photo: Eleanor Petry
PavementやSpoon、Interpolのフロント・アクトを経て、Matador移籍第1弾となるアルバム『Everyone's Crushed』をリリースしたNate AmosとRachel Brownによるブルックリンのデュオ、
Water From Your Eyes。可哀想な動物の視点から書かれた
アルバムをリリースしたかと思えば、EMINEMの「
Lose Yourself」を大真面目にカバーしたりと聴き手を常に混乱させてきた彼らだが、本作でも人を食ったようなその姿勢は貫かれている。
電子音がアラームのように鳴り響くリード・トラックの「Barley」はStingの「
Fields of Gold」から歌詞を拝借したものだし、タイトル曲では“
わたしは愛する人たちみんなと、傷つけるものすべてと一緒にいる”という一文が少しずつ形を変えながら繰り返され、ストリングスがしめやかに鳴り響く「14」で聴き手を感傷的にさせたかと思えば、“
ハッピーエンドなんてない/あるのは出来事だけ/わたしの製品を買って”と歌う「Buy My Product」で、突き放すようにアルバムは締めくくられるのだ。
しかしながら、社会的、個人的混乱の中で産み落とされたというこの『Everyone's Crushed』は、そんな彼らがノイズやシュールな言葉遊びの下に隠してきた核心が、意図せず表れた作品だと言えるかもしれない。全曲の歌詞とヴォーカルを担当し、以前は映画の編集の仕事をしていたというRachelならではのエディット感覚とユーモアが横溢するアルバムについて、演奏とプロデュースを手掛けるサウンド面での首謀者Nateが、その背景を1曲ずつ解説してくれた。