Ariel Pink's Haunted Graffitiの元メンバーで近年はBeckのエンジニアとしても活躍しているCole M.G.N.率いるLAの3人組The Samps。そして、ColeのパートナーでLAのエレクトロ歌姫として名を馳せるNite JewelことRamona Gonzalez 。10月におこなわれた来日公演では、「ミキサー一台を3人でかわりばんこにいじる」というSampsのユニークなパフォーマンスで話題となりましたが、そんな二組にライヴ当日の楽屋でおこなったインタビューを(若干遅ればせながら)お届けします!

Beck絡みでカントリー界の大御所Dwight Yoakamのアルバムにもクレジットが入っちゃったColeはもちろんのこと、Nite Jewelの方もDam-Funkとの合体ユニットNite Funkや、先日アナウンスされたLinda Perhacsの44年ぶりの新作アルバム『The Soul of All Natural Things』(Asthmatic Kittyから!)に参加するなど、様々な人々とのコラボを精力的に行っていますが、じゃあそもそもこの二人は最初どのようにして出会ったのか? という素朴な疑問からまずは入ってみました。早速ご覧ください。
Nite Jewel - "Stay a Little Longer" (Official Music Video)



The SAMPS "Overnight Lo"



「LAのミュージシャンは才能で深く繋がっているんだ」


――ズバリ、お二人はご夫婦ですが、そもそもの馴れ初めは?

Nite Jewel(以下N):実は高校が一緒だったの。コールのほうがひとつ年下だったから、学年違いってなかなか知り合う機会ってないじゃない? でも、二人がニューヨークの大学に進学した時に、共通の友達がいて、その子が「絶対気が合うから会った方がいいよ」って勧められて、実際に会ってみたらもう一瞬で恋に落ちちゃったの。コールが私にミックスCDを作ってくれたんだけど、そこにかわいいヒヨコの絵が描いてあってそれにもトキめいちゃったわ。

――ヒヨコ・・・Nite Jewelのファースト・アルバム『Good Evening』はAriel PinkやJulia HolterをリリースしていたLAのHuman Ear Musicからリリースされてましたね。ニューヨークの大学に通ってたとのことですが、そこからHuman Earと知り合うことになったいきさつは?

N:ニューヨークからふたりでLAに戻ろうって言って戻ったのよ。そこで本当に偶然なんだけど、(Ariel Pinkがメンバーだったこともある)Holy ShitのMatt Fishbeckが私たちふたりの共通の友だちだったオスカル(?)という日本人の男の子に道ですれ違ったときに一目ぼれしちゃって。そこでマットが彼をナンパしたのがきっかけで知り合うことになったのよ。

――い、いい話ですね。そこからColeがAriel Pink's Haunted Graffitiに加入することになったんですか?

Cole M.G.N.(以下C):知り合って半年ぐらいは友達としてただつるんでいるだけだったんだ。その間、僕はGary Warのバンドにいたんだけど、アリエルとはよく対バンとかしていたから僕の演奏を見ていたんだろうね。ある時、アリエルが当時のバックバンドのメンバーをいきなり全員クビにしちゃって、その後で誘われたんだ。

――いきなりクビ・・・コールさんは『Before Today』のリリース前にアリエルのバンドを脱退してますよね。なんでもアリエルの主張によれば「コールがある日突然スタジオにやってこなくなった」。さらに、「アルバムのジャケットに後姿で写っている老婆はコールなのだ」とのことですが、この辺の真相についてお聞かせ願えませんか?

(一同爆笑)

C:いかにもアリエルが言いそうだなぁ(笑)。元々彼は基本的にひとりきりで音を作る人だから、いざバンドでレコーディングしてみたら頭がおかしくなっちゃって、バンドのメンバーみんなにすごい嫌な感じにあたったんだ。だからみんなもう頭にきて「おい、もう俺たちやめようぜ!」って話になってさ。「よし、お前らが辞めるんだったら、俺も辞めるよ!」って言って実際に辞めたら、「やっぱ残るわ」って残りのメンバーは何故かそのままバンドに残っちゃって。で、結局僕だけが抜けた形になったのさ(笑)。まぁ、でも元々ライヴよりもスタジオで録音したい派だから、辞めてよかったと思っているよ。僕が辞めた後の方がバンドとしてはまとまっていたと思うし。


↑Cole?


