[INTERVIEW] (Sandy) Alex G


photo by Tonje Thielsen

グリム童話の「ヘンゼルとグレーテル」には、お菓子の家の魔女に捕まった兄のヘンゼルを救い出す、勇敢な妹のグレーテルが登場する。一方、フィラデルフィアのシンガー・ソングライター(Sandy)Alex Gの「Gretel」という曲で歌われているのは、魔女に兄を殺させ、お菓子を貪り続ける身勝手な少女だ。

Frank Oceanの『Blonde』と『Endless』でギターを弾いていたことで一躍脚光を浴びたAlexが間もなくリリースする新作『House of Sugar』のタイトルもまた「ヘンゼルとグレーテル」を思わせるものだが、一般的には“House of Candy”と英訳されることの多いお菓子の家の“Candy”を、彼が“Sugar”に変えた理由は何だったのだろう。

実は古くから砂糖の精製で有名だったフィラデルフィアには、砂糖工場を改築した“SugarHouse”というカジノがあり、そこに時々通ってはルーレットに興じていたAlexは、そのカジノにちなんだタイトルをつけたのだという。そしてフィラデルフィアに実在する通りから命名された「Hope」という曲では、こんな風に歌われている。

 彼は僕の親友だった/彼は死んだ/どうして今更そのことを書くんだ?
 彼にどうにか敬意を表するため/その晩泣いている人たちを見た
 そう、フェンタニルは僕らから幾つかの命を奪った


ドラッグを暗喩する“Sugar”やギャンブルなど、甘い誘惑や欲望に負けてしまう人たちを描いた寓話とも言える本作について、Alexが話してくれた。


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[INTERVIEW] Girlpool



9月に待望の初来日が決定した、Cleo TuckerとHarmony TividadによるLAの2人組Girlpool

Cleo Tuckerのトランスジェンダーとしてのカミングアウトと、ホルモン療法による歌声の変化を経ての最新作『What Chaos Is Imaginary』は、2人がニューヨークとフィラデルフィアで別々に暮らしていた時期に書かれた楽曲を、バンド編成で再録したものだった。

パンキッシュなCleoの楽曲を、ドリーミーなHarmonyの楽曲が包みこむような本作で生まれ変わった彼らだが、今回のツアーは結成当時を思わせる、2人だけのスペシャルな編成で行われるという。来日を控えたCleoとHarmonyに、メールでインタビューを試みた。

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[INTERVIEW] Jay Som



フジロックでのステージも好評だったMelina Duterteのソロ・プロジェクトJay Somが、サード・アルバムとなる『Anak Ko』を、8月21日に日本先行でリリースする。

母親の生まれたフィリピンのタガログ語で“わたしの子”を意味する本作には、アルバムは自分が生んだ子供のようなものだという、彼女の想いが込められているという。本人曰く“Alanis MorissetteミーツCocteau Twins”だという「Superbike」や、Steve Reichの「18人の音楽家のための音楽」に影響を受けたという「Devotion」など、新境地を開いた新作について、エピソードを交えながら語ってくれた。

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[INTERVIEW] Stella Donnelly


Ⓒ Taio Konishi

愛くるしいルックスと美しい歌声にパワフルなパフォーマンスで、フジロックフェスティバル'19、3日目のお昼のレッドマーキーを大いに沸かせたStella Donnelly

しかし、もしあなたがルックスだけで彼女を評価していたとしたら、それはナンセンスだ。満を持してリリースされたファーストアルバム『Beware of the Dogs』は、友人のレイプ被害の体験を基にし、#MeTooムーヴメントの代表曲として取り上げられる「Boys Will Be Boys」を始めとして、男女間の格差や故郷オーストラリアにおける人種差別など、彼女が世の中や社会に対して「これっておかしいんじゃない?」と思ったことを訴えかける内容になっている。

でも彼女は世界に絶望しているわけではない。くるくると表情を変え、笑いとユーモアを交えながらも冷静に自分自身の意見をはっきりと言う彼女に、音楽は世界を変えられるかもしれない、という希望が見えてくるだろう。

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[INTERVIEW] whenyoung



悪評高いというアイルランド第三の都市リムリックで音楽とともに育ち、出会ったAoife Power (Vocals/ Bass)、Niall Burns (Guitar)、Andrew Flood (Drums)の3人。彼らを結びつけたのは安いウォッカとThe Velvet Undergroundのサウンドだった。3人はともに音楽を始めダブリンへ、そしてさらなる野心のためロンドンへと移り、現在のwhenyoungとなったのだ。

そんな彼らがいよいよデビュー・アルバム『Reasons to Dream』をリリース。ジャケット写真の彼らは、薄暗いアパートの一室でベッドとロウソクを囲み、現実逃避的に見えるが、whenyoungの音楽性は非常に美しくポップで、思わずその旋律に乗せて一緒に歌詞を口ずさんでしまう。ロンドンに移り住んでからの彼らの経験をまとめたという本作について話を訊いてみた。

