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[INTERVIEW] Nicholas Krgovich


Owen PallettMirahRose Melbergらが参加したブリル・ビルディング・ポップへのオマージュ的プロジェクト、Gigiのソングライターであり、P:anoNo Kidsといったバンドでも活動してきたNicholas Krgovich。そんな彼が、今週末から始まるMount Eerieテニスコーツのジャパン・ツアーに帯同し、初のソロ・アルバムとなる『Nicholas Krgovich』も、来年1月のリリースに先駆けて会場で先行発売されます。

リリース前にもかかわらず、David Byrneが自身のプレイリストで5曲も紹介するなど注目を集めている本作について、Dirty ProjectorsのDave Longstrethの友人でもあるNickに、メールで聞いてみました。
コンビニエンス・ストアの脇にある生け垣が
シェブロンのガソリン・スタンドの
ライトに照らされているのを見つける
それは花火を見るのと同じようなことなんだ


――アルバムの完成度がとても高く、洗練されていることに驚いたのですが、あなたは音楽の理論を学んだことがあるのでしょうか? ジャズの語法やストリングスのアレンジは、どのように身につけたのですか?

ありがとう、そう言ってもらえて嬉しいよ。ちいさい頃に何年かピアノのレッスンを受けていて、10代の頃には、週に1回音楽理論の講座に通っていたね。顔を出してはずっと上の空だったのを覚えているよ。当時の僕は、音楽は偶然と魔法の産物なんだって頑なに信じていて、それを理論や数学と結びつけることに興味が無かったんだ。飲み込みも悪かったし、数学はいまだに苦手だからね。だけど今ではそれがすごく大切なことで、このアルバムにとっても、必要不可欠なものだってわかるんだ。オーケストラル・アレンジメントの大半は、大学で音楽を学んだ友人のStefan Udellによるもので、僕も彼からオーケストレーションやアレンジに関して多くのことを学んだし、彼のアルバムへの貢献度は計り知れないものだよ。

――その後で、Blue NileやPrefab SproutといったUKのソフィスティケイテッド・ポップに目覚めていったきっかけは?

2008年にさかのぼるんだけど、このアルバムを作り始めた時、Tony Bergっていうロサンゼルスのプロデューサー(※The LikeのZ.Bergの父親でもあるGeffinのA&R)と一緒に作業をしていたんだ。それで制作中の曲のミックスを聴き返していた時、彼が興奮した様子で“なんて静謐な音楽なんだ!まるでBlue Nileの「Easter Parade」みたいだ!”って言い出してね。僕は「何のことだろう?」って感じだったんだけど、彼がiTunesでその曲をダウンロードしてスタジオのスピーカー越しに聴かせてくれて、すぐに恋におちてしまったのを覚えているよ。あの曲は僕が祖母の車の後部座席に座っていて、外が雨で暗く、街の灯りが見えて、世界が超現実的で、怪しく官能的だった頃を思い出させてくれるんだ。実際の音楽がどんなに素晴らしいかは言い表せないし、いくらでも続けられるね。Prefab Sproutに関しては、2ドルで買った彼らの『Steve McQueen』をターンテーブルに乗せて、完全に困惑してしまったのを覚えているよ。始めから終わりまで、まるで正気じゃなくて、興奮させられてしまったんだ。Paddy McAloonは世界でもっとも素晴らしいソングライターのひとりで、歴史的にもそう言えるんじゃないかと思う。彼の曲は『Great American Songbook』の最高の曲と同じように、僕の理解を超えた感動を与えてくれるんだ。単純に素晴らしい、ブルー・ポップの真の天才だよ。

Blue Nile - Easter Parade


――アルバムの1曲目の「The Backlot」は、あなたが以前活動していたNo Kids名義の曲を思い出させます。No Kidsのアルバム『Come Into My House』はあなたの音楽キャリアにおいても大きな飛躍だったと思いますが、以前活動していたP:anoというバンドを止めて、No Kidsを始めたきっかけは何だったのでしょう?

ハハハ、「The Backlot」はある意味No Kidsの曲なんだ。あの曲は『Come Into My House』がリリースされた直後の、2008年の冬に書いたものだからね。P:anoは僕が17歳の頃に、高校の友達のLarissa(Loyva。現在のDestroyerのツアー・メンバー)と始めたグループなんだ。僕らは4枚のアルバムを作って、彼女は2005年に、自分の作品に専念するためにグループを去った。No Kidsのコンセプトは「もう10代ではないけれど、再出発しよう」というもので、僕がこのソロ・アルバムをリリースするコンセプトは、「大人として再出発しよう」というものなんだ。



――Gigiというプロジェクトではブリル・ビルディング・ポップにアプローチしていましたが、あのプロジェクトからはどんなことを得ましたか?

