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[FEATURE] Monchicon's Best Albums of 2017 (20-11)


今年も残すところあとわずか! 毎年恒例の年間ベスト10の前に、まずは20位から11位までの発表です! そういえばこんなことあったな〜と、思い出しながらご覧ください!



20. Jens Lekman - Life Will See You Now (Secretly Canadian)


実話をモチーフにしたソングライティングで知られるスウェーデンのシンガー・ソングライターは、この最新作で少しだけ嘘をついた。Everything But The GirlのTracey Thornとデュエットした「Hotwire the Ferris Wheel」。恋人に振られた女友達と閉園後の夜の遊園地に出掛けたJensは、彼女に「観覧車を動かせる?」と訊かれたが、その方法がわからなかったのだ。「もしも今夜のことを曲にするなら、悲しい曲にしないでほしい」、そう頼まれた彼は曲の中でだけ、観覧車を動かせたことにした。現実の真っ暗な夜の遊園地と、空想上の、イルミネーションで飾られた観覧車の鮮やかな対比。音楽の中でなら、誰もが願いを叶えることができるのだ。(清水祐也)






19. Beach Fossils - Somersault (Bayonet)


近年はFrankie Cosmosらを擁するレーベル・オーナーとしての活動が目立っていたDustin Payseur率いるインディー・ポップ・バンドが、DIIVことZachary Cole Smithらメンバーの脱退による解体後、アナーコ・パンクに影響を受けたという荒ぶる前作を経て、原点回帰した4年ぶりのサード・アルバム。オーケストラを導入し、4曲でFoxygenのJonathan Radoが共同プロデュースを手掛けているほか、元ChairliftのCaroline Polachekと共作した「Tangerine」には、SlowdiveのRachel GoswellやMac DeMarcoもゲスト参加。現Pains of Being Pure at HeartのAnton Hochheimが全曲でドラムを叩くなど、求心力を失いつつあったブルックリンのインディー・ポップの、底力を見せた一枚だ。余談だが、コーネリアスのライヴの開演前にも本作から「Sugar」が流れていたらしい。(清水)






18. Rostam - Half-Light (Nonesuch)


昨年頭にVampire Weekendを電撃脱退したRostam Batmanglijによる初のフル作に冠された『Half-Light』というタイトルが示唆するのは、夜でも朝でもない、その朧げな時間の光。エレクトロなレイヤーが重なる美しいサウンドを基調としながらも、インドの打楽器タブラによるパーカッションとアラビアンな旋律が印象的な「Wood」や、ロックステディをベースにした「Rudy」、ブラジルの文化団体〈Olodum〉が生み出したリズムをサンプリングしたサンバ調の「Don't Let It Get To You」など、その表情は実に多彩。そしてテンダーで滑らかな歌から窺えるのはイラン人である自身のルーツやセクシュアリティの事。あらゆる音楽を求めて出発したその旅は、実は自身の内面やアイデンティティを探求する旅でもあった――「アルバム」というフォーマットの魅力を再認識できる作品。(山岡弘明)






17. Circuit des Yeux - Reaching for Indigo (Drag City)


謎の女性シンガー、Jackie Lynn名義でのアルバムを昨年Thrill JockeyからリリースしていたHaley Fohrによるプロジェクトの、Drag City移籍第1弾。Patty Watersを思わせる暗黒ヴォイスは聴く人を選びそうだが、Town & CountryのJosh Abramsらシカゴ・ジャズ界隈のミュージシャンによる生きた演奏によって、 蝶の標本と造花に囲まれた彼女の屋根裏部屋に、蒼い光が射し込んでいる。中でもツイッター廃人ことギターのRyley Walkerを筆頭に、来日時のバンド・メンバーだったBitchin’ BajasのCooper Crain、Brian Sulpizioらが参加したサイケデリック・ジャム「A Story Of This World Part II」が圧巻。来るべきRyley Walkerの新作のヒントにもなるか?(清水)






16. Thundercat - Drunk (Brainfeeder)


Kendrick LamarやKamashi Wahington作品での客演による知名度のアップはあったにせよ、70年代のフュージョンに影響を受けた音楽性自体は、大きく変わっているわけではない。にも関わらず、デビュー当時は居場所が無かったようにも思えるThundercatの作品が2017年に妙にフィットするのは、ヨット・ロックや少年ジャンプ、ニンテンドーといった彼を構成する諸要素が、世界的に認知されつつあるからなのかもしれない。8年前にGrizzly Bearとのコラボレートが話題になったMichael McDonaldに加え、ブルー・アイド・ソウル界のもうひとりの大御所Kenny Logginsを招いた「Show You The Way」に込められた皮肉とユーモア、そして沼に沈むジャケットを見て、今年公開された映画『ゲット・アウト』を連想してしまったのは自分だけだろうか。(清水)






