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[INTERVIEW] No Age


アート・シーンとも関わりの深いLAのギター&ドラム・デュオ、No Age。『Everything In Between』から約3年ぶりとなる新作An Objectがここに届けられた。初期のシングルに関わっていたFacundo Bemudezを共同プロデュースに迎え、ドラム以外にベースやコンタクトマイク等を録音に用いるなど、通常のルールに縛られない自由なアプローチを試みた本作は、初期のラフな感触に戻った原点回帰的な作品となっている・・・とまとめてしまうのは簡単だが、どうやら話を聞く限りでは音楽だけではなく、それにまつわるパッケージに関してもかなりのこだわりがあったようだ。というわけで、ドラマーのDean Spuntにその辺についていろいろと話を聞いてみた。
No Age - C'mon Stimmung (not the video)



「アーティストが自らのアート作品の大規模な製造者となった際に
一体何が起きるのかを見てみたかった」



――なんでもバンドは新作『An Object』のLPとCD5000枚ずつのデザインからインサートまでのパッケージを実際に自らの手で制作/製造したそうですね。音楽とそのパッケージとの関係についてはどのように考えていますか?

音楽のパッケージは形状やフォーマットと共に常に変化している。初期の78回転のSPレコードはラベルとスリーヴだけしかなかった。45回転盤もそうだね。そこからライナーノーツやインサートが付いたものから、8トラック、カセット、CD、MD、mp3へと発展していった。だから音楽のパッケージというのは常に移ろいゆくもので、その時代その時代で生産されるものに基づいて変化していくんだ。特にそれはメジャーレーベルの大量生産品や、利益を生み出すためにできる限り多く安く生産されたインディー・ロックのアルバムに当てはまることさ。人々はパッケージよりもその中身、つまり音楽自身を第一に考える傾向があった。でも、音楽が容易に入手しやすくなってからは、今ではパッケージの方がより重要になってきているよね。



――こうしたアプローチは近年のデジタル・フォーマットによる無形の音楽文化の浸透に反対するひとつのステートメントと捉えることも可能ですよね。実際にそうした意図はあったのでしょうか?

今回のアルバムの意図というのは「大きなスケールで何かを作り出す」っていうことだった。このプロジェクトに取り組むことが何故重要だと思ったのかには多くの理由が存在するんだ。そのうちのひとつにはデジタル・フォーマットの音楽に関するコメントだと捉えられるようなものもある。俺はそうしたフォーマットに関しては何の問題もないと思っているし、有形物が無形物より重要だとも思わない。ただ、それらが個々にどのような意味を持つのかを知るために、こうしたプロセスを経たってことなんだ。ある意味では俺らは全く必然性のないことをやっていたともいえる。1万枚のレコードを自分達の手で作る必要なんてたしかにない。でもこれは不条理であると同時に他に選択肢のないぐらい必然性のあることだとも思ったんだ。俺は自分が製造したすべてのレコード、つまりオブジェクトひとつひとつのことを考えていた。一度作られたその物質は、リサイクルされることのない何かであって、店や家の棚にずっと置かれ続ける何かでもある。そしてそれが役目を終えるのは最終的に廃棄されて埋め立てられる時だけ。でもmp3にはこうしたことは当てはまらない。なぜならmp3には「無駄」(waste)という概念がないからね。でも、まぁそれがこれを作った理由の全てだってわけじゃないんだけど。



――実際に1万枚を製造するというのはものすごい労力を伴う作業だったと思うんですが、その作業を通じて何か学んだものはありますか?

1万枚のレコード、すなわち1万個の「物」ってものすごいスペースを占有するもんだってことがわかったよ。ひとつ考え続けていたことがあるんだ。それは俺らのスタジオで自分達の手によって制作されたこのレコードが、最終的にいろんな国の大きなチェーン店で、アーティスト自身とは物理的な関係をもたない数々のレコードの横に並べられるってこと。そうしたレコードの約90%はおそらく中国で製造されて運ばれてきたものだろう。それって抽象的な意味でとても破壊的な行為だと思う。だからこのアルバムのアート・オブジェクトを残りの世界からの生産品で満たすってことは、自分にとって達成感のような感覚があった。そして、アーティストが自らのアート作品の大規模な製造者となった際に一体何が起きるのかを見てみたかったんだ。きっとアルバムが出てしばらくしたらわかると思うけどね。



――2011年にJRP-RingierがNo Ageの音楽を収録したLPの付属した『Collage Culture』というアート・ブックを出版しましたが、この作品がアルバムに影響を与えた部分はありますか?

