[REVIEW] Stella Donnelly - Beware of the Dogs

評価:
Secretly Canadian
(2019-03-08)

芝生の復讐

フジロックフェスティバルへの出演も決まっているオーストラリアのシンガー・ソングライター、Stella Donnelly。多くの人たちと同じように、彼女のことは2017年に本国でリリースされた「Boys Will Be Boys」という曲で知ったのだけれど、これまで積極的に取り上げてこなかったのには理由がある。正直に言って、この「Boys Will Be Boys」という曲が苦手、というか嫌いだったからだ。

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[REVIEW] Angelo De Augustine - Tomb

評価:
Asthmatic Kitty
(2019-01-11)

風のささやき

2017年の12月20日に、恋人から突然手紙で別れを告げられたカリフォルニアのシンガー・ソングライター、Angelo De Augustine。失意の中、クリスマスで賑やかな街をよそに5日間曲を書き続けた彼はその二ヶ月後、ニューヨークに住むピアニストでプロデューサーのThomas Bartlettを訪れ、同じく5日間でアルバムをレコーディングしている。こうして完成したのが、Sufjan StevensのレーベルAsthmatic Kittyからリリースされた、Angeloの初めてのスタジオ録音となる本作『Tomb』だ。
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[REVIEW] Dirty Projectors - Lamp Lit Prose



そこのみにて光輝く

大きく息を吸い込んだ後で、あの特徴的なギターに乗せてDave Longstrethが歌うと、トランペットが鳴り響き、The InternetのSydによるコーラスが飛び込んでくる──冒頭の「Right Now」を聴いただけでも、かつてのDirty Projectorsが帰ってきたことがわかるはずだ。

 胸の中には沈黙があったけど/今僕はバンドを演奏し始める
 彼らが焚き火を燃やしたから/ランプを灯すことができるんだ

レーベルの資料によれば“デヴィッド・リンチ監督の『ブルーベルベット』に対する『ストレイト・ストーリー』であり、ポール・トーマス・アンダーソン監督の『マグノリア』に対する『パンチドランク・ラヴ』”だというDirty Projectorsの新作『Lamp Lit Prose』は、ジャケットを飾る太極図を模したガラス細工のバンド・エンブレムが示すように、前作『Dirty Projectors』と陰と陽の関係になっている。
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[REVIEW] Father John Misty - God's Favorite Customer

評価:
OCTAVE/SUB POP
(2018-06-01)

失われた週末

神とは、僕らの苦痛を測るための概念に過ぎない──そんな風に歌うJohn Lennonの「God」という曲を、Father John MistyことJosh Tillmanは2015年のクリスマスに、ライヴでカバーしていた。ただし、Johnが“信じない”と歌った“ヒトラー”や“ジーザス”、“ケネディ”といったフレーズを、“オバマ”や“フェイスブック”、“スター・ウォーズ”に変えながら。

そしてFoxygenのJonathan Radoを共同プロデューサーに迎えた彼の新作もまた、妻であるヨーコと離れて“失われた週末”を過ごしていた、John Lennonのソロ時代の作品に通じるものだ。
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[REVIEW] Lucy Dacus - Historian

評価:
Matador
(2018-03-02)

羽ばたけ、自分

ノア・バームバック監督の映画『フランシス・ハ』で知られる女優、グレタ・ガーウィグ。カリフォルニアにあるカトリック系の高校を卒業し、単身ニューヨークの大学に通うことになった彼女の自伝的な初監督作『レディ・バード』を観ながら思い出したのは、先日リリースされた女性シンガー・ソングライター、Lucy Dacusの『Historian』に収録されている「Nonbeliever」という曲だ。
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[REVIEW] Yo La Tengo - There's A Riot Going On


Ashes of American Flags

マーティン・ルーサー・キングが暗殺され、公民権法が制定されてまだ間もない1971年に発表されたSly & The Family Stoneの『暴動』は当時のスライ自身の精神状態とアメリカ全体の社会状況を見事に反映してしまった、非常に重苦しい、陰鬱した雰囲気に覆われた稀代の作品だ。

LAなどの都市部を含め全米各地でまだ多くの混乱や人種間対立が残っていた頃の、図らずも時代と合わせ鏡になったそのアルバムの中盤に置かれた演奏時間0:00(=無音)の表題曲「There's A Riot Goin' On」には、スライ自身の「暴動よ静まれ」という願いが込められていたという(因みに"There's A Riot Goin' On"を正確に訳すとすると、「今まさに暴動がそこで起こっている」といった具合だろうか)。
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[REVIEW] Khruangbin - Con Todo El Mundo

評価:
Dead Oceans

(2018-02-02)

エキゾチック・オブスキュア・ライド

「こっちに来てからというものどうにも毎晩寝つきが悪い。やはり亜熱帯地方特有の湿気と気温のせいだろうか、ジトっとした汗が身体全体を覆っている。時刻は既に午前4時、一向に寝られないので、そこいらを散歩する事にした。バンコクやホーチミンに比べ、ここヴィエンチャン、特にその郊外に至ってはまだ都市としてのインフラが行き届いておらず、立ち並ぶ石造りのブティックや売店、飲食店の趣もどこか前時代的だ。薄紫色に染まりつつある寂れた市街地を彷徨い歩いていると、どこからともなくバンドの演奏が聞こえる。フラフラとした足取りで赴き、音のするいかにも場末のバーの木製の扉を開いてみると、得体の知れない3人組がその音楽を演奏していた。深夜から明け方にかけての、いつでもない時間に溶け込むようなその音楽――」
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[REVIEW] Panda Bear - A Day With The Homies



バック・トゥ・ザ・ヴァイナル

Animal Collectiveの中心メンバー、Panda BearことNoah Lennoxが2年半ぶりにリリースした5曲入りの最新EPは、アナログ盤のみ、ストリーミング・サービスなどでのデジタル配信を一切行わないという限られた形でのリリースだが、それだけの理由で聴かずにいるのは惜しい作品だ。
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[REVIEW] Moses Sumney - Aromanticism

評価:
Jagjaguwar
(2017-09-22)

愛していると言ってくれ

2013年にJames Blake「Lindisfarne」のカヴァーをネット上にアップし、翌年にはBeckが楽曲を書き下ろしたオムニバス作品『Song Reader』に参加、それ以降彼の才能のフックアップのされ方は(既に色んなところで読めるのでここでは割愛するが)少し尋常ではない。

カリフォルニア出身の黒人SSW、Moses Sumneyの正に満を持しての1stアルバムの楽曲たちは、そのジャケットからも伺えるように、「地に足がついていない」。確たるビートを持っていないそれらのサウンドの感触は言うなれば浮遊感のようなものだが、ありがちな柔らかいシンセの装飾や過剰な残響処理から得られるものとはまた別のものだ。

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[REVIEW] Alvvays - Antisocialites

評価:
Polyvinyl
(2017-09-06)

トロント、三丁目の夕日

建国100周年を記念して行われた67年のカナダ・モントリオール万博の映像アーカイヴを素材にして制作された、アルバムのリード曲「Dreams Tonite」のレトロフューチャーなMVは、彼らが考えるように(現在の視線からでも)クールでありながら同時にノスタルジックな空気が漂っている。
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