10月13日にデュオ名義でのアルバム『Lotta Sea Lice』をリリースするCourtney BarnettとKurt Vile。
誰もが納得(?)のコラボレーションが実現するまでのいきさつについて、2人がプレス向けに語った資料を入手したので、その全訳を紹介したいと思います!
Kurtは馬鹿みたいにポジティブで、おかげでわたしは
失っていた自信にもう一度火を点けることができた
失っていた自信にもう一度火を点けることができた
Courtney Barnett(以下C):わたしはKurt Vileの大ファンなの。ある朝メルボルンのレコード店Thornbury Recordsに入って『Smoke Ring For My Halo』を衝動買いして以来ずっとね。このアルバムはわたしが初めて買ったアナログ盤の1枚だった。そのころバンドの解散という大きな出来事に直面していたわたしは、どこにも所属せずふらふらしていた。ただベッドに寝ころんで、「Peepin' Tomboy」という曲を繰り返し聴いていたの。これまで聴いてきた中でも特に美しくて心地よいアルバムのひとつだった。わたしとJen(Cloher)はこのアルバムに夢中になった。
Kurt Vile(以下K):アルバム『Walkin On A Pretty Daze』を出したころに(バックバンドの)Violatorsとオーストラリアをツアーで回っている間、ぼくは何度もCourtneyの名前を耳にした。ぼくたちはメルボルンで追加公演を行って、(Courtneyのバンド)CB4がオープニングアクトに参加することになった。
C:アボッツフォード修道院でのライブの冒頭に、わたしはゲストとして出させてもらったの。ライブの後でちょっとだけ言葉を交わしたんだけど、わたしはなんだか緊張していたし、彼の邪魔をしたくなかったから、出演させてくれたことにお礼を言うだけだった。
K:ライブの後で、Courtneyは彼女の2作のEPをまとめたアナログ盤(※『The Double EP: A Sea Of Split Peas』)を贈ってくれた。最初の曲が「Out Of The Woodwork」だった。何というかゆったりとスイングするサウンドが気に入ったし、方向感の掴めない歌詞で可愛らしいのに陰鬱な雰囲気があった。
彼女の音楽はどれも好きだけど、ぼくが本気ではまったのは、次のアルバムに入っていた「Depreston」という曲だった。ああいうタイプの曲には目がないんだ。聴いてすぐ傑作だとわかる。とてもきれいで裏表がない曲だ。
C:やがて世界各地のフェスを回っている中でわたしたちはしょっちゅう顔を合わせるようになって、そうして友達になった。そして彼が再びメルボルンに来ることになったときに、声をかけてくれた。構想している曲があって、一緒に制作できるんじゃないかっていう話だった。わたしたちはデモを送り合うようになった。
K:いつか彼女と一緒にできればいいなと思いながら、ぼくは曲を書き始めた。ちょうどアルバム『B'lieve I'm Going Down』のプロモーションの最中で、アコースティック楽器を持ってフィラデルフィアで写真撮影に臨んでいた。そして頭の中にあった彼女のための歌(「Over Everything」)を、実際に書いていった。メロディーやそれ以外のあらゆるものを交互にするっていうアイデアがあったんだ。
彼女は(コラボレーションに)賛成してくれて、自分でも曲(「Let It Go」)を書いた。それで決まりだった!
