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[LIVE REPORT] Washed Out @ 恵比寿Liquid Room 2012/01/24

Photos by TEPPEI

ウォッシュト・アウト初東京ワンマン。iPadを携えたErnest Greeneに女性キーボーディスト(あのEPのジャケで泳いでいた奥さん)、ベース、ドラムという編成。ツイン・キーボードでもわ〜っとしたシンセのレイヤーがフロアに広がっていく。演目自体はアンコールを含めて1時間ジャストというあっけないほどの短さ(ちなみにツイッター上での反応はこのような感じ)。

御存知の通り「チル・ウェイヴ」というジャンルの代名詞として知られるアクトだけれど、ライブにおけるシンセの響きは「ひんやり」というよりは「まったり」という形容がふさわしかった(演奏力も含めて)。言ってしまえばズバリ「Middle Of The Road」なサウンド。だから、何となく今流行りのエッジーなものを期待していた人は肩すかしを食ったかもしれない。


80年代後半のメインストリーム・ポップのバックでよく鳴っていた感じの霞がかったシンセの音色に包まれながら、演奏中ずうっと頭の中で浮かんでいた光景は、SlowdiveのメンバーがOMDの機材を借りてFleetwood Macの『Tango In The Night』を記憶を頼りに演奏している姿(ただしStevie Nicks役はいない)。これをもっと突き詰めればBlue NileかIt's ImmaterialかTalk Talkかといった境地にも至りそうだが、あくまで普段着感覚のカジュアルさがそんなアート性を良くも悪くも中和していた。言い方は悪いかもしれないけど「レジャー」気分的な。ツイッター上の反応を見る限り、そこに物足りなさを感じた人も少なからずいたようだ(「そもそもチルウェイヴは生で聴くものなのだろうか」という疑問を呈する人も出てきたり)。でもそれはあのEPのジャケと「Life Of Leisure」というタイトルで最初からしっかりと提示されていたことで、いわばこのバンドの根幹となるもの。そして、こうしたある種の中庸さ、言い換えればMOR志向はDestroyerやBon Iverといったミュージシャンが向いている方角とも偶然にも重なっている。



たまたま自分のやっていた音楽がよくわからない名称で呼ばれてヘンにブログやネットで持ち上げられてしまったにも関わらず、Ernest本人は演奏中終始淡々としていた。あくまで「今時分にできることをやります」といった趣。かといって徹底して冷めているわけでもなく、時々前の方に出てきてオーディエンスを煽るのだけど、その様がちょっとぎこちなかったりするのも微笑ましく、何やら牧歌的な風情すら生まれていた。誠実な普通の人によるちょこっと日常を逸脱した電子ポップ。ともすればそれは退屈さと紙一重だけれど、日々の生活の中で一日の仕事を終えて風呂に肩まで浸かったときにふと沸き上がるしみじみとしたあの感覚が約1時間持続していたという感じ。だからこそ、アンコール最後の「Eyes Be Closed」の大仰なイントロが妙に感動的に響いたのだろう。そしてそれ故にこの演奏時間はまさにジャストなものだった。だってそれ以上浸かっていたらふやけてしまうから。



もし次にまた来日するときは、奥さんの歌唱をもっとフィーチャーすれば、また新しい化学変化のようなものが生まれるかもしれない。


■セットリスト
Posted by 佐藤一道
LIVE REPORT / 11:35 / comments(0) / trackbacks(0)
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