突然ですが、みなさんにお伝えしなければならないことがあります。

モンチコンの片割れであり、友人でもあった佐藤一道が、先月死去しました。

ご報告が遅くなってしまった理由は、気持ちの整理がつかなかったこともありますが、それを公表することによるブログの読者の反応や、現在制作中であり、佐藤も編集に携わっていた『CON-TEXT』の最新号がどのように受け止められるのかについて、憂慮してしまったからでもあります。しかしいつまでも伏せていることは不可能だと判断し、この場を借りてお知らせすることにしました。僕自身、それがどういうことなのかまだ理解できていませんし、今はなるべく考えないようにしています。もしかしたら、ずっとわからないままなのかもしれません。

そのことを受け入れるのはとても辛いですし、悲しいと言うのは簡単ですが、僕の中に沸いてきたのは、もっと複雑な感情でした。佐藤には散々迷惑をかけられましたし、現に今もこうして制作中の本の編集作業に穴を開けているわけだから、腹も立っています。けれども、これが佐藤のかけた最後にして最大の迷惑で、これからはもう迷惑をかけられることもないのだと考えると、なんだかそれはひどく寂しいことのように思えます。

誤解を恐れずに言えば、モンチコンというブログは僕個人が始めたものであり、サイトのデザインや更新、運営といった作業の大半は、僕ひとりで行っていました。だから実質的に言えば、これからも今まで通り続けていくことは可能ですし、『CON-TEXT』の編集作業も、佐藤がいない状態にも関わらず滞りなく進み、佳境を迎えようとしています。ところが今こうして机に向かって今後のことを考えてみると、どうしていいのか全くわかりません。僕の思っている以上に、モンチコンというブログは佐藤の存在や、キャラクターに負うものが大きかったのだと思います。そもそも“モンチコン”という人を食ったような名前も佐藤が考えたもので、その本人がいなくなった今、ひとりでこのブログを続けていくべきなのかどうか、それさえもよくわかりません。けれどもその一方で、もしも続けていくのだとしたら、それができるのは自分しかいないのだとも思っています。

先日佐藤の部屋の遺品を片づけていたところ、モンティ・パイソンのジョン・クリーズが演出・主演した『フォルティ・タワーズ』という海外ドラマのDVDが出てきました。「ニシンと死体」というエピソードが面白いから見てくれと言われて、佐藤から借りたことを覚えています。夕食に出したニシンが原因で宿泊客が死んだと思い込んだホテルの支配人のバジル・フォルティが、そのことをひた隠しにしようとする話です。佐藤が亡くなった後、いろんな人から「佐藤さんはどうしているのか」と聞かれる度に、言葉に詰まってごまかしていたのですが、それはまさに「ニシンと死体」のようでした。佐藤の遺体を前にした時も、僕にはまるで彼がふざけて、死んだふりをしているようにしか思えなかったからです。

僕の妻も生前の佐藤と親しくしていたひとりですが、決して多くはない友人を失い、残された膨大な量の作業に追われている僕を、妻はいつもと変わらず罵り、冗談を言い合って笑っています。そんな彼女に対して、少しはいたわってくれと思ったりもしますが、そのことに少し救われてもいます。死という現実を前にしても、残された人たちは誰に気兼ねすることなく、日常を続ける権利があるのだということを思い出させてくれるからです。

だからもし我が儘が許されるのであれば、このブログはもう少しだけ続けていきたいと思っています。それが本当に“もう少し”なのか、もっと長い期間なのか、今はまだわかりません。けれどもそれが自分にできる、せめてものことなのではないかと思っています。

佐藤が携わった『CON-TEXT』の最新号も、予定通り発行されます。彼が関わったのはごく一部ですが、特集のコンセプト自体は彼の発案によるものですので、ぜひ読んでみてください。

最後になりますが、今までお世話になった方々に、佐藤に代わってお礼申し上げます。本当に、ありがとうございました。

2015年2月2日 清水祐也(Monchicon!)