絵になる美男美女、David LehnbergとElin Lindforsのふたりからなるスウェーデン出身のユニットThe Deer Tracks。昨年、The Radio Dept.、Fleeting Joysらと共に「Into Your Dream」と題したツアーで来日公演をおこなっているので、目撃した方も多いかもしれません。

そんな2匹の「鹿」からフル・アルバムとしては約3年ぶりとなる新作『The Archer Trilogy Pt.2』が届けられました。北欧らしい神秘性と、グラマラスな華やかさ、そして力強いエモーショナルさを兼ね備えたエレ・ポップを、以前よりも緻密かつ大胆なサウンドで鳴らしています。

アメリカのドラマ「Grey's Anatomy」にも楽曲が使用されるなど、スウェーデン国内だけでなく海外からも高い注目を集めつつある彼らに話を聞いてみました。

The Deer Tracks - "Ram Ram"(from『The Archer Trilogy Pt.1』)



「エリンのお婆さんの小屋でレコーディングしたんだ」


■2010年の日本ツアーはいかがでしたか?
The Deer Tracks アメージングだったよ! 日本は素晴らしい土地だ。再び戻ってきて日本の面白い文化をまた体験したいと願うね。日本で会った人たちはみんなナイスだったし、多くのファンからも歓迎されたって気がしたよ。あと寿司大好き!

■バンド名の由来について教えてください。
D 森の中にいる鹿を見たことがあるかい? 彼らは特別な眼力を持っているんだ。まるで何かの秘密を知っているかのように、彼らはとても静かにそこに立っている。それから、彼らは突如森の暗闇の中へと駆け込んでいく。だから、もし森で彼らの跡を追っていったら、“魔法の宝物”が見つかるんじゃないかって思ったんだ。それが“鹿の足跡”って名前を付けた理由さ。

■恒例:お気に入りアルバム3枚
David
Pink Floyd - The Dark Side Of The Moon
The Beatles - Magical Mystery Tour
Bjork - Vespertine



Elin
Yeah Yeah Yeahs - Fever To Tell
Radiohead - Amnesiac
Pink Floyd - The Dark Side Of The Moon



■前作のタイトルが『The Archer trilogy Vol.1』で今回Vol.2ということですが、これは三部作の第二章に当たる作品なのでしょうか?
 この三部作のコンセプトは残りの第三章が発表されたときに明らかになると思うよ。つまり、これは大きな絵の一部なんだ。より広い意味での“信頼”と“理解”であり、ザ・ディア・トラックス内の常に変化する宇宙における魅惑的なパズルの一片なのさ。

■新作はなんでも特殊な環境で録音したそうですが?
 昨年の夏に、田舎の海の傍にある故郷の森の中のエリンのお婆さんが所有している小屋でレコーディングしたんだ。そこでの景色と毎日の生活が、楽曲やサウンドに反映されているよ。

■本作は以前より音に立体感が増し、アレンジにも緻密さと大胆さが増した印象を受けますが、自分自身では変化を意識しましたか?
 音楽を作るときに“あんな感じやこんな感じでやろう”とか考えたことないんだよね。ただあるがままに創造して、常にサウンドを発展させようとトライしているんだよ。常に変化し、何か新しいものに向かって前進したいと思っているだけさ。今回のアルバムはサウンドとレイヤーにこだわっていたから自然とこうなったって感じ。次の“第三章”ではさらに進化するはずだよ。フィル・スペクターのようなウォール・オブ・サウンドを築きつつ、さらにマッシヴでヒプノティックなものになるんじゃないかな。


「伝えたい感情に適した言葉が見つからない時は、
自分自身で言葉を作り出したりするんだ」



The Deer Tracks - Fra Ro Raa Ro Ra Fraa (from『The Archer Trilogy Pt.2』)



■「Fra Ro Raa Ro Ra Fraa」という不思議な曲名について。
 よく心のおもむくままに歌うんだよね。伝えたい感情に適した言葉が見つからない時は、こうして自分自身で言葉を作り出したりする。だから、このタイトルが生まれたのさ。この言葉は僕らの感情を伝達する乗り物なんだ。何を意味しているかは明かさないよ。というか、まだお互いにすら教えていないしね。でも、ライヴで演奏した時にきっとその意味がチラッと顔を覗かせるだろうね。

■アルバムの歌詞にテーマはある?
 歌詞は曲のメロディによって決まるんだ。歌詞とメロディがお互いに共存しているんだよ。異なるレベルにあるアイデアや感情を伝達するのにお互いに補い合っているから、どちらも等しく重要なんだ。

■アルバムの中では「Fa-Fire」が個人的にお気に入りなんですが、この曲はどうやって生まれたの?
 “Fa-Fire”は他の曲と同じように、パズルのようにいろんなものが組み合わさってできた曲さ。ひとつのサウンドからスタートして、それからその周りを構築していった。曲自身はその後で自然に生まれていくんだよ。この曲は自分自身の心に正直に話すのを恐れない、ということについて歌っている。たとえそれが論争の火種になるとしてもね。自分自身の中に火を点けるんだ。

■地元スウェーデンの最近の音楽シーンについては如何ですか?
 最近はたくさんのバンドが登場してきているね。「Adam & Alma」っていうバンドが大好きだ。かれらはまだ16歳ぐらいでとても若いんだけど、すごい才能の持ち主だよ。飛び抜けてストレンジで美しい音楽を作っている。

■今後の予定について教えてください!
 たった今「第三章」をレコーディング中さ。これが終わったらツアーに出て僕らの音楽をできる限り世界中に広めたいな。スピリチュアルな“悟り”と“理解”を目指す僕たちの旅に参加してくれる多くの魂たちに向けてね。愛こそがそれを可能にする方法なのさ。たった唯一のね!


The Deer Tracks live @ Manifestgalan 2011 - Del 1



The Deer Tracks 『The Archer Trilogy Pt.2』