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[FEATURE] Monchicon's Best Albums of 2017 (5-1)


街も深い眠りに入り
今年もまた 一年が終わろうとしています
昼の明かりも闇に消え
夜の息遣いだけが聞こえてくるようです
それぞれの想いをのせて過ぎていく
このひととき
一年のエピローグ

モンチコンの2017年、ベスト5の発表です


5. Mount Eerie - A Crow Looked At Me
(P.W. Elverum & Sun)


このアルバムについて、一体何を言えばいいんだろう? ここ数週間そんな風に考えながら、結局何も書けずにいた自分のところに、クリスマス・イヴの前日に届いた荷物。数年前に亡くなった友人の母親からだったので、何かと思って箱を開けてみると、60年代のサイケデリック・ポスター集と、マックス・エルンストの画集が。実家の遺品を整理する際に処分に困ったので、譲りたいと思ったらしい。ちょうど先週来日したFuture IslandsのSamuel T. Herringが、ラッパーとしてもマックス・エルンストに由来する"Hemlock Ernst"名義で活動していると聞いて、そういえばあの人もエルンストが好きだったなあ、と思い出していたところだった。なるほど、これはなかなか気の利いたクリスマス・プレゼントかもしれない。そう思いながらも、このとてつもなく大きくて、重い本の置き場所に困っている。





4. The National - Sleep Well Beast
(4AD)


4年ぶりのアルバムとなった本作には、およそ欠点らしい欠点が見当たらない。ボーカルのMatt Berningerが、『New Yorker』の編集者だった妻と共作した歌詞の文学性に、クラシックにも造詣の深いDessner兄弟の音楽的素養。唯一の弱点だったアートワークも改善された本作は、商業的にも過去最高の成功を収め、ここ日本でも多くの新しいファンを獲得した。ポスト・パンク風の荒ぶる「Day I Die」には、Mattの大叔父であり、ブッシュ再選後の2005年にリリースされた『Alligator』以来鳴りを潜めていた怒りの象徴Valentine Jesterが再び君臨。物わかりのいい若者たちを尻目に、コーヒーサーバーでワインを飲んでクダを巻く中年の不満は「Turtleneck」で爆発するが、そんな社会への苛立ちを寝かしつけるように、家族という最小単位に帰結するラストも素晴らしい。暗い夜ほど、窓から漏れる灯りが眩しくなるのだから。





3. Ryan Power - They Sell Doomsday
(NNA Tapes)


Dirty Projectorsのメンバーが絶賛し、Oneohtrix Point NeverことDaniel Lopatinをして「ネクスト・レベル」と言わしめたヴァーモントの才人は、映画『It』に登場する殺人ピエロのごとく、Scritti Polittiばりのシンセ・ファンク(「In A Tizzy」)からニューエイジ/アンビエント・ポップ(「Give it a Rest」)、ドゥーワップ(「Yer Not Doin' What You Should」)まで、次々と姿を変えて聴き手の前に表れる。各所で絶賛されたThundercatの新作に、Ryan Powerの前作そっくりな曲が収録されていたことからもその先進性が窺えるが、本作にはその「The Prize」や「Mondo Rush」のような決定打こそないものの引き出しが増え、曲の展開も複雑さを増し、「The Cavalry」のようなありふれたメロディが、逆に耳に残る構成になっている。しかしその歌詞は笑ってしまうほどブラックで支離滅裂。道化のふりをして人の心に忍び込む、悪魔的な傑作だ。





2. Fleet Foxes - Crack-Up
(Nonesuch)


前作『Helplessness Blues』のラストと同じコードで始まる6年ぶりのニュー・アルバムで、彼らは文字通りやり残したことを拾い上げている。リード・トラックだった「Third of May / Odaigahara」のタイトルにもなった5月3日は前作の発売日であり、同時にメンバーのSkyler Skjelsetと、前作を最後に脱退したFather John Misty=Josh Tillmanの誕生日でもあるのだ。「If You Need To, Keep Time on Me」の歌詞カードに記された2017年の1月20日はドナルド・トランプの大統領就任式であり、そのちょうど5年前、Fleet Foxesは日本で活動休止前の最後のコンサートを行った。すべてが奇妙な符号を見せる中、来年の1月18、19日には来日公演を行う彼ら。本作で過去を精算したフロントマンのRobin Pecknoldは長い苦難の時期を終えて、アルバムのラストでスタジオの外へと駆け出していく。まるでクヌート・ハムスンの小説『飢え』の主人公のように。




1. Dirty Projectors - Dirty Projectors
(Domino)


2017年の初頭にリリースされた本作は、男性が女性の敵になり、見せかけの幸せよりも辛い真実を選ぶ、そんな時代のムードを決定づけ、今でも抜け出せずにいる。この作品は一体何だったのだろう? その謎を解く鍵になるのが、Dirty Projectorsの唯一のメンバーとなったDave Longstrethがプロデュースし、本作の数ヶ月後にリリースされた元メンバーのAmber Coffmanのソロ・アルバム『City of No Reply』だ。その最終曲「Kindness」は本作の最終曲「I See You」と同じトラックを使ったもので、リリース順は逆だが、Amberのアルバムが実際には2015年にレコーディングされていたことを踏まえれば、Daveが意図的に流用したと考えていいだろう。そんな本作の最後の曲の最後の一行で、彼は“I Can See You(君が見える)”と歌っている。今から10年前、Dirty ProjectorsにAmberが参加してから最初のアルバム『Rise Above』は、Black Flagのデビュー作『Damaged』を記憶だけを頼りにリメイクした作品だったが、Black Flagのラスト・シングルのタイトルもまた「I Can See You」だったのだ。自らの悲劇さえも作品にせずにはいられない、アーティストとしての業(ごう)。彼が10年がかりで失ったもの、それと引き換えに手に入れたのが本作だったのかもしれない。

Posted by Monchicon
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