The Painsインタビュー第二弾は最新の発言をお届け! 先日お伝えしたように、あのFloodAlan Moulderという黄金コンビを迎えて制作されたセカンド・アルバム『Belong』(日本盤は3/16リリース)についていろいろと話を聞きました。プロデューサーがどんなに大物だろうが、鳴らされるメロディと歌われる歌詞、そして彼ら自身の姿勢そのものは以前と変わらず“Pure At Heart”のようです! というわけで、つい先月に行ったインタビューをご覧ください!

*UPDATE: 公式サイトで新作の全曲試聴始まってます!



All Band Photos by: PAVLA KOPECNA


「今回のレコーディングはまるで新しい
“ファースト・アルバム”を作ってるみたいだった」


――2010年の日本ツアーはいかがでしたか? あと、東京公演の楽屋裏でおこなったインタビューは覚えてますか?

Kip Berman 2010年のツアーは今でも大切な思い出として覚えているぐらい本当にすばらしい経験だったよ。僕らの友人SiriはSuper 8カメラでツアーの様子を撮影してファースト収録の「Contender」のショート・フィルムを作ったんだ。初めて日本を訪れて、多くの都市でライヴをやって、たくさんのものを見たり、いろんな場所に行ったり(酎ハイ、ホット・ミルク・ティーを売っている自動販売機、「Sally Cinnamon」のベーグル、東京のインディー・ショップ「Violet and Claire」、日本のセブンイレブンやファミリーマート)、ライヴに来てくれたクールな人々に出会ったり、プレゼントをもらったり、話したりしたことは、本当に夢がかなったって感じだった。また戻ってくるチャンスが訪れるまで待ち切れないよ。そして、あのインタビューのことも覚えてるよ! 君たちとアメリカのあまり知られていないバンドについて話すのはとってもクールな経験だったね。

――ありがとう! 新作『Belong』がFloodのプロデュースでAlan Moulderのミックスと聞いてビックリしました。というのは、彼らは90年代のプロデューサーとして僕らのヒーロー的な存在だったからです。あなた自身、彼らが制作に携わったことについてどう思いました?

K グレイトだよ! 彼らは僕らのヒーローさ。だって、彼らが作った音楽からものすごく影響を受けているからね。RideやSmashing Pumpkins, Jesus & Mary Chain, The Sundays, Depeche Mode, My Bloody Valentineといったバンドのグレイトなレコードを作った人々とレコードを制作することができて本当に幸運だった。

――ちなみに彼らのプロデュースしたアルバムであなたのフェイヴァリットなアルバム3枚を挙げるとしたら?

・Smashing Pumpkins『Siamese Dream』
(Alan Moulder, mixing)

・The Associates『Sulk』
(Flood: Producer)

・Curve『Doppelganger』
(Flood: Producer, Alan Moulder: mixing)



――レコーディングについて教えてください。Floodのプロデュース方法はいかがでしたか? 以前とは全く異なるやり方だったと思うのですが、ナーヴァスになったりはしませんでした?

K 一日ぐらいは神経質になったよ。でも、それから実際に彼に会ってみたら、彼は僕らが作りたいサウンドに対してとても謙虚でナイスで協力的な人だってことがわかったんだ。彼はAlexの誕生日のお祝いにカップケーキを持ってきてくれたし、録音中に僕らが技術的に誤ったことをしてもそれを修正しようとはしなかった。なぜなら、それこそが僕らのサウンドだったから。そう、彼は僕らがまさしく“The Pains”であるようにベストを尽くしてくれたんだ。たしかに最初のアルバムとは全く違うやり方だったけど、できあがったものにはとても興奮したよ。僕は、僕らがファーストとは同じようなレコードをもう一度作ろうとしなかったことを嬉しく思う。たとえ全く同じことをしたとしても、それは最初の作品よりはいいものにはならないはずだ。というのは、突発的な偶然が生み出す魔法や未熟さといったものこそがあのレコードのサウンドを形作っていたのであって、それを模倣したり再構築したりすればどうしても人工的なものになってしまうからね。このアルバムの制作を通じてそう思ったんだ。今回のレコーディングはまるで新しい「ファースト・アルバム」を作っているかのようだったよ。そして、制作の過程では未知のものに対する発見や興奮といった感覚もあった。あらゆるものが、より焦点の絞れた理想的な表現になり始めたと感じられて、それぞれの曲が新鮮に思えたけれど、それらはたしかに僕たち自身の曲だったんだ。

The Pains of Being Pure At Heart - Heart In Your Heartbreak by Slumberland Records

――では、Alan Moulderはのミックスは如何でしたか?

