Viva La Psyche! イギリスはKettering出身の新人4人組、Templesがファースト・アルバムSun Structuresを2月5日にリリースします。

Edwyn CollinsやPaul Wellerとも縁の深いThe Moonsを脱退したJames BagshawとThomas Warmsleyの二人が、Jamesの寝室で作った曲「Shelter Song」を2012年にYouTubeにアップしたところ、大きな反響を呼び、トントン拍子でHeavenly Recordingsと契約。Suedeのツアー・サポートに抜擢され、Johnny MarrやNoel Gallagherが「すばらしい新人」として名を挙げ、さらに2013年の7月にはなんとRolling StonesのHyde Park公演の前座をつとめるなど、まだライヴ経験も浅いにも関わらず大きな注目を浴びております。先輩達のサイケ好き心を絶妙にくすぐっちゃったみたいです。

そんな彼らの記念すべきファースト・アルバムですが、Tame ImpalaやDungenといった近年のサイケ・バンドの音とも共振しつつ、敬愛するPink Floyd, The Byrdsは勿論、Soft MachineやZombies, Tomorrow, July, The End, Mighty Babyなどなど、60年代ブリティッシュ・サイケの優雅な薫りが感じられる作品に仕上がりました。どこか気品があります。そして2013年11月30日に開催されたHostess Club Weekender出演時の華やかな佇まいと端正な演奏と顔立ちとを観た感じでは、「萌えサイケ」という新しいジャンルの可能性が感じられたりも。

というわけで、Thomas Warmsley(ベース)とSam Toms(ドラム)のふたりにHCWの楽屋裏で話を聞いてみました。早速ご覧ください。

Temples - Shelter Song at Hostess Club Weekender 2013/11




「アナログとデジタルの両方が大事」だと思っている



――先程日本で初めてのライヴを終えたばかりですが、感触はどうでした?

Thomas Warmsley(以下T):すごく楽しかったよ。他の出演者も好きなバンドばかりだしね。そんなイヴェントで演奏できて光栄だったよ。

――トムとジェイムスはかつてThe Moonsというバンドにいたそうですが、他の2人とはどのようにして出会ったのですか?

T:他のメンバーもそれぞれ違うバンドをやっていたんだ。それで全員が成長していく中で何か違うことをやってみたいと思うようになったのがきっかけだね。

The Moons feat. Paul Weller - Something Soon HD



――ちなみにサムはTemplesの前に何をやっていたんですか?


Sam Toms(以下S):いろんなバンドにいたね。その中のひとつ、The Koolaid Electric Companyは日本でCDも出しているよ。「サイケなシューゲイズ」って感じの音だった。

The Koolaid Electric Company - Invasion On The Skies



――フムフム。そうやって別々のバンドのメンバーが集まった時に、なぜこのような「サイケデリック」な音を鳴らすことになったんでしょう?


T:僕らはそれまで違うバンドにいて違う街に住んでいたんだけど、偶然メンバー全員が地元のケタリングに戻ってきた時にテンプルズが結成されたんだよ。だから元々やりたかったことがサイケな音楽で、たまたまそれがメンバー間で共通していたってことなんだろうね。

――ということはケタリングにはサイケな音楽シーンがあったんですか?

T:いや、全くなかったんだ。だから、街の誰も僕らの音楽なんて聴かないだろうなって思ってたよ。いたとしても3人ぐらいじゃない?って(笑)。もしかしたら上の世代の人にはそういうシーンがあったのかもしれないけど、少なくとも僕らの世代には皆無だった。

S:パンクのシーンみたいなものはちょっとあったけど、ケタリングは文化が殆どない街なんだ。だからこそ自分たちみたいなヘンなバンドもちょこちょこといたりするんだけどね。

――なるほど。ちなみにかつていたバンドがMoonsで今回のアルバムのタイトルが“Sun Structures”っていうのはなにか関連性があったりするんですか?


T:全くないよ(笑)

――ですよね。


S:でも俺は太陽を信奉してるよ。日光ってやっぱ重要だしね。

T:タイトルはアルバムに入ってる「Sun Structures」という曲から取られたものなんだけど、このアルバム全体を表現するのに相応しい曲だと思ったんだ。

Temples - Sun Structures (Ctrl in-situ session)



――なんでも今回のアルバムはジェイムスが実際に住んでいる部屋でレコーディングしたそうですね。

T:本当に全てのレコーディングをジェイムスの部屋でおこなったんだ。彼のベッドルームの横に小さな部屋があるんだけど、そこをレコーディング・ルームとして使用したのさ。ドラム・キットとかその部屋に入りきらない機材に関しては仕方ないからベッドルームで録音したんだけどね。

――プロデューサー的な存在がいなかったから結構苦労したりは?

