[INTERVIEW] Pinegrove



ニュージャージーのロック・バンド、PinegroveがRough Tradeからリリースするニュー・アルバム『Marigold』のリード・トラックだった「Moment」では、ドライブの帰り道で動物を跳ねてしまい、狼狽する主人公の姿が歌われている。そしてアルバムの実質的なラスト曲である「Neighbor」に登場するのは、裏返っても立ち直ろうとする小さな昆虫や、家の前で車に轢かれてしまうフクロネズミ、冬越えをする途中で猟師に撃たれてしまう渡り鳥といった、愛すべき隣人たちだ。

奪う者と奪われる者、両方の視点から描かれた本作。バンドを取り巻く環境は変わったが、女性メンバーのNandi Plunkettのコーラスも、メンバーの父親が弾くペダル・スチールの優しい音色も、変わらずそこにある。黄色と青のモザイク模様のアートワークは、青の時代とも言える前作『Skylight』から、Pinegroveの原点であり、黄色いジャケットに包まれた初期音源集『Everything So Far』に回帰しようとしているかのようだ。

彼らのひとつのサイクルの終わりでもあり、始まりでもあるこのアルバムについて、フロントマンのEvan Stephens Hallが語ってくれた。


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[INTERVIEW] Peter BroderickとTom Lee、Arthur Russellを語る



「多くの作品に見られる、フィナル・ミックスに対するラッセルの消極性は、どことなく美しさを感じさせるものである。演奏、収録、そしてミキシングは可能性の過程であり、すべての道程は抗い難い誘惑を伴っていたためにファイナル・ヴァージョンを決定するという作業──その曲が静止し、故にある種の死を経験する瞬間──はしばしば堪え難いほどに辛いものだった」(ティム・ローレンス著『アーサー・ラッセル ニューヨーク、音楽、その大いなる冒険』より)

ニューヨークを拠点に、現代音楽とニューウェーヴ、ディスコやカントリーを股に掛けた活動を続けたチェロ奏者のArthur Russell。しかしそんな気質が災いしたのか、1992年にエイズでこの世を去った後、彼の部屋には生前リリースされることのなかった、膨大な量のデモ・テープが遺されることになった。その未発表音源は、Tommy BoyのスタッフだったSteve Knutsonが設立したAudika Recordsによって管理され、これまで数作の発掘音源集としてリリースされてきたが、この度その音源の調査と修復を依頼されることになったのが、Arthur Russellの大ファンを自認するヴァイオリン奏者/シンガー・ソングライターのPeter Broderickだ。

それに先駆け、今年の1月にはPeterがArthurの楽曲をカバーした『Peter Broderick & Friends Play Arthur Russell』もリリースされたが、そこでいち早く取り上げられていた「Words Of Love」と「You Are My Love」の2曲を含む新たな未発表曲集『Iowa Dream』が、ここ日本でもリリースされることになった。そんなArthurについて、かつて彼のアルバム『World Of Echo』をリリースしたRough TradeのGeoff Travisはこう語る。

「繰り返し完成を先延ばしすることで、アーサーはいつの日か主流アーティストの仲間入りをする夢を抱き続けることができたのだろう」(同上)

Arthur Russellが抱き続けた夢とは、一体どんなものだったのだろう。『Iowa Dream』の音源の修復、編集とミックスを手掛けたPeterと、Arthurの生前最後のパートナーだったTom Leeが、プロジェクトについて語ってくれた。


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[INTERVIEW] Angel Olsen

photo by Cameron McCool

今から数年前、ミュージシャンとしての駆け出し時代を過ごしたシカゴから、恋人を追ってノースカロライナ州アッシュビルへとやってきたAngel Olsen

作家のトーマス・ウルフが生まれ、スコット・フィッツジェラルドの妻であるゼルダが入院したハイランド病院があるこの土地をAngelはいたく気に入っていたが、そんな彼女は前作『My Woman』のリリース後に“ほとんど離婚に近い状態だった”という別れを経験し、その経験をもとに完成したのが、最新作となる『All Mirrors』だ。

本作は当初簡素な弾き語りバージョンと、オーケストラをフィーチャーしたバージョンが対になった2枚組としてリリースされる予定だったが、Angel本人の意向から、まずはオーケストラ・バージョンのみがリリースされることになった。アルバムのオープニングを飾るのは、“まるで家が燃えているように聴こえる”というストリングスで始まる、壮大な「Lark」。この曲で幕を開けることで、本作は聴き手に、エンドシーンから始まる映画のような印象を与えてくれる。