Gigiは友人のColin Stewartのアイデアだったんだ。彼はヴァンクーヴァーでThe Hiveというスタジオを運営していてね。彼が僕に「昔っぽいポップ・ソング」を書いてくれないかって頼んできたから、たくさんの友達とミュージシャンをスタジオに招いて、一緒にライヴ録音したんだ。60年代のやり方でポップ・ミュージックを作ってみようっていう、軽い気持ちの試みだったんだけど、僕にとってはすごくエキサイティングに思えて、ちいさなテープレコーダーを片手に近所を散歩しては、メロディを歌って、歌詞を書いたね。実際に、それが『Maintenant』に収録された曲になっていったんだ。そこから僕が得たものは、たくさんの人たちが素早く曲を覚えて、それをテープに吹き込んだものを聴くことのスリルかな。そうでもしなければ出会えなかった、たくさんの人たちと仕事をする機会も与えてくれた。また近いうちに、もう1枚アルバムが作れたらと思っているよ。

Gigi - Hundredth Time


――今回、New PornographersのJohn Collinsをミキサーに起用した理由は? 彼が手掛けたDestroyerのアルバム『Kaputt』が、何らかの参照点になったのでしょうか?

実際、アルバムのすべての曲は『Kaputt』を聴く前に書かれたものなんだ! 今でも不思議で仕方ないよ! 一昨年の11月にはじめてDestroyerの「Chinatown」を聴いた時、僕はThe HiveでColinと一緒に「City of Night」のミックスをしている最中で、2曲の類似性が信じられなかった。その日のうちに(Destroyerの)Danに宛てて、新曲がどんなに素晴らしかったかをメールしたんだ。Colinと僕は納得の行くミックスを仕上げるのに苦労していたから、数ヶ月の間隔を開けた後で、「Johnに頼んだらどうだろう?」って思ったんだよね。だから、Johnと作業することになったのは『Kaputt』のおかげだけど、それはミックスの過程だけで、素材そのものは既に存在していたんだ。

Destroyer - Chinatown


――本作にはNew PornographersのKathryn Calderら6人の女性シンガーが参加していますが、コーラス・パートはどのように割り当てたのでしょう?

ひとりの男性の歌声が、女性コーラス・シンガーたちにサポートされているっていう組み合わせがずっと好きだったんだよね。ひとつの歌詞やアイデアが、たくさんのバックアップ・ヴォーカルで増強されるのって、すごく“ブロードウェイ”っぽくって、クラシックな感じがするんだ。僕にとって魅力的だと思える、高くて広々とした音楽にもハマるからね。登場人物の周りをギリシャのコーラス隊が輪になって囲んでいるような感じかな。6人のゲスト・シンガーを選んだことには何の理由もないんだけど、たぶん自分の好きな声をアルバムにたくさん使うための言い訳だね。

――No Kidsのアルバムが昼間の郊外や少年時代を連想させるものだったのに対して、今回のアルバムは真夜中の都会や、青年期を連想させます。こうした感覚は、どこからやってきたのでしょう?

このアルバムを作っていた時、なにか暗いものが不規則に広がって、魅惑されるようなイメージを思い浮かべていたんだ。それがあらゆることの動機になっていた。どうしてかはわからないんだけど。それは単に、僕が探してた豊かで満ち足りた場所の側にあった、感覚や感情に過ぎないからね。だけどこれが“アダルト”なアルバムだとは思うよ。たぶんサックスのせいかな?

――アルバムの歌詞にも、アメリカ西海岸に実在する通りや建物がたくさん登場しますが、なにか一貫したストーリーのようなものがあったのでしょうか?