15. Jay Som - Everybody Works (Polyvinyl)


昨年にサンディエゴのTop Shelfからリリースした前作がその内容の良さからPolyvinylによって同年に再発されたという、オークランドを拠点に活動する女性SSW、Melina Duterteの新作。Dinosour Jr.やYo La Tengoを思わせる、所謂90年代オルタナサウンドのイイとこ取りをしたような楽曲と、ブラックミュージックを下地にした、ドリームポップの意匠を纏ったサウンドによる楽曲が驚異的なクオリティで連発される。そのソングライティングの能力もさることながら、驚くべきは各楽器の演奏・録音、ついでにプロデュースも自身で行ったという、ベッドルームレコーディングの手法を採っている点。高校卒業後に学んでいたというプロダクションも素晴らしく、それぞれの楽曲のカラーに合わせた、各楽器の鳴りとバランスを最大限に活かした暖かなサウンドを作り出している。というかそんなウンチクを抜きにして、90年代オルタナ復興が囁かれる今こそ「一人でも多くの人に聴いて欲しい」という常套句をこの一枚のために。(山岡)






14. St. Vincent - MASSEDUCTION (Loma Vista)


ミュージシャンが商品であることを自覚するかのように、デビュー以来マネキン化の一途を辿る孤高のギター・クイーンは、本作でもボンテージ・ファッションに身を包み、常識にケツを向けている。ライブのサポート・メンバーである元Enonのトーコ・ヤスダが初めてレコーディングに参加したタイトル曲など、シュガー・コーティングされたポップ・ソングに気を取られがちだが、代表曲「Marry Me」の続編とも言える「Happy Birthday, Johnny」や「Smoking Section」といった曲では、いつになく無防備なSt. Vincent=Annie Clarkの歌声を聴くことができる。リード・トラックだった「New York」を捧げたDavid BowieやPrince亡き今、完全にビョーキでありながらポップであることができる、数少ないスターのひとりだ。(清水)






13. Ariel Pink - Dedicated to Bobby Jameson (Mexican Summer)


時代の自粛ムードを一切読まず、不謹慎を地で行く男。4ADから古巣のMexican Summerに、そして宅録に回帰した本作では、ドニ・ヴィルヌーヴ監督のメキシコ麻薬戦争映画『ボーダーライン』を思わせる「Time to Meet Your God」(=死ぬ時だ)に始まり、「ラジオスターの悲劇」を拝借した「Time To Live」(=生きる時だ)に終わる前半こそコンセプト・アルバムの体を成しているが、過去作のリメイクを含む後半に至っては、さながらグレイテスト・ヒッツの趣。バツ2を経て出会った新たなミューズ=Charlotte Ercoliとのデュエットは「Feels Like Heaven」という名曲を生み出すが、ステージ上でもバカップルぶりを見せつけて炎上するハメに。アルバムを捧げたシンガー・ソングライター、Bobby Jamesonは報われずこの世を去ったが、Ariel Pinkは死んでも治らない。いや、死んでも甦るのだ。(清水)






12. The Staves & yMusic - The Way Is Read (Nonesuch)


Bon Iverの来日公演にも帯同していたイギリスの三姉妹と、そのBon Iverが主宰するEaux Clairsフェスティバルで出会った室内楽団のコラボレート作。The NationalやDirty Projectorsの作品で多大な貢献をしてきたyMusicは、ソングライティングにおいては外部のミュージシャンに頼る部分が多く、一方のThe Stavesは現代的なアレンジという点で物足りなかったのだけれど、本作ではお互いの弱点を補うことで、新たな高みに到達している。「Year of the Dog」は十二支をテーマにしたSufjan Stevensのアルバム『Enjoy Your Rabbit』収録曲のカバーで、タイトル曲を含め、そのSufjanとのコラボレートで知られるSon LuxことRyan Lottと共作した5曲が出色だ。(清水)






11. Moses Sumney - Aromanticism (Jagjaguwar)


たとえそれが一方通行だったとしても、誰かに愛されることで救われる人もいるし、誰かを愛することが生きがいになる人もいる。けれども、愛されることも愛することもできない人は、どんなに孤独なのだろう? Sufjan StevensやJames Blakeとステージを共にしてきたシンガーは、“Aromanticism”と題された待望のファースト・アルバムでそんなことを自問自答している。星空を漂っているような、深い海の中を泳いでいるような、どこにも行き場所のない歌を聴いていると、映画『ムーンライト』の原作になった舞台『月明かりの下で、黒人の少年は青く見える』というタイトルを思い浮かべずにはいられない。本作は「愛していると言ってくれ」というよりもむしろ、「もう誰も愛さない」なのだ。(清水)

Posted by Monchicon
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