――そんなダチョウ倶楽部みたいな状況(「どうぞどうぞ」)だったんですね・・・でも、コールはアリエルの次のアルバム『Mature Themes』では共同プロデューサーとして参加していますよね。


C:LAのミュージシャンは才能で深く繋がっているんだ。だからめっちゃ嫌なことをされたとしても愛は伝わるんだよ。アリエルが「Round And Round」でビッグになった後に世界ツアーを終えてLAに帰ってきてからまたつるむようになってさ。

N:コールがベックのエンジニアをするようになって、アリエル以外のバンド・メンバーが「このベックの曲すげえいいじゃん!」って言ってくれて、みんながアリエルにそれを聴かせて「また一緒にやるべきだよ!」って説得したの。そうしたら「じゃあまたやろう」ってなったのよ。

――なんか青春・・・たしかにBeckが今年リリースした新曲はThe Sampsをバックに歌ってるみたいでカッコよかったです! 次のベックのアルバム(来年2月の『Morning Phase』とは別の?)もそういう感じになるんでしょうか?


N:う〜ん、1年前ぐらいから作ってるけど彼はあらゆるスタイルができるからね。アコースティックからプログレッシヴからエレクトロニックまで様々な音楽をやっているんだ。だから最終的にどういう感じになるのかはわからないなぁ。

Beck - Gimme



――ちなみにRamonaは今年の夏に伝説のフォーク・シンガーLinda Perhacsとライヴをしたそうですね。

N:そうなの。Linda自身が私とJulia Holterに「今のLindaを作り出してほしい」って依頼してきたの。だから、ショウのキュレイターや、曲作りのこととか色々と彼女に教えてあげたのよ。すばらしい経験だったわ。

――彼女の新作アルバムにも参加しているんですか?


N:バッキング・ヴォーカルやシンセでちょこっと参加しているわ。彼女は他にも沢山の人々とレコーディングしているんだけどね。

――ColeもRamonaも、これまでにDam-Funk(Nite Funk)やNicholas Krgovich等々色々な人とコラボしてますが、「次はこの人とコラボってみたい!」と思う人っていますか?

C:そうだなぁ。実際いっぱい誘われてはるんだけど、今はなるべくコラボレーションを少なくしたいんだ。でも、もしするんだったら、やっぱりさっきも言ったようにLAの仲間たちかな。本当に友達で、音楽を理解できる人たちと一緒にやりたいな。

N:そうね。名前とかは関係なくって、本当にいい音楽を作るためにコラボレートしたいわ。

――Big LoveからThe Sampsの『MACROCHIPS & MICRODIPS』とNite Jewelの『GEMS』という2枚のコンピ盤が出ましたが、これはどういうコンセプトで作られたのでしょう?

C:The Sampsの場合は・・・まぁちょっとサンプスの音って濃すぎるからさ、それをアルバムにしたところでみんながちゃんと理解してくれるかどうかが不安で、これまでアルバムをあえて作らなかったんだよね。僕自身コンセプト・アルバムは好きなんだけど、なかなか他の作業で忙しくて集中できなかったし、自分達がそれを出すのには抵抗があった。だけど、このシングル・コンピは自分たちがこれまで作ってきたものを見返すいい機会だと思ったから、従来の考えからあえて前進してみたのさ。

N:私のコンピレーション・アルバムの方にはサンプスのメンバーのJason Darrahのレーベル(Gloriette)からリリースした昔のアルバムやシングル曲と、何ヶ月か前に作った新曲が一緒に入っているんだけど、やっぱり全く違う音になっているわ。

C:でも、僕が聴く限りではたしかにリリースした日にちはバラバラだけど「ナイト・ジュエル・スタイル」っていうニュアンスがどの曲にもちゃんと感じられるから、変わらない部分はあると思うな。作り方やプロダクション自体は全然違うけれど、曲自体の流れは一貫しているから、最近作った曲がこの中に入っいても違和感はないね。

――なるほどなるほど。ちなみに今回共演するSapphire Slowsについてはどう思いました?


N:彼女にはLAのヴァイブがあるわね。「The Smell」(No Ageで有名なヴェニュー)でLAの若いエレクトロニック・バンドの子たちがやっていることに通じるものがあると思うわ。

C:「DIYダンス」って感じだね。

――最後に、お二人の今後の予定とか野望とかを。

N:ブラジル、ブラジル! 南米ツアーやりた〜い。そこで「日本はアメイジングだったわ〜」って言いたいの。まぁそれはいいとして、家に帰ったらここ2年間ぐらい作っている曲が溜まってるから、EPやアルバムを完成させたいわねぇ。

C:サンプスの方はメンバー同士がすごく忙しいからなかなか活動できないんだけど、実は僕らもまだ世に出せてない曲が沢山あるんだ。でも、僕のスタジオが最近完成してもう機材のセッティングもバッチリだから、帰ったらそこでじっくり曲作りをしたいな。そして、これまでで最高の曲を作ろうと思う。

N:そうそう、あと私がDam FunkとコラボしたNite Funkの音源もチェックしてね!


Nite Jewel『Gems』(Big Love)


The Samps『Macrochips & Microdips』(Big Love)



*The Samps:タワレコでのインストアの模様