K 彼もFloodに似ていたね。人並みはずれて才能に満ちたグレイトなミキサー/プロデューサーのひとりだ。でも、とても謙虚で、親しみやすくて、地に足のついた人だった。彼はミキシングの後に僕たちを車で家まで乗せてってくれたし、食事している間に一緒にMTVを見たり、UKポップ・スターやテレビ司会者への不思議な思い入れを楽しく話してくれたよ。この30年間、彼は最高のロック・アルバム(『Loveless』, Jesus & Mary Chain, Ride, Smashing Pumpkins, The Killers etc...)を何枚か作り上げた。それでもなお、彼はいまだにGirls Aloudのメンバーの誰かみたいな人々にも詳しいんだよ。こんなに有名で尊敬されている人物が、英国のガール・ポップ・グループの女の子に畏敬の念を抱いているっていうのはとてもキュートだったね。


Alanのタイプはどの娘?

――一般的にはフラッドはU2の「Discotheque」やDepeche Mode, Curveといったバンドの作品におけるダンサブルなサウンドで知られていますが、アルバム全体はよりギターオリエンテッドな作品だと感じました。

K Floodがクールだったのは、彼が自分の世界観を僕らに押しつけなかったことさ。僕らが欲しがっていた音を鳴らすことを手伝ってくれたんだ。その音っていうのは、ダイナミックでエモーションに満ち溢れた、ビッグな“アメリカン・ギター・サウンド”だった。そう、たしかに彼はErasure, Soft Cell, The Associates, Depeche Mode, Nine Inch Nailsといったグレイトなダンス・ミュージックでも仕事をしているよね。でも、彼はSmashing Pumpkinsの『Mellon Collie and the Infinite Sadness』も作ったんだよ。そして彼は僕らが90年代に郊外で育ったアメリカ人で、そういったサウンドともユニークな繋がりがあることを理解してくれたんだ。それはまるで、僕たちが好きな数え切れないほどのスコティッシュ・インディー・ポップ・バンド以上に、僕たちのアイデンティティを明確に表現しているかのようだった。だって、たしかに実際僕らはスコットランド生まれではないからね。




「本物のエモーショナルなつながりを持った
事柄について書くのが好きなんだ」



――ファースト・アルバム以降、世界中をツアーしてきましたが、その経験から得たものは何ですか?

K ツアーをスタートしたとき、僕らのパフォーマンスはまだ未熟で、初期の頃のライヴはとてもナーヴァスで難しいものだったと思う。でも、人々の前で演奏することに慣れてくるに従って、ライヴを本当にエンジョイして、そこからいろいろなことを学ぶようになった。僕らが書いた新曲は、観客の前でパフォームする際に、何がエキサイティングで何が強引だと思えるかを理解した結果、生まれたものだ。音楽以外で学んだことはというと――世界の至る所(それも大きな都市だけじゃなくて)にクールでブリリアントで驚くべき人々がいるって事実に気づいたことかな。アメリカやオーストラリア、スペインの最も小さな都市にだって、音楽にとても詳しくて、僕らが好きなバンドに関して驚くほど豊富な知識を持っている人はいるんだ。ニューヨークやロサンジェルス、ロンドン、パリ、ベルリン、東京はクールだよ。でもアラバマ州のバーミンガムや、オーストラリアのブリスベン、ギリシャのアテネにだってクール(場合によってはもっとクールな)な人々がいるんだ。人々はほとんど一緒なんだよ――少なくともノイジーなポップ・ミュージックを好きな人々はね。

――アルバム・タイトルの“Belong”という言葉はどこから来たのですか?