僕はこのアルバムを、2008年のアカデミー授賞式の週に作り始めたんだ。カナダのアルバータ州にあるバンフという場所でソングライティングの研修をしていたんだけど、まだ山が笠を被っていて、グランドピアノが置いてある部屋の窓の外では、鹿が忍び足で歩いていた。まるでトルーキンみたいに雄大な風景だったけど、僕はそれを無視して、ロサンゼルスやハリウッド、そしてそこにあるライトの量はどんなに不吉で大きく、夢のようだろうって考え始めたんだ。だからそこにストーリーみたいなものはないんだけれど、アルバムがすべてロサンゼルスを舞台にしているとは言えるね。自分が曲を書くとき、そこにはたくさんの可能性があって、時々多過ぎるようにさえ思えるから、あるひとつのアイデアやテーマ、感情をもとに作業するっていうことは、すごく便利なんだ。多かれ少なかれ、それがここで起きたことだね。ビリー・ワイルダーの『サンセット大通り』が、深夜のポップ・ソウルになったんだ。

Sunset Blvd trailer


――アメリカの北西部に住むことが、あなたの音楽になんらかの影響を与えていますか?

うーん、わからないな。音楽を書く時に、自分の周りのことからは影響を受けないようにして、目の前の世界からは離れようとしているんだ。僕の住んでいる場所が何らかの形で作用していることは確かだけど、今のところは謎だね。

――今回のアルバムのジャケット写真を撮ったJake Longstrethは、“都市の外側の風景”を描くのが好きで、No Kidsの『Come Into My House』のアートワークにも使われていた、画家のAlex Katzのファンだと語っていました。あなたの曲にも墓地や中庭、駐車場といったフレーズがよく登場しますが、どうしてそういった場所に惹かれるのですか?

実際にはジャケットには友人のPeterの写真を使うことになったんだけど、確かに僕とJakeは、Alex Katzへの情熱を共有しているね。Jakeは素晴らしい画家でもあって、僕も彼の大ファンだし、みんなも彼の画を見るべきだと思うよ(jakelongstreth.com)。僕はシンプルなイメージがあって、それを複雑にするのが好きなんだ。たとえばJakeが道を歩いていて、コンビニエンス・ストアの脇にある生け垣が、シェブロンのガソリン・スタンドのライトに照らされているのを見つける――それは花火を見るのと同じようなもので、そこにある情緒のようなものを、僕とJakeが共有してるんじゃないかな。

――日本盤には3曲のボーナス・トラックが収録されていますが、「Written In The Wind」という曲は、ダグラス・サーク監督の映画『風と共に散る(Written On The Wind)』と何か関係があるんでしょうか? あなたが古き良きハリウッドに取り憑かれるのは何故ですか?

ハハハ、その通り! 単純に“Written On”と歌うより“Written In“のほうが響きが良かったからなんだ。僕が古き良きハリウッドに取り憑かれているとは思わないけど、多くの古い映画で提示されているムードや、世界観に惹かれていることは確かだね。誇張された感情表現に、吹きすさぶようなオーケストラのスコアと舞踏曲。カウチに飛び乗って、昼寝をしたい気分になってしまうんだ。

"Written on the Wind" opening


――では、もしもこのアルバムが映画になるとしたら、監督と主演は誰がいいですか?

それは難しいね! 監督はビリー・ワイルダーで、主演はロック・ハドソンとローラ・ダーンがいいな! きっと気に入ると思うよ。


Nicholas Krgovich - Nicholas Krgovich (7 e.p.)
2013年1月16日リリース
※日本盤ボーナス・トラック3曲収録

1. The Back Lot
2. Along the PCH on Oscar Night
3. The Mansion
4. You're Through
5. City of Night
6. Rock's Dream
7. Cosmic Vision
8. Let's Take The Car Out
9. Lookout Point
10. Sunset Tower
11. Written on the WInd
12. Place Goes Quiet
13. At Pershing Square
14. Moon's Soft Glow

"7e.p. 10 Years Anniversary Tour Vol. 5"
Mount Eerie & Tenniscoats Japan Tour 2012
with Nicholas Krgovich (No Kids, P:ano / Canada)

11/9 (金)渋谷 O-NEST
11/10(土)名古屋 K.D JAPON w/シラオカ
11/11(日)京都 UrBANGUILD w/ゑでぃまあこん
11/12(月)松山 more music w/Maher Shalal Hash Baz
11/14(水)福岡 TBD
11/15(木)広島 ヲルガン座 w/二階堂和美
11/16(金)大阪 common cafe
11/17(土)松本 hair salon群青 w/洞
11/18(日)町田 簗田寺 w/Ropes

INFO: 7 e.p.
Posted by Monchicon
INTERVIEW / 10:30 / comments(0) / trackbacks(0)
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