デビュー・アルバムから2年、Real Estateが帰ってきた! いや、僕たちがReal Estateに帰ってきたと言うべきなのかもしれない。なぜなら彼らはずっと地元ニュージャージーで、マイペースに音楽を奏で続けてきたのだから。もちろん、そこにはいくつかの別れや旅立ちもあったけれど、あの建物は今も変わらず、あなたが帰ってくるのを待っているのだ。

というわけで、Domino移籍第1弾となるセカンド・アルバム『Days』をリリースしたReal EstateのMartin Courtneyに、メールで話を聞いてみた。
ニュージャージーについて歌うのは、
他に何ひとつ書くことがなかったから


──昨年のジャパン・ツアーはいかがでしたか? 他のメンバーはライヴの後もしばらく東京に残っていたようですが、あなたはどこへ行っていたのでしょう?

あのツアーは驚きの連続で、すごく楽しかったよ。Real Estateにとって、間違いなく今までで一番クールなツアーだったね。僕は北京に住んでる大学時代の友達と合流して、ガールフレンドと一緒に電車で旅行したんだ。京都や奈良、高山でしばらく過ごしたよ。美味しいものもたくさん食べたし、いきなりダライ・ラマにも会ったんだ。偶然僕らと同じ日にそこにいたんだよ!

──今年の前半に行われた地元の先輩、The Feeliesとのライヴはいかがでした? あなたが高校時代にWeezerのコピー・バンドをやっていたことや、Weezerのファースト・アルバムのジャケットがFeeliesのパロディっぽかったことを考えると、なんだか面白いですよね。

ああ、本当だね。僕らはWeezerのカバー・バンドをやってたし、僕がはじめてFeeliesを聴いたのも、彼らのジャケットが似てるってことを、誰かが教えてくれたからなんだ。僕らはみんなFeeliesの大ファンだから、彼らと2回も一緒に演奏できることになって、すごく興奮したよ。みんなすごくいい人たちで、ライヴも最高なんだ。すごくタイトなバンドだよ。



──そういえば、前作に収録されていた「Fake Blues」のギター・リフはなんとなくJonathan Richman & the Modern Loversの「Egyptian Reggae」を思わせるのですが、この曲はFeeliesもカヴァーしてるんですよね。これって偶然ですか?

「Fake Blues」を書いたときは全然その曲のことは考えてなかったけど、確かに言ってることはわかる気がするよ。単なる偶然だと思うけど、カッコイイ曲だよね。Feeliesがこの曲をカヴァーしてるなんて知らなかったけど、それって最高だね!

Real Estate - Fake Blues


Jonathan Richman & the Modern Lovers - Egyptian Reggae


──去年の来日公演でも新作の曲をいくつか披露していましたが、曲作りはいつ頃行われたんでしょう?

新作の曲は、ここ2年ぐらいかけて書いたんだ。たぶん「Younger Than Yesterday」が一番古い曲で、その他の曲は去年の春以降に書いたと思うよ。大部分は今年の1月に書かれたもので、ツアーの後に少しオフを取って、曲作りを終わらせてからレコーディングしたんだ。

──その「Younger Than Yesterday」は以前リリースされた『Reality EP』に収録されていた曲ですが、どうして今回再録しようと思ったんでしょう?

友達のひとりから、録音しなおしたらいいんじゃないかって言われたからなんだ。僕らはみんなあの曲が気に入っていたし、前回の録音はしっくりこないような気がしてたからね。

──今回がはじめてのスタジオ録音だったと思うのですが、感想はいかがですか?

うん、本当のスタジオでレコーディングしたのはこれがはじめてだったんだ。すべてが完璧になるまで時間を割けるし、“プロ”になったフリができるのも良かったね。それまでの僕らのレコーディングは、自分たちの家か、友達の家のどちらかでやっていたから。これまでなかったぐらいの時間と力をアルバムに注ぎ込めたし、結果には本当に満足してるよ。

──ドラマーのEtienne Duguayがバンドを脱退した理由は何だったのですか? 彼は新作ではドラムを叩いていないんでしょうか?

Etienneは「Out of Tune」以外の曲では演奏してないよ。彼は音楽以外のことに興味が沸いてきて、今はそれに専念しているから、バンドからは離れることになったんだ。僕らは友達のSam Franklin(Big Troubles/Fluffy Lumbers)に何曲かドラムを叩いてもらうことになって、Mattと僕もいくつかの曲でドラムを叩いているよ。Etienneがいなくなったことが曲の仕上がりに影響を与えたとは思わないし、僕はいつも曲にはそれにふさわしいドラムのサウンドがあって、それ以外はありえないと思ってるんだ。

──「Wonder Years」でヴォーカルを取っているのはベースのAlex Bleekerですか? 前作にもギタリストのMatt Mondanileが書いたインスト曲が2曲含まれていましたが、あなたはReal EstateとMattのDucktails、AlexのAlex Bleeker and the Freaksを、どのように区別しているのでしょう?

