小説家としても活躍するJohn Darnielle率いる文系インディー・ロック・バンド、Mountain Goats。当初はJohnによるローファイなベッドルーム・プロジェクトでしたが、00年代には4ADに所属し、くるりのChristopher McGuireやOwen Pallett、St. Vincentらがゲスト参加した、より洗練された作品をリリースしてきました。
その後Mergeに移籍すると、2015年にはプロレスをテーマにしたアルバム『Beat The Champ』をリリース。モデルとなったレスラーのチャボ・ゲレロ本人から賞賛され、バンド史上最高となるビルボード初登場65位を記録するなど、思わぬブレイクを果たすことになります。
そして2年ぶりにリリースされる新作『Goths』は、その名の通りゴスをテーマにした異色作。ところがタイトルに反し、冒頭の「Rain in Soho」こそゴシック・ロック風になっていますが、その後はフェンダー・ローズやサックスをフィーチャーした、Steely DanやPrefab Sproutばりのジャジーなソフィスティ・ポップが繰り広げられています。
そんなアルバムのラストを飾るのが、Bon Iverの『22, A Million』にも参加していた管楽器奏者Matt Douglasによるホーン・アレンジも素晴らしい「Abandon Flesh」。CureのRobert SmithやSiouxsie and the Bansheesといったゴスのアイコンたちに混ざって、兄弟喧嘩がきっかけで分裂してしまった徒花バンド、Gene Loves Jezebelのその後が歌われています。
ゴス・バンドの悲喜こもごもを描いた本作、どの曲も面白いので、ぜひ聴いてみてください!
Mountain Goats - Abandoned Flesh
マウンテン・ゴーツ - 棄てられた肉体
Robert Smith is secure at his villa in France
ロバート・スミスはフランスの別荘で悠々自適
Any child knows how to do the spiderweb dance
どんな子供だってスパイダーウェブ・ダンスの踊り方を知ってる
Siouxsie has enough hits to keep the bills paid
スージーには支払いを続けるだけのヒット曲がある
Every New Year's in Los Angeles you can still see Richard Blade
ロサンゼルスではいまだに毎年リチャード・ブレイドを見ることができる
But the world forgot about Gene Loves Jezebel
だけど世界はジーン・ラヴズ・ジザベルを忘れてしまった
Yeah, the world forgot about Gene Loves Jezebel
そう、世界はジーン・ラヴズ・ジザベルを忘れてしまったんだ
They charted once or twice
彼らは一度か二度チャート・インした
They were on a major label
メジャー・レーベルにいたことも
When the singer went solo
シンガーのほうがソロになった時
He left money on the table
彼はテーブルに金を置いていった
The two main guys are related
メンバー二人は双子の兄弟で
They're at war with each other
彼らはお互いに争っていた
Now there's two Genes loving Jezebel
今では2組のジーン・ラヴズ・ジザベルが存在し
(2人のジーンがジザベルを愛し合い)
One for each brother
兄弟が別々に活動している
But the world came to agree
しかし世界は同意することになった
What you see is what you get
見たままのものを受け取り
And what you get is what you see
受け取るのも見たままのものだと
Whether you're The March Violets or The Bolshoi
マーチ・ヴァイオレッツだろうとボルショイだろうと
Bands who had to leave the darkness for the sun
バンドは太陽を求めて暗闇を去るハメになる
Red Lorry Yellow Lorry were on Cherry Red I think
レッド・ローリー・イエロー・ローリーはチェリー・レッドにいたと思うけど
They've been playing clubs since 1981
1981年からクラブで演奏し続けている
To be fair to Gene Loves Jezebel
ジーン・ラヴズ・ジザベルの肩を持つなら
Billy Corgan brought them on stage
ビリー・コーガンは彼らをステージに呼んだ
It was in 2011
2011年だった
It's on their wikipedia page
彼らのWikipediaにも載ってる
But for the most part
でも大部分において
However big that chorused bass may throb
あのコーラスの効いたベースがどんなに大きく脈打とうと
You and me and all of us
きみも僕もみんな
Are gonna have to find a job
仕事を見つけなくちゃならないんだ
Because the world will never know or understand
なぜなら世界は知らないし、分かろうともしない
The suffocated splendor
息の根を止められたかつての
Of the once and future goth band
そして未来のゴス・バンドの栄光を
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