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[INTERVIEW] Warpaint


彼女たちが演奏を始めた瞬間、会場の空気が一気に変わった。LAを拠点とする美しき女性4人組Warpaintが紡ぎ出す熱を帯びた愛とダークな世界へと一気に引きずり込まれる。3度目の来日にして初の単独公演は、満員御礼のソールド・アウトだった。

蜂が飛び回るかのような不穏な音から始まる「Bees」で幕が開くとすぐに会場は熱狂に包まれた。色っぽく、ミステリアスに踊り演奏する彼女たちは蜂というよりもひらひらと花の周りを舞う蝶のよう。新譜の表題曲でもある「Heads Up」の熱を帯びた演奏には、ジリジリとした焦燥を感じずにはいられかった。一際艶っぽいTheresa、クールなEmily、奔放なJenny、そして大人な雰囲気のStella。個々の個性が放たれ、Warpaintという化学反応を起こしているようだ。男も憧れるかっこよさ、女性が羨む色っぽさ、そして時折見せる可愛らしいチャーミングさを兼ね備え、愛を歌いエロティックに踊るWarpaintは最強の女性バンドかもしれない。甘美なコーラスから始まる「Love Is To Die」で観客の盛り上がりが絶頂の中、踊れるディスコなサウンドの「New Song」を投下し、一気に駆け抜けた。アンコールに応えて最後の締めはWarpaint流ヒップホップ「Disco// Very」。

前作『Warpaint』でバンドとしての新たなスタート地点に立った後、個々でソロや別プロジェクトへの参加を経て再び集まった彼女たちの目指したのは”踊れる音楽”である。それはこのライブでも現れていたと感じた。その場にいたラッキーなオーディエンスは、彼女たちの演奏する音に溺れるように酔いしれ、我を忘れて踊っていたことだろう。

その数時間前、前夜に日本に着いたばかり(で少しお疲れ気味だった)のEmilyとStellaに話を伺ってきた。
自分が強いと振る舞うんじゃなくて
弱い人間であることを受け入れるべきだと思った


──実は3ヶ月前にここでKurt Vileに取材したんですよ! 2日前ぐらいにinstagramに彼と一緒の写真をアップしていましたよね?

Stella
 本当に? そうそう、オーストラリアで彼と会っていたの!

──Stellaは最近Kim Gordonのシングル「Murdered Out」に参加していましたが、Kurtからの紹介ですか?

Stella
 彼女とは、もともとはKurtのライブをLAで見たときに出会ったの。でも実はその前に彼女が書いた曲をレコーディングしていて、実際に彼女に会えたのはその後だったの。実際に会えたのは確かにLAでのKurtのショーで、私たちは少し話したんだけれど、彼女はすごく良い人だった。



──なるほど、二人は同じ女性バンドとして、彼女のような“Rock Goddess”と呼ばれるような存在になりたいですか?

Stella
 Kimは本当に素晴らしくて、この何十年かの中で、インテグリティな(=普通では到達出来るレベルではない高尚な精神を持つ)存在。ファッションも彼女らしさを維持していると思う。何て言えばいいかわからないけれど、シンボリックな存在と言えばいいのかな。男性が多い音楽業界でトップの地位を獲得しているけど、それは並大抵の努力ではできないし、強いマインドがないとできないと思う。

Emily 彼女は未だにとてもクールだよね。Body / Headというプロジェクトは見たことがあるの。これは彼女の新しいプロジェクトなんだけどね。素晴らしくロックだった。彼女のように黄金時代を過ぎても活動している人なんてほとんど知らないわ。彼女は未だ限界に挑戦しようとしているよね。

──Stellaは今年リリースされたthe xxの新作の「Say Something Loving」でもドラムを叩いていますが、the xxの新譜『I See You』についてはどう思いましたか?

