今年の3月にリリースされた最新作『In Mind』を携えてフジロックフェスティバルに出演、小雨の降るなか素晴らしい演奏を聴かせてくれたReal Estateが、会場に遊びに来ていた日本のバンド、シャムキャッツのメンバーとご対面!
というわけで、かたやニュージャージー、かたや浦安という郊外出身で、デビューも同じ2009年、ギタリストがメガネと共通点も多いシャムキャッツからの質問を交えつつ、ヴォーカルのMartin Courtneyに話を聞いてみました。
南フランスのちいさな街に川が流れていて
“グリーン・リヴァー”って呼んでたんだ
── 新作『In Mind』は、前任のギタリストMatt Mondanileが脱退して、新ギタリストのJulian Lynchが加入してから最初のアルバムになります。Mattが脱退したのは、彼がロサンゼルスに引っ越したことで、距離の問題もあったのかと思ったのですが、新作をあえてMattの今住んでいるロサンゼルスで、人脈的にもMattと近いCole M.G.N.をプロデューサーに迎えてレコーディングしたのは何故だったのでしょう?
うーん、MattとColeが特別親しいってわけでもないと思うんだけど、もともと僕らもColeとは知り合いだったし、ロサンゼルスも大きな街だからね。
──ニュー・アルバムで個人的に好きな「Same Sun」という曲には“Green River still runs / Under the same sun(緑の川はいまでも流れてる/同じ太陽の下で)”というフレーズが出てきますが、これはあなたたちのファースト・アルバムに入っていた「Green River」という曲について言及したものなのでしょうか?
うん、Beatles、特にJohn Lennonがよくやってたことだけど、曲の中で自分たちのことを歌っていたりして、それが面白いと思ったんだ。あの曲でも「Green River」っていう曲を書いた時の自分だったり、当時の心境について歌っているからね。
──実際にモデルになった川はあるんですか?
大学時代に、少しだけフランスで過ごしたことがあって、南フランスのちいさな街に川が流れていて…。実際に何て名前なのかはわからないけど(笑)、“グリーン・リヴァー”って呼んでたんだよ。それから、Creedence Clearwater Revivalにも「Green River」っていう曲があって、その当時彼らにハマっていたから、それもちょっと関係してるかな。
──「Same Sun」では新メンバーのJulianがバック・ヴォーカルを担当していますが、コーラス部分で聴ける複雑なハーモニーは、これまでのReal Estateの曲にはあまり無かったものだと思います。何か参考にした曲はありますか?
実際に今回が初めてというか、今でもほとんどのハーモニーは自分ひとりで歌ってるんだけど、主旋律をなぞるだけみたいなことが多かったんだ。でもこの曲を聴いた後でJulianの頭の中に浮かんだメロディがあったみたいで、彼がハーモニーをつけてくれたんだよね。彼が何をイメージしていたのかはわからないんだけど、いろんなメロディーが同時に重なる感じが、自分にはFleetwood Macみたいに聴こえたんだ。それからJulianのパートがすごく高いから、ちょっと女性っぽく聴こえて、それも面白かったね。
──「Darling」と「After The Moon」は他の曲に比べてMartin以外のメンバーの貢献度が高いそうですが、どんな部分に表れていますか?
そうだね、他のトラックに関しては僕が全部デモを作ってからバンドに持っていったんだけど、この2曲に関してはコード進行とかギターのフレーズだけを僕が考えて、それ以外はバンドのメンバーと一緒に作っていったんだ。
──その「After The Moon」や「Time」といった曲で聴けるドラム・マシーンは、やっぱりJ.J. Caleの『Naturally』を意識したのでしょうか?
それは間違いないね。僕もだけど、ベースのAlexがJ.J. Caleの大ファンで、その影響が出てると思う。それからドラマーのJacksonはKraftwerkが好きだから、それがドラム・マシーンのサウンドにも表れてるんじゃないかな。Shuggie Otisなんかも、安っぽいドラム・マシーンのサウンドの上に美しい曲を乗せて、ホーム・レコーディングっぽい雰囲気を出しているよね。
──というわけで、ここからはあなたたちのファンだという日本のバンド、シャムキャッツのメンバーからの質問です。音にまつわる作業はもちろんそうだと思いますが、 例えばアーティスト写真やビジュアル・イメージのディレクションも、メンバー全員で意見を出し合って行っていますか?
もちろんみんなの意見を参考にするんだけど、アートワークについては、お互いの意見が衝突するから大変で、音楽を作るほうがずっと簡単なんだよ(笑)。今回のジャケットも気に入ってるけど、実は僕が最初に考えていたのとは全然違くなっちゃったんだ。
──ツアーに出る時を除いて、 メンバーで一緒にお酒を飲んだり遊んだりすることはありますか?
今はAlexがカリフォルニアに住んでいるし、Julianはウィスコンシンで、僕や他のメンバーはニューヨークに住んでいるから普段は一緒に遊べないけど、ツアーに出る時は毎晩のように飲み歩いてるよ(笑)。
──バンド・メンバーとはお互いに「友達」と言える関係ですか?
もちろん!
──好きな日本のアーティストがいたら教えてください。
うーん、Corneliusとか? 彼はすごく有名だけどね(笑)。この質問はキーボードのMattに聴いたほうがよかったと思うなあ。彼は日本のジャズとかフュージョンに詳しいから、彼がかけた曲を一緒に聴いてるんだ。Yellow Magic Orchestraとかね。
──現在活動してるバンドで、おすすめを教えてください。
最近はLemon Twigsのアルバムを聴いてるよ。昨日ここでプレイしたんだよね? 彼らについては兄弟で、ロング・アイランド出身ってことしか知らないんだけど、70年代のBeach Boysみたいだよね。僕らもニュージャージー出身だから親近感を覚えるし、ロング・アイランドって好きなバンドが多いんだ。それからオーストラリアのバンドが2組いて…The Stevensってバンドが最近アルバムを出したんだけど、PavementとかGuided By Voicesみたいな、90年代のインディー・ロックっぽい感じなんだ。あとはRoyal Headache。パンク・バンドなんだけど、シンガーがソウルフルで、すごく良い声なんだよ。僕らの友達のJohn Andrews & The Yawns(Woods/Quilt)も新しいアルバムが出たばかりだし…あとはUltimate Painting。彼らはロンドンのバンドだけどね。
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