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[REVIEW] Whitney - Light Upon The Lake
評価:
Secretly Canadian
(2016-06-03)

ナナは愛の言葉

観測史上稀に見る寒さを記録した2014年の冬のシカゴで、Smith WesternsのギタリストだったMax Kakacekと、同じくSmith Westernsのドラマーで、Unknown Mortal OrchestraのメンバーだったこともあるJulien Ehrlichは、途方に暮れていた。2人とも恋人にフラれたばかりで、おまけに住む場所を追い出され、ホームレス同然だったのだ。
失意のままMaxの家族の住むウィスコンシン州の小屋を訪れ、暇つぶしに曲を書くようになった2人。なんだかどこかで聞いたことのある話だが、Mississippi RecordsやLight in the Atticといったレーベルから再発されたAbner JayJim Fordといった60〜70年代のミュージシャンへの愛情を共有していた彼らはすぐに意気投合し、友人たちを誘って新バンドのWhitneyを結成している。

メンバーはドラム&ヴォーカルのJulienとリード・ギターのMaxに、リズム・ギター、ベース、キーボード、ホーン、そして専属のサウンド・エンジニアを加えた7人。2015年の夏にTobias Jesso Jr.の前座を務めたWhitneyは、彼からFoxygenのJonathan Radoを紹介されているが、そのRadoをプロデューサーに迎えてロサンゼルスでレコーディングされたのが、ファースト・アルバムとなる本作『Light Upon The Lake』だ。

ここで展開されているのは、父親から手渡されたAllen Toussaintの『Southern Nights』に影響を受けたという、カントリー風味のソウル・ミュージック。結成当時の彼らの心境を綴ったであろう「No Woman」や、一昨年亡くなったJulienの祖父に捧げたという「Follow」の歌詞も胸を打つが、一番耳に残るのは歌詞の無い、「ナナナ」だけで歌われるコーラスの部分だ。それはたとえばJulianと同じドラム&ヴォーカルのLevon Helmが歌うThe Bandの「The Night They Drove All Dixie Down」や、Van Morrisonの「Caravan」のように、言葉にならない感情がその「ナナナ」から伝わってくるからかもしれない。

WhitneyというのはJulienとMaxが作り出した架空のキャラクターで、「独身の老人男性をイメージした」そうだが、それは同時に、Julienがはじめてキスをした女の子の名前でもあるらしい。Julienによればそれは単なる偶然だそうだが、もしかしたら照れ隠しで、本当はその女の子のことをずっと考えていたんじゃないだろうか。曲が完成した後、JulienとMaxの2人が興奮気味に元カノに送ったという「Golden Days」を聴きながら、バラをあしらった本作のアートワークを眺めていると、そんな風に思わずにはいられないのだ。

Posted by Monchicon
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