Stella
 彼らがアルバムのレコーディングを始める2年ぐらい前からデモを聴かせてもらったり、アルバム制作に関われたのは、すごくラッキーだったと思う。彼らのアルバム制作の過程が見れたのは面白かった。もともと(the xxのメンバーである)Jamie、Romy、 Oliとはコラボレーションしたりと一緒にやる機会はあったし、特にRomyとは数年間に渡って良い友人だったけれど、彼らがデモを作ったりアルバムを作ったりというのを、どういう過程でやっているのかは知らなかった。普段友達同士でも、完成したものをリンクで送ってもらったりはするけど、実際どうやってレコーディングしているかまで話さないよね。自分のバンドではないから細かいアドバイスをするというわけではなかったけど、何か聞かれたら「こうやったら良いんじゃない?」っていう提案ができたり、もし自分だったらこうするな、っていうのを体験できたのはエキサイティングだったし、アルバム制作においての良い勉強になったわ。



──今までの彼らの作品は、Warpaintと通じるダークな要素がありましたが、新作では明るいポップへと音楽性が変わっていますよね。その変化についてはどう感じていますか?

Stella
 何をやりたいかっていうのは、私たちもディスカッションしたのよね。RomyとJamieとは何曲か聴いて、「ポップ・ミュージックとは」っていうのを定義したりした。たぶんだけど、私たちがやろうとしているのは逆説的なのかも。確かに明るい感じをやろう、という意識はあったと思う。私たち、どちらのバンド(the xxとWarpaint)もハッピーで暗い感じを減らそうとして、エモーショナルな感じを取り入れてみた。私たち自身は前のアルバムと同じようなことをするのが疲れちゃったから、新しいこと、劇的な進化を求めていたの。音楽を一緒にもっと続けるためにね。the xxに関して言うと、Jamieがソロに挑戦して大成功したじゃない? だから彼らがどうすべきかとか、どういう音楽を作りたいか考えるきっかけになったんだと思う。変化をすることは良いことだし、新しい可能性が生まれると思う。もし今後10年やっていきたいなら、変わっていくプロセスは大切だと思う。ただホットなアルバムを作って、お金を生み出して、辞めちゃおうっていうのなら同じアルバムを作ればいいと思うけど、PJ HarveryやNick CaveやRadioheadのように長い間存在しているバンドは、違うステップを踏んで、違う音楽を作っているよね。

──EmilyもラッパーのSaul Williamsのアルバムに参加していましたが、Warpaintの新作にもDr. Dreから取った「Dre」という曲がありましたよね。Emilyは今日のファッションもパーカーにキャップというヒップホップっぽい感じで、ライダースでロックな雰囲気のStellaと対照的ですが、最近はそういう音楽に興味があるのでしょうか?

Stella
 私、ロック・チックみたい?(笑)でもこのジャケットも素材はレザーじゃないから!

Emily あなたの指摘はわかるけど、もっとロックっぽい格好もするし、普段はあんまり気にしてないわよ。確かにこのキャップはそうかもね。でもこれはただのスウェットよ。その服を着たからといって彼みたいになれるわけではないけど。私自身、ロック、ラップ、ビート、エレクトロに多大なインスパイアされていると思うわ。ロックに影響を受けているけど、ビートとジャーマン・エレクトロ、それからモダン・ロックにはさらに影響を受けているわ。新しいアルバムをコンピューターで開いて個々の曲を並べてみた時、ビートとかエレクトロとか、コンピューター・ミュージックの影響が現れているというのはわかると思う。今までのようにライブ・バンドの要素も加えているけれども、もっとエレクトロ・ミュージックの要素があると思う。ギターとかボーカルも入れているけど、歌っていてもコンピューターで制作すると、違う音やリズムに変えることができる。そしてそういったビートっていうのは心臓の音に近いよね。人間の持っている根底にビートを聞くと体が自然に動いてしまうというのがあるし、そういうエナジーを色々な方向で発するのを挑戦することに興味を持ったの。だって私たちは、色々な方法で音楽をやることができるから。だからスローダウンした曲も作ってみたりしてみたわ。エレクトロとかビートのアーティストは、そういう風に引き算したりするの。

──「New Song」はDaft Punkの「Get Lucky」からの影響で作ったそうですね。

Emily
 そう。元々、Jennyがディスコ・ソングを作りたかったの。その元になる曲として「Get Lucky」を選んだのよね。エレクトロ寄りのポップな感じにしたくて。実際サウンド的には「Get Lucky」じゃないけど、この曲をアイデアとして持ってきた。これは私たちにとってテーマを決めた曲で、自分たちなりに作ってみるという意味で良いエクササイズになったわ。例えば「Talking Headsみたいな曲にしよう」と言っても、ギターをこうしてとか、自分たちになりの解釈をして作れるわけ。



──「あなたちなりのポップの解釈がこの曲なのでしょうか?」と質問したかったのですが、今の話を聞いたらエレクトロの影響を表現したものなのかな、と思いました。実際はどうでしょう?