Real EstateでAlexが歌ったのは、この曲がはじめてだね。Mattと僕は、今回も「Kinder Blumen」って曲を一緒に書いたんだ。Real EstateをDucktailsやFreaksとどう区別しているかっていうのは、MattとAlexに訊いたほうがいいのかもしれないね。Real Estateの曲はほとんど僕が書いているけど、時々僕らが練習している時に、彼らが自分たちの曲を教えたがることがあって、そういう時は教えてもらうんだ。僕がバンドに曲を持ってくることよりも珍しいけどね。

──「Out of Tune」は、なんとなくFleetwood Macの「Dreams」という曲に似ていますよね。彼らの音楽についてはどう思いますか?

僕らはみんなFleetwood Macの大ファンなんだ。「Out of Tune」のベース・ラインは「Dreams」だけじゃなくて、似たようなリズムを使った、いろんなFleetwood Macの曲へのオマージュだよ。

──その「Out of Tune」ではOneohtrix Point NeverのDaniel Lopatinがキーボードを弾いていますが、彼と知り合ったきっかけは?

Mattが大学でDanと知り合ったんだ。数年前に何度か一緒にライヴをやってね。僕らは彼が曲のヴァイヴを感じ取って、いい仕事をしてくれるに違いないと思ったから、演奏してくれるように頼んだんだ。

──あなたのご両親は、実際に不動産(Real Estate)を経営しているんですよね。前作のジャケットにはパオロ・ソレリが設計したヘキサヘドロンという建物のイラストが使われていましたが、あなたも建築に興味があるんでしょうか?

いや、全然そんなことないよ。たまたまあの絵を本で見て、すごく気に入ったんだ。それが何かってことも、ずっと後で知ったぐらいだったから。


ヘキサヘドロン

──08年の「Fake Blues」、09年の『Reality』、去年の「Out of Tune」といった一連のジャケット写真はどこで撮影されたものですか? やっぱり全部ニュージャージーだったりするんでしょうか?

最初のシングルの写真も僕が本から取ってきたものなんだけど、あれは実際に60年代の(ニュージャージー州)アトランティック・シティの海岸沿いの写真なんだよね。『Reality』もやっぱり本から取ったものなんだけど、それがどこで撮られたかはわからないんだ。でも60年代っぽい気がするな。「Out of Tune」のジャケットだけが僕が自分で撮影したもので、ニューヨークの北にある友達の家で、独立記念日に撮影したんだ。



*『Days』のジャケットに使われているのは、現代美術家のDan Grahamが67年にニュージャージーで撮影した、「Row of New Tract Houses」という写真。ちなみにDan GrahamはSonic YouthのKim Gordonに音楽をやるように薦めた人物でもある。

──あなたの高校の同級生だったVivian GirlsのCassieは、ニュージャージーにはあまり良い思い出がなくて、ずっとニューヨークに行きたかったと話していました。一方で、あなたがニュージャージーに残って、地元について歌うのはなぜなのでしょう? あなたはオリンピアの大学*に通っていたそうですが、ニュージャージーを離れたいとは思わなかったのでしょうか?

僕は大学を卒業してから3年間、ニュージャージーで暮らしてたんだ。ジャージー・シティって言うところで、ハドソン側を挟んでマンハッタンのすぐ隣。僕はちょうどブルックリンに引っ越してきたんだけど、それは友達の近くに住んで、生活をすこし楽にしたかったから。ニュージャージーは僕が産まれたところだし、深い繋がりを感じてるから、もうずっと長い間そこで暮らしていたね。歌詞について言えば、それは僕が他に何ひとつ書くことがなかったからなんだ。僕が成長することについて書くのは、それが自分にとって一番楽だったからだよ。

*Martinが通っていたThe Evergreen State Collegeは、Calvin JohnsonやPhil Elverum、Bikini KillやSleater Kinneyのメンバーを輩出したことでも知られている。

ー──それでは最後に、ニュージャージーに来たらここに行け! というオススメのスポットを教えてもらえますか?

ニュージャーのロディにある、Pizza Town USAに行ってみて! 世界一のピザだよ。


Pizza Town USA Rt 46, Elmwood Park


Real Estate - Days (Domino / Hostess)