C:漠然と2曲をレコーディングする計画なんだろうと思っていたの。最終的な作品について話し合ったことは一度もなかったし、7インチ盤を作ればそれで十分だと思っていた。当時、わたしの曲作りはかなりマンネリ化していて、曲ができずに偽りのソングライターになってしまうことが本気で恐ろしかった。何度も、いっそのことコンピューターの電源を抜いて、歌のアイデアについてやりとりしたEメールのログを消去してしまおうかと思った。
#cbkv
— courtney barnett (@courtneymelba) 2017年8月21日
August 31 Australia and New Zealand
August 30 everywhere else… pic.twitter.com/71SIxHHpYH
「普段何時に起きるの?」
#cbkv
— Kurt Vile (@therealkurtvile) 2017年8月21日
August 31 Australia and New Zealand
August 30 everywhere else… pic.twitter.com/G3R7Zy6jLc
「寝る時間次第だよ」
K:「Let It Go」は、ぼくが愛してやまない、可愛らしいのにどこか悲しいという、彼女による歌のスタイルが示された新たな実例だ。初めはそれぞれ1曲ずつ持ち寄って7インチ盤を作ろうという感じだったんだけど、やがて世間で埋もれないようにするためには、12インチ盤の方がいいと思うようになって、そのために5曲を目指そうと考えた。そのころぼくはカントリーミュージックに夢中で、ルーツ・ミュージックに取り憑かれていたから、「Blueberry Hill」のカバーをやるべきだと言って、皆を説得した。オリジナルを2曲と「Blueberry Hill」のカバーができて、それとCourtneyの提案で、ぼくたちはお互いの曲をカバーし合うことになった。そして楽曲の作業はぼくたちだけで行う計画だった。
C:恐怖心がどこかに行ってしまった後は、ただただ楽しかった。Kurtは馬鹿みたいにポジティブで、おかげでわたしは失っていた自信にもう一度火を点けることができた。自信さえあればこの頭脳が動き出すってことに、心の奥では気づいてたんだと思う。当初わたしたちはアコースティックのフォーク・デュオみたいなことをしようとしていたんだけど、そのうちKurtが「ぼくの友人のMickとJimを呼んで、一緒にセッションしても構わないかな?」みたいなことを言い出して、もう次のときには、(Kurtのバックバンドのベーシスト)Robと、それからDirty ThreeのメンバーであるMickとJimの2人を加えてジャム・セッションをするようになって、そこから皆で楽曲を次々と形にしていった。
K:バンドにいたのは、ぼくとCourtney、ベーシストのRob Laaksoで、そこにツアーで一緒だった2人の新しい友人、Mick TurnerとJim Whiteを誘った。もちろん、MickやJimと一緒に演奏するのは素晴らしかった! やがて、Violatorsはライブのために旅立つことになった。
C:それから1年が経って、Kurtがメルボルンに戻ってきたので、またわたしたちは3日間の予定を入れて、半完成のアイデアを使ってレコーディングをした(今回はWarpaintのStella Mozgawaも参加してくれた)。最終的に10曲が仕上がって、その中にはカバー曲もあるし、オリジナルもある。とても活気があって伸び伸びとしているけれど、大部分は楽しさの塊でしかないの。
K:ぼくたちはさまざまな大陸の街で偶然顔を合わせると、レコーディングについて話をした。次の夏にオーストラリアでのツアーが新しく組まれるまで、その機会はないと思っていたから、ぼくたちはできるだけ多くレコーディングをしようと考えた。フルアルバムを作るというのは重要な目標ではなかったけれど、そんなふうにしてアルバムがまとまったんだ。何せすごくいい感触だったから。エンジニアのCallum(Barter)が素晴らしくて、くつろいだ雰囲気を作るのにも決定的な役割を果たしてくれた。Courtneyと仕事をするのはとても好きだ。コラボレーションは気楽にやれたし、プレッシャーも少なかった。最高のゲストたちにも参加してもらってる。Mick、Jim、Robはもちろん、Stella MozgawaとMick Harveyも。またJade ImagineやJess Ribeiroといったグループのメンバーがバック・コーラスに入って、Courtneyのバック・バンドのDaveやBonesも参加した。
C:今、わたしたちはアルバムを完成させた。そしてThe Sea Lice(ウオジラミの意味で、Stella Mozgawaの浜辺の話を聞いて思いついた)と名付けた最高のバンドの前に、わたしとKurtがギターを持って立ち、一緒に歌うことを考えた。わたしたちが作ったこのアルバムには、過去のアルバムに入っていた自分たちの曲がいくつかと、古いフォーク・ソングなんかも入っている。声とギターのハーモニーがふんだんに奏でられている。まさにコラボレーションの醍醐味だわ。
K:ぼくたちは聴衆を沸かせるバンドであり、そしていくつもの大陸を結ぶ、歴史的カントリー・デュオになるだろう――国(カントリー)という枠を取り除いてね(笑)。
Courtney Barnett & Kurt Vile - Lotta Sea Lice
2017.10.13 release
1. Over Everything
2. Let It Go
3. Fear Is Like a Forest
(Jen Cloher cover)
4. Outta the Woodwork
(Courtney Barnett cover)
5. Continental Breakfast
6. On Script
7. Blue Cheese
8. Peepin' Tomboy
(Kurt Vile cover)
9. Untogether
(Belly cover)
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