K 元々は「Strange, Our Dreams Are Coming True」(*アルバムの最後の曲「Strange」の歌詞に出てくるフレーズ)というタイトルにしたいと思っていたんだ。でも、メンバーはバンド名が長い上にそれではあまりにも長すぎるんじゃないかって考えてね。そこでPeggyとAlexが「“Belong”はどう?」って提案したんだ。アルバムの最初の曲だし、この曲のテーマはアルバム全体の歌詞や意味を表現しているものだったからね。

The Pains of Being Pure At Heart - Belong by Slumberland Records

――「Even in Dreams」の中で「夢の中でさえ、僕は君を裏切ることができない」("Even in dreams, I could not betray you")という歌詞が出てきますね。

K そうだね。これは感情が極限まで満ちあふれてしまって、物事を強烈で鮮やかに感じすぎて、ついには理性がふっ飛んでしまう、というアイデアから来ているんだ。“場違い”や“孤立している”といった感覚は、同じように感じていて「君はオンリーワンな存在ではないけれど、ただ僕にとってのオンリーワンな存在だよ」と言って、君のことを愛してくれるような誰かと一緒にいる時にはより素敵な気分になれるものさ。たぶん、この曲はゆっくりとダンスするのに適した曲じゃないかな。あと初期のWeezerから受けた衝撃にも少しばかりインスピレーションを受けているかもしれない。彼らは僕が青春を過ごした時期に憧れの存在だったんだ。



――「My Terrible Friend」や「Girl of 1,000 Dreams」といった曲には誰か特定のモデルがいるのでしょうか?

K うん、いるよ。僕が書く曲はすべて、多かれ少なかれ実在する人々や、自分が体験したものごとに基づいている。実際、完全なフィクションを想像することは得意じゃないんだ。本物のエモーショナルなつながりを持った事柄について書くのが好きなんだよ。たとえそれが空虚なものであったとしてもね。

――昨年、あなたの知り合いでもあるCrystal Stiltsのメンバーが、伝説的なUKのインディー・バンドComet GainのメンバーとCinema Red And Blueというユニットでアルバムを作りましたが、もしあなたが他のバンドとコラボレートするとしたら誰としたいですか?

K 僕はCrystal StiltsComet Gainの両方の大ファンだから、彼らがすることは何だって(特にコラボレートするなんて)エキサイティングに思うよ。でも、僕ら自身のコラボレートに関していえば、そうする理由は見つからないな。僕らはたくさんのバンドを尊敬しているけれど、ペインズは僕の人生そのものなんだ。音楽を作るために新しい人を見つけるよりも、Peggy, Kurt, Alexと一緒に新曲を書くことの方に時間を割きたいね。あと、Crystal StiltsとComet Gainのどちらもこの春に新作をリリースするよ。



――アルバム最後の曲「Strange」で歌っているように、あなたの夢のひとつが今回のアルバムで叶ったのではないかと思うのですが、次に叶えたい目標などはありますか?

K 「Strange」はさっきも言ったように元々「Strange, Our Dreams Are Coming True」(「不思議だ、僕らの夢が叶いかけている」)っていうタイトルだったんだ。でもアルバムのB面に「Dreams」という言葉の入る曲が既に2曲あったから縮めたんだよ。でも、このフレーズはものごとが悪くなってしまった時や、うまくいかなくなった時(たとえばライヴに客が誰もいないような時や、バンドが災難にまきこまれた時とか)に僕がPeggyによく言ったフレーズだった。僕は“Peggy, Our Dreams Are Coming True”って言ったものさ。そうやって、緊迫した状況をユーモアにして笑い飛ばそうとしたんだよ。でも、それからはこのフレーズは冗談じゃなくなって、より現実的なものになった。ものごとがうまくいきはじめて、僕たちの思い通りの方向に動くようになったんだ。このレコードを作ってる間、僕は楽観と希望を明白に感じていた。このアルバムが、僕らをよく知る人々が望むものとはある意味で少し離れた作品になっているのはわかっているよ。でも、僕は多くの人々がこのアルバムを気に入ってくれることを願っている。もし僕に目標があるとすれば、まさにそれだね。人々がこのアルバムをどう判断するかは置いておいて、“僕たち自身が本当に作りたかったレコードを作った”ということに皆に気づいてもらいたいな。だって、自分たちを信じて、本当に心を込めて作った作品だからね。

The Pains of Being Pure at Heart - Belong



■おまけ

The Pains of Being Pure at Heart - Strange @ Bitterzoet(先月のオランダでのライヴ)