たしかにアルバムの一部に与えた影響は確実にあると思う。直接的ではないけれど、俺たちの周りにあるあらゆるものと同様に間接的にね。俺達はこのレコードのためにあらゆるものを取り入れて再検証した。作曲や制作の全てのプロセスに分析と議論が熱心におこなわれているんだ。



――あなたのアルバムのデザインを手がけてきたBrian Roettingerが今回もデザインをヘルプしているようですが、彼の作品の特徴はどういうところにあると思いますか? 彼はJay Zの新作『Magna Carta... Holy Grail』のアルバム・カヴァーも手がけていましたが。

ブライアンとは親友で長い間一緒に作業しているんだ。彼のデザインのプロセスにおける知識やスキル、そして彼の作業場は広大なものさ。俺達がブライアンと作業するやり方は彼が手掛けた他のアーティストのどのレコードとも違っている。完全なコラボレーションで、3人で一緒に座ってじっくり考えて、デザインのプロセスの全てのパートを担当しているんだ。ジェイZのようなアーティストの場合、アーティスト側からの意見は殆どインプットされず、ブライアンが自分自身でデザインをしている。まぁ、あのカヴァーについては俺はジャケを見ただけだけど、本人は上手くできたって言ってたな。




「色が見えてくるような音楽を追い求めている」


――今回の新作『An Object』のサウンドなんですが、前作よりもラフで荒削りで、2007年の最初のアルバム『Weirdo Rippers』により近いという印象を受けました。

その意見には賛成だね。たしかに『Weirdo Rippers』と通じる何かがある。サウンドじゃなくてフィーリングという意味でね。エナジーが似ていると思うんだ。あと、あのアルバムに入ってる何曲かを共に録音したFacundo Bemudezと今回作業したっていうのもあるかな。彼は俺達がどういうサウンドを求めているかを探求している時にプロデューサーの役割を果たしてくれた。ファクンドがまだ一回しか使ったことのない1/2テープマシンも使ってみたりね。だから彼自身もまた学んでいたってことになる。これのおかげで慎重になったと同時に失敗や誤解を受け入れることができるようにもなった。彼のように近しい友人とアルバムを録音できたのは本当にグレイトな経験だったよ。リラックスしてできたからね。といってもそれはある程度までの話で、Facundoはよく俺に喝を入れてくれたよ。



――『Weirdo Rippers』という作品については今振り返ってみてどう思いますか?

あれは当時出したEPに入ってた曲を全て集めたものなんだけど、全体としても素晴らしいものだったと思う。作品自体はグレイトさ。でも俺にとってはあれは本当のアルバムではなくてコンピレーションなんだ。沢山の曲がある中からベストを選りすぐったって感じ。同じ時期に作って、殆どの人がまだ聴いていないものがまだ10曲くらいあるからね。俺はあの頃の曲が持っているエナジーや何でも受け入れる姿勢みたいなものが好きなんだよ。ちょうどノー・エイジを始めたばっかで、ギターのランディと俺にとって「世界で最高のサウンドを鳴らす」って事以外はどんなサウンドにするべきかなんていう縛りやルールみたいなものは何もなかったんだ。



