day With The Homies


バック・トゥ・ザ・ヴァイナル

Animal Collectiveの中心メンバー、Panda BearことNoah Lennoxが2年半ぶりにリリースした5曲入りの最新EPは、アナログ盤のみ、ストリーミング・サービスなどでのデジタル配信を一切行わないという限られた形でのリリースだが、それだけの理由で聴かずにいるのは惜しい作品だ。
Animal Collectiveといえば昨年の12月、Avey TareとPanda Bearの2人だけで録音された2004年の名作『Sung Tongs』の全曲再現ライヴを行ったことも記憶に新しいが、その実現までに13年もの年月を要した理由のひとつとして、 当時の彼らが一度レコーディングして発表した曲を、原則的にライヴで演奏しないというスタンスを貫いていたことが挙げられる。

2006年に来日公演を行った際も、前年にリリースされた『Feels』からの曲は1、2曲程度しか演奏されず、セットリストの大半はリリース前だった2007年の『Strawberry Jam』からの曲で占められていたが、アルバムが形作られていく過程を誰よりも早く目撃できるということが、Animal Collectiveのライヴ会場を特別な空間にしていたのだ。

それは同時に、作品をリリースし、そのプロモーションのためにツアーをするという音楽業界のルーティーンからも逃れることを意味していたのだが、インターネットの普及によってライヴの音源や動画の共有が容易になり、また2009年の『Merriweather Post Pavillion』の商業的成功によってアルバムの曲を聴くために会場に足を運ぶファンが増えたこともあり、徐々にその慣例は破られていくことになる。だがそのことによって、かつて彼らが大切にしていたファンとバンドの繋がりが、希薄になっていったことも確かだ。

そんな中、“A Day with The Homies(地元の友人たちとの一日)”と名付けられ、制作背景も明かさず、リード・トラックも発表されないままリリースされた本作には、かつてニューヨークのレコード店Other Musicの店員だったPanda Bearが、少ない情報だけを頼りにレコードを買い、初めて曲を聴いた時のあの感動を甦らせたいという、そんな意図もあったのではないだろうか。

蝉の鳴き声とハイハットの刻むリズムが徐々にクロスフェードしていく「Flight」は、シンセ・ベースのサウンドがコミカルで、Animal Collectiveの『Painting With』に収録されていてもおかしくないポップ・ナンバー。Beatlesの「I Feel Fine」ばりの強烈なフィードバック・ノイズで幕を開け、映画『ヴァニラ・スカイ』のエンディングを思わせる“Open Your Eyes...”という女性の囁き声が繰り返される「Part of the Math」、ダビーな残響の中を白煙を上げて汽車が疾走する「Shepard Tone」、高速ジャングル・ビートに乗せてメロディカが舞う「Sunset」など聴きどころは枚挙に暇がないが、結局のところは「Flight」のラストで歌われる、このフレーズがすべてを言い表しているのかもしれない。

 we don’t share at all
 僕らは何ひとつ分け合っていない
 why are we telling them to share it all
 どうして僕らは彼らに全部分け合おうなんて言ってるんだろう

2018年の始めにリリースされた本作は、Panda Bearの新しい方向性と共に、ミュージシャンとリスナーの新しい関係性も示唆する、そんな作品だ。
Posted by Monchicon
REVIEWS / 10:30 / comments(0) / trackbacks(0)
COMMENT









Trackback URL
http://monchicon.jugem.jp/trackback/2210
TRACKBACK