S:でも、最近は自宅で簡単にレコーディングができるようになってきていて、その方が自分達で自由にレコーディングができるし、やりたいこともしっかり表現できるんだ。ちっちゃな部屋の中でまるで山の上から鳴らしているかのような音を作ることもできるしね。だからホーム・レコーディングってすごく便利だって思うよ。

T:ちゃんとしたスタジオに入ってプロデューサーがいて……ってなるとすごく窮屈だし、時間に縛られちゃうんだよね。でも今は自分達で機材さえ買っちゃえばいくらでも時間をかけられるからすごくクリエイティヴになれるね。

――サイケを志向するバンドはヴィンテージだったりアナログの機材にこだわりを持つ人が結構多いと思うのですが、あなた達にはそうしたこだわりがあまりないようですね。

T:そうだね。やっぱり僕らが伝統的なサイケデリック・バンドと違うところは「アナログとデジタルの両方が大事」だと思っていることなんじゃないかな。アナログでは出せないハイ・クオリティな音がデジタルでは出せたりするからさ。

S:あと、アナログだけだと昔の音を再現しているだけって感じになっちゃうから、アナログとデジタルのいい部分を混ぜて「自分たちならではの音」っていうのを作り出しているんだ。だから全然アナログ志向ではないよ。

――音自体は60年代志向だけど、感覚はすごく現代的なんですね。

T:そだね。っていうかむしろ60年代だけに囚われたくもないかな。

――ライヴでもプレイしていた「Keep In The Dark」は、音源の方だとブラスとかシタールとかハープの音とか色々なサウンドが入ってますが、あれも生ってわけではないんですか?

T:ブラスに聴こえる音はギターにファズをかけて出しているんだ。

S:ハープの音はサンプルだね。

T:自分たちの音楽にオーケストラみたいなフィーリングを入れたいと思っているんだ。そうすれば音にダイナミックな感覚が生まれるからね。

Temples - Keep In The Dark


――サイケデリック・ミュージックの可能性を追求するには宅録の方が色々と向いているのかもしれませんね。


T:そうだね。今回のアルバムでは20人のオーケストラを呼ぶことも、大聖堂の中で録音することも無理だったから、もし宅録ってスタイルをとっていなかったら、可能性がひどく狭められていたと思うよ。このスタイルだったからこそ自由度が高くて色々な要素を入れ込むことができたんじゃないかな。

S:でも、もしこのアルバムが売れて予算ができたら、次のアルバムでは違うことをやるかもしれないけどね。

T:僕らは映画のサントラが大好きでね。シネマティックな音にすごく惹かれているんだ。だから今後は自分たちなりの解釈でシネマティックな感覚を音楽の中に取り入れていきたいなって思っているんだ。

――ちなみにアルバム本編のラストを飾る「Fragment's Light」はイタリアの70年代のプログレ・バンド、Sensations' Fixの『Fragments Of Light』というアルバムからインスパイアされたものなんでしょうか?

T:うん、その通りだよ。『Fragments Of Light』が大好きで、実際この曲のサウンド自体もそのアルバムからインスパイアされているんだ。

Sensation's Fix



――そうだったんですね。以前インタビューで、「人生を変えたアルバム」としてPink FloydとByrdsと一緒にこのアルバムを挙げていたのを見たので、もしやと思って。

T:3つとも違う国のバンドなんだけど、バーズに関しては“12弦ギターを使ったポップソング”という点、ピンク・フロイドについては“エクスペリメンタルなアルバムのコンセプト”という点、あとSensations' Fixは時にアンビエントだったりもする“プログレッシヴなサウンドスケープ”といった、それぞれ異なる部分がすごく好きなんだ。

S:あと俺はHawkwindも好きだな。彼らはPink Floydのダーク・ヴァージョンだね。

――Silver Machine! 最後に、京都に「金閣寺」っていうサイケなGold Templeがあるの知ってる?

T:(笑)それは知らなかったけど、今度また来日できたら行ってみたいね。





Temples - Sun Structures (Heavenly / Hostess)
1. Shelter Song
2. Sun Structures
3. The Golden Throne
4. Keep In The Dark
5. Mesmerise
6. Move With The Season
7. Colours To Life
8. A Question Isn't Answered
9. The Guesser
10. Test Of Time
11. Sand Dance
12. Fragment's Light
13. Shelter Song - Society Remix (ボーナストラック)
14. Mesmerise - Time and Space Machine Remix (ボーナストラック)


Temples - Mesmerise