最近来日した、ベテラン・ポッパー2組のライヴレポです!

Jonny @ 原宿Astro Hall 2011.05.18

軽妙洒脱とはこのことか。Teenage FanclubのNorman Blakeと元Gorky's Zygotic MynciのEuros ChildsとのデュオによるユニットJonnyの記念すべき日本初公演。前座のホフディランの楽しいステージとカジヒデキのドラム&ギターによるシャープな演奏で場が暖まった後にのんびりと登場したおじさん二人。アルバム『Jonny』で展開されていた、ユーモアを小さじ3杯分入れたフォーキーでメランコリックなポップ・ワールドを、キーボードとギター、そしてラップトップから出すリズムによる簡素な演奏で再現(Joe Meekのカバーも披露)。ひとりだけだとゆるゆるになりすぎてしまいそうなところを、ふたりで補い合うことで、程よい緩さの中に美しいハーモニーが生まれていた。毎回曲終わりでノーマンがラップトップのボタンを指で押してビートをストップさせるというデジタルなんだかアナログなんだかよくわからない微笑ましい場面もあり、また曲間でのノーマンの軽妙なお喋りもそのホンワカ度に拍車をかける。本編終了後、アンコールで登場した二人はそれぞれのバンドの持ち曲「I Don't Want Control Of You」(ズッコケ・ギターソロが面白かった)と「Spanish Dance Troupe」を披露。特に約15年ぶりの本当に久々の来日となるEuros Childsの変わらない歌声には感動したし、二人のハーモニーの相性の良さもたっぷりと満喫できました。「こういう風に年を取りたいなぁ」と思わせてくれるような、まったりとした中にも大人の「粋」がいっぱい詰まったパフォーマンスでした。


The Posies @ 渋谷Club Quattro 2011.06.01

一方今年で結成25年目を迎えるThe Posiesは打って変わって全力投球でのパフォーマンス。終始ステージ上を所狭しと跳ねまわるKen Stringfellow(痩身)と要所要所で豪快なギターソロをぶっこんでくるJon Auer(巨漢)の対比も素晴らしかったし、音の方も荒ぶる轟音ギターと二人の美ハーモニーによるまさにビタースウィートなメロディが、まるで傷口に砂糖を塗り込んでるかの如く耳に心地よく響いてきました。Carolineがゲスト・ヴォーカルで参加した曲(「Licenses To Hide」)の後に「So Caroline」を歌うという粋なはからいも心憎かったし、何よりキメのところで二人が脚を広げてジャンプする絵がとにかくカッコよかった。新旧バランスよく取り混ぜたセットリストも申し分なし。その熱演を受けてお客さんも当然の如くヒートアップ。さらに、アンコールのMCではKenが3月の東北大震災について触れて「日本に来るミュージシャンも来ないミュージシャンもいるだろう。でも、僕には“来ない”っていう選択肢はなかったんだ」「音楽には人をちょっぴり元気にする力があると思うから、それをみんなに届けたい」といった主旨の発言には胸に熱いものが込み上げてきました。そしてアンコールのハイライトは、名曲「Definite Door」そして「Burn & Shine」の超爆音演奏で、まさに完全燃焼。・・・それにしてもバンド結成から25年にして衰えないこの攻めの姿勢。アメリカのバンドのタフさを改めて実感させられました。


・・・奇しくも、かつて90年代に同じGeffin傘下のDGCに所属していたバンド(TFCとThe Posies)のメンバーによるライヴでしたが、二組とも実に対照的な年齢の重ね方と音楽に対するアプローチをしていたのがとても興味深かったです。どちらの生き様にも憧れました!


■参考動画

Jonny - You Was Me - Live in Glasgow on 19th February 2011



Jonny - Little Baby (Joe Meek Cover) Live in Glasgow on 19th February 2011



THE POSIES来日に向けて!ノーマン・ブレイク(TFC/JONNY)からメッセージ



The Posies live "dream all day" at Heineken room in Madrid. October 2008



The Posies - Everything Flows (Teenage Fanclub Cover) Teatre Lloseta. Mallorca. 09-05-2010