Emily
 うーん、違うかな。エレクトロっぽさもあるかもだけど、とてもポップな曲よね。私たちなりのポップよ。

──その「New Song」とは反対に、「The Stall」はEmilyが親しくしている人についての歌ですよね?

Emily
 そう。この曲は私の家族のある人についてなの。

──その曲のモデルとなった人はいろいろな困難を乗り越えてきた強い人だと、別のインタビューで語っていましたが、あなたたは人生の困難に直面した時、どうやって乗り越えてきましたか?

Emily
 この曲は、打ち克つということなの。これは何か困難に直面した時のことよ。そしてこの曲は「愛は守ってくれる」ということがコンセプトなの。レコーディング中に、そのことを思い出して自分の感情を止められなくて何度か涙が出てしまったのよね。実際に同じシチュエーションになったとき、つまり自分が崩れそうになった時に、怖いと思っていることを見ないようにしようとするけど、見て見ぬふりをして自分が強いと振る舞うんじゃなくて、そういった感情を持つことを許して、自分が弱い人間であることを受け入れるべきだと思ったの。私はそんなんじゃないという認めたくない気持ちを捨てて、自分の弱さに素直になることで、よりまた一つ強くなるんじゃないかって思うのよね。

──「New Song」のような踊れるハッピーな曲と「The Stall」のようなシリアスな曲ということで、それぞ異なるテーマで作られているのかな、と思うのですが、実際のところアルバム自体には一貫したコンセプトはないのでしょうか?

Emily
 アルバムに関してはいろいろなものの集合体というか、コレクションみたいな感じなの。曲自体はメンバーそれぞれのパーソナルな体験をもとにしているので、このアルバムが何っていうのはないかな。みんなの個々の感情が集まったものという感じ。ただ、全員が自分たちの感情に乗せて満足すると次のステップには行けないと思うから、常に何か「次回はこういうふうにしよう、またこういう課題があったらこうしようね」という余白を残しておこうと思って。今回のアルバムについては個々の色が集まったものになったかな。一言で言うとスナップ・ショットみたいな。曲を書いた3人それぞれの体験の瞬間を切り取って、それを集めたものって感じ。

──ちなみに、曲を書いていないのは…?

Stella
 私ね。今回は歌詞を書いていないの。

Emily でもクレジットは全部“Warpaint”になっているわ。

──『Heads Up』のジャケットは前作『Warpaint』のメンバーが重なっている写真と変わって、手をつないだ4人の姿が映し出されていますが、今話していたように、4人バラバラだけれども繋がっているという意味でしょうか?

Emily
 私たち自身がついにアルバムのカバーになったのね!(笑)一緒に手を繋いで窓を見ている写真なんだけど、これはこのアルバムを作る上での練習スペースなの。


Warpaint - Heads Up (Rough Trade)


──ちなみにこの写真を撮影したのはクリス・カニンガムだったり?

Emily
 いいえ、今回はMia Kirbyが撮ったの。彼女はプレス・フォトを撮ってくれているのよ。とても親しい間柄なの。

──前作『Warpaint』は「恋人が愛を紡ぐ時に聞いて欲しい」と言っていて、今作もスローテンポなダンス・サウンドは同じくセクシーな雰囲気があると思います。Warpaintは音によって女性的な色っぽさを表現するところが魅力のひとつだと私は思っているのですが、そういう点は意識しているのでしょうか?

Emily
 いつもみんなでその話をしているのよね。そういう恋人と一緒のシチュエーションも思い浮かべるわ。だって、ロマンスはクールでしょ!
Posted by 栗原葵
INTERVIEW / 13:30 / comments(0) / trackbacks(0)
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