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[INTERVIEW] Bahamas



Andy Shaufに続いて、またしてもカナダからユニークな才能が来日する。Kacey Musgravesのオーストラリア〜ニュージーランド公演の前座にも抜擢されたBahamasは、Broken Social SceneのJason Collettや、Feistのサポートを務めてきたトロントのギタリスト、Afie Jurvanenによるソロ・プロジェクトだ。

Jack Johnsonのレーベルから作品をリリースしてきた彼の最新作『Earthrones』は、D'Angeloの『Black Messiah』にも参加していたベテラン・リズム・セクションのPino PalladinoとJames Gadsonを迎え、シンガー・ソングライター然とした過去作から一転、R&Bやジャズ・ファンクに接近した意欲作だった。

5月21、22日に大阪と東京で行われる来日公演を前に、Bahamasのファンだというシャムキャッツの菅原慎一からの質問を交えつつ、メールで話を聞いてみた。

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[INTERVIEW] Andy Shauf



僕と、親友のジェレミーと、その恋人のシェリー……とあるパーティーに集まった人々を描いた傑作アルバム『The Party』で一躍人気者になった、カナダのシンガー・ソングライターAndy Shauf。昨年はソロになる前から活動していたというバンド、Foxwarren名義でのアルバムをリリースした彼の初来日ツアーが、いよいよ来週からスタートする。

その作品に登場する愛すべきキャラクターたちは、一体どのように生まれたのだろう? というわけで今回は、既にアルバム1枚分の新曲を完成させているというAndyに、本邦初インタビューを試みた。

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[INTERVIEW] Kevin Morby


photo by Barrett Emke

「僕の頭上を、26、49、58人の死者が飛んでいる」

Kevin Morbyの新作『Oh My God』に収録された「OMG Rock n Roll」の歌詞に登場するこの数字は、それぞれテキサス、フロリダ、ラスベガスの銃乱射事件で亡くなった犠牲者たちの数を表している。軽快なロックンロール調のこの曲は、後半で突然賛美歌のようなコーラス・パートに切り替わるが、それは音楽に溢れた普段の生活が、一瞬で終わってしまう可能性を示唆しているのだという。

ツアーの移動中、飛行機に乗って過ごすことの多かったKevinが、ずっと晴れた雲の上の静けさと、嵐が渦巻いているかもしれないその下の世界に想いを馳せながら曲を書いたというこのアルバムは、常に宗教とは距離を置いてきた彼が作った、宗教的な作品だ。

MitskiやGrizzly Bearのミュージック・ビデオで知られるChristopher Goodが全曲を映像化し、Fleet FoxesのRobin PecknoldやHand HabitsことMeg Duffyも参加したこのアルバムについて、故郷のカンサスで暮らすKevinにメールで話を聞いてみた。

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[INTERVIEW] Aldous Harding



PJ Harvey作品で知られるJohn Parishがプロデュースを手掛け、Perfume GeniusことMike Hadreasとのデュエットも収録した前作『Party』がRough Trade Shopの年間ベスト・アルバムに選ばれ、一躍脚光を浴びたニュージーランド出身のAldous Harding。


そんな彼女が再びJohn Parishとタッグを組み、Queenの「Bohemian Rhapsody」など数々の名曲を生んだウェールズのロックフィールド・スタジオで録音した新作『Designer』が、前作に続いて4ADからリリースされた。

ダークでフォーキーな楽曲と、毎回観る者を不安にさせるミュージック・ビデオも話題の彼女。新作と『Party』の日本リリース、そして12月の来日公演を記念して、謎に包まれたその生い立ちや、ニュージーランドのシーンについて話を聞いてみた。

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[INTERVIEW] Connan Mockasin



昨年のフジロックフェスティバルで、Mac DeMarcoとMGMTのステージに登場し話題を呼んだブロンド・ヘアーの謎の男、Connan Mockasin。Charlotte GainsbourgやJames Blakeとも一緒にツアーするなど、神出鬼没の活動を続けるこの男が、OGRE YOU ASSHOLE主催のイベントに出演するため、バンド編成での初来日を果たす。

それを記念して、会場ではライナーノーツとコナン本人手描きによる絵コンテ、ダウンロード・ボーナストラックが付いた最新作『Jassbusters』の特別仕様盤CDも限定販売。というわけで今回は、昨年Connanが日本滞在中に行ったインタビューを公開しよう。

教師と教え子の禁断の愛を描いた5話構成のドラマ『Bostyn 'n Dobsyn』の兄弟アルバムとして制作されたという本作。あなたもぜひ、キャラメルのように溶けるギター・サウンドの快楽に溺れてみてほしい。


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