――2曲目の「I Won't Be Your Generator」で歌われているテーマについて教えてください。

この曲はタイトルやコーラス・パートで歌っている通りの内容さ。俺はNo Ageとして出演を依頼されたあるショウのことを考えていたんだ。そのショウには企業や団体がスポンサーとしてついていた。ライヴショウでスポンサーから多くの援助金を得るというのはひとつのトレンドになっている。バンドや人々は、自分達で気づかないうちに企業にとっての発電機になっているんだ。あらゆる場所に広告が存在するようなフリー・ショウっていうのはオーディエンスにとって本当の意味で「フリー」じゃない。人々の脳は広告によって激しく負担をかけられているのさ。俺は自分が感じたこの侮辱的な感覚を指摘したかった。ただ、一方で俺自身はそれをジャッジするようなポジションにいるわけではないということも言及しておきたいんだ。誰にとって何が正しくて何が間違っているかなんてわからないし、そもそも白黒ではっきり区別できるような問題でもないからね。このタイトルはすごく気に入ってるよ。発電機の役目はコンスタントにエネルギーを吐き出すことだけ。もしそれがなかったら何もできなくなってしまう。だから自分自身でそう選択しない限りは誰かの発電機になるべきじゃない。そして誰かがあんたを利用しようとしてないかどうかを常に自覚するべきだってことさ。



――3曲目の「C'mon Stimmung」の「Stimmung」はドイツ語で「mood」という意味らしいですが、シュトックハウゼンの1968年の作品と何か関係があったり?

いや、そうじゃなくて、これはカンディンスキーの著作「Concering The Spiritual in Art」に関連しているんだ。彼はこの「Stimmung」という言葉を何かのムードや絶対的な本質を描写するために使っていた。あの本はこのレコードにインスピレーションを与えているんだ。カンディンスキーは殆ど音楽的ともいえる抽象絵画を描いていて、実際音楽を聴くことと絵画を描くことには共通する感覚(synethesia)があるということを言及している。この、頭の中で媒体の境界線がぼやけるという事象が、彼の一連の美しい作品を生み出したともいえるよね。「色が見えてくるような音楽」っていうのは俺が追い求めているものなんだ。



――「An Impression」ではストリングスが使われていますね。ノー・エイジの音楽でこの楽器を使うのは初めてではないかと思うのですが。

俺達の友人Isaac Takeuchiがこの曲でチェロを弾いているんだ。ランディとファクンドと俺は個々で同じようにこの曲にはストリングスが必要だと感じていたんだ。曲がそうするよう懇願しているとさえ思ったことを覚えているよ。この曲の美しさをより最上のものにするためにストリングスを使うべきだと思った。これまでに使ったことがなかったからうまくいくかどうかはわからなかったけど、とにかく電話をかけて彼にプレイしてもらったら、とてもうまくいったんだ。Isaacはいくつかの異なるアレンジメントをプレイしてくれたんだけど、俺達はその複合的なパートからまたひとつのアレンジを作り出したのさ。



――バンドが所属しているSub Popは今年で25周年を迎えました。2008年の『Nouns』のリリース後、このレーベルはアルバムのデザインやパッケージングというものに以前よりも意識的になったように思うのですが、あなた自身はどう思いますか?

Sub Popは『Nouns』で俺達がグラミーにノミネートしたことをすごく喜んでいたよ。だから彼ら自身があれでステップアップしたことは間違いないね。俺達が『Nouns』を制作している時、彼らはアルバムに付属するブックレットやその中で使用されている写真に抵抗を示していたんだ。コストがかかりすぎるのと、いくつかの写真の権利がクリアされていなかったことを理由にね。でも俺達はそのブックレットを付けることを強く主張したんだ。実際、ジョナサン・ポーンマンと俺とで彼がブックレットから削除したがった2枚の写真について、電話越しにやり合ってかなりヒートアップしたこともあった。最終的にはすべてうまくいって、彼らはずっと協力的でいてくれている。まぁ、決してためらいがなかったわけじゃないけどね。でも彼らを責めることはできないな、だって俺はいつも限界に挑むのが好きだからさ。


No Age - An Object (Sub Pop / Traffic)

1. No Ground
2. I Won't Be Your Generator
3. C'mon, Stimmung
4. Defected
5. An Impression
6. Lock Box
7. Running From A-Go-Go
8. My Hands, Birch and Steel
9. Circling With Dizzy
10. A Ceiling Dreams of A Floor
11. Commerce, Comment, Commence
12. [Bonus Track for Japan]

No Age - An Impression (not the video)


No Age - I won't be your generator/No Ground || live @ Best Kept Secret Festival || 23-06-2013


Posted by Monchicon
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