そんなAngelはアッシュビルに留まり、昨年念願の一軒家を構えることになったが、彼女が住むことに決めたのは長年憧れていた瀟洒な豪邸ではなく、その向かいにある、慎ましやかな家だったという。それは鏡に映る自分と、本当の自分を対比したような本作のタイトルとも、奇妙に重なっていたのではないだろうか。すでに様々なメディアの年間ベストにも軒並み選出されているアルバムについて、電話で語ってくれた。

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[INTERVIEW] Metronomy


photo by Shinya Aizawa

新作『Metronomy Forever』を携え、サマーソニック'14以来5年ぶりの来日となったMetronomyの東京公演は、新旧譜から余すことなく演奏し、ライブ・バンドとしての彼らの集大成を見せた一夜だった。

新作のオープニング・ソングであるキラキラとした「Wedding」で幕を開け、同作からのファースト・シングル「Lately」に続いてバンドの代表曲である「The Bay」の美しいキーボードのイントロが始まると、観客席はダンスフロアへと変わった。途中、フロントマンのJoseph MountがMCで「日本の郊外にも行ってみたい、郊外や田舎の音を再現しよう」と呼びかけると、観客からは動物の鳴き真似が飛び交かい、ほんわかするような場面も。全員でパッと上を向いて宇宙と交信でもしているかのような(お揃いのジャンプスーツは宇宙服に見えなくもない)ダイナミックなシーンもあった。

ライブの後半ではキャッチーな「The Look」、叙情的な「Love Letters」といった彼らの代表曲の連発に、特に昔からのファンは、各々の当時の思い出と一緒にシンガロングしただろう。最後は“R.A.D.I.O. L.A.D.I.O.”と合唱の嵐。Metronomyよ、永遠に――と、バンドがステージを去った後も拍手が鳴り止まなかった。

そのライブ前、前作『Summer 08』から3年ぶりの新作について、Josephが語ってくれた。


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[INTERVIEW] Richard Reed Parry


photo by Susan Moss

その始まりは、2008年にまでさかのぼる。Arcade Fireのジャパン・ツアーの後、日本滞在を延長したメンバーのRichard Reed Parryは、訪れた寺院のそばの森で、彼が17歳の時に亡くなった父親のフォーク・グループ、The Friends of Fiddler's Greenによく似た音楽を聴いたのだ。

その時の印象や、日本滞在中に偶然知ったという賽の河原の言い伝えをもとにスタートしたのが、彼のソロ・プロジェクトであるQuiet River Of Dust。昨年から今年にかけてリリースされた2枚のアルバムは、The NationalのDessner兄弟やNico Muhlyといったゲストが多数参加した、一大音楽絵巻になっている。

今月の27日(火)と28日(水)、チボ・マットの本田ゆかや、パートナーであるLittle ScreamことLaurel Sprengelmeyerを従えて来日公演を行うRichardに、プロジェクトの発端について聞いてみた。

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[INTERVIEW] Ruth Garbus



10年代にリリースされた数あるアルバムのなかでも隠れた名盤と呼ぶにふさわしいのが、Ruth Garbusの『Rendezvous with Rama』だ。フリー・フォーク・バンドFeathersや、King TuffことKyle ThomasやChris Weismanとのバンド、Happy Birthdayでの活動でも知られる彼女が2010年にリリースしたこのアルバムは、ミュージシャン仲間であるChris CohenやFleet FoxesのRobin Pecknoldらによって、秘かに愛聴されてきた。

そんな彼女が先日リリースしたのが、実に9年ぶりのニュー・アルバムとなる『Kleinmeister』。アヴァン・ジャズ・サックス奏者のTravis Laplanteとシンガー・ソングライターのRyan Powerを共同プロデューサーに迎えたこのアルバムについて、Ruthが姉であるTune-YardsのMerrill Garbusや、地元のバーモント州ブラトルボロへの想いを交えながら語ってくれた。

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[INTERVIEW] Devendra Banhart



2017年のムック『Folk Roots, New Routes フォークのルーツへ、新しいルートで』で、敬愛する細野晴臣との対談を果たしたDevendra Banhart。京都でレコーディングを始めたという彼の3年ぶりの新作『Ma』は、そんな細野さんへのオマージュでもある「Kantori Ongaku」ほか、日本語や英語、スペイン語、ポルトガル語が入り混じった、アダルト・オリエンテッドな作品になっている。

かつては数々の迷言・奇行でインタビュアーを煙に巻いてきたDevendraだが、今回はいつになくシリアス。身近な人たちの死や、母国ヴェネズエラの窮状について歌ったもっともパーソナルな作品だというニュー・アルバムについて、はぐらかさずに語ってくれた。

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[INTERVIEW] Big Thief


photo by Dustin Condren

4ADからリリースされ絶賛された前作『U.F.O.F.』からわずか半年足らずで、早くも今年2枚目となる新作『Two Hands』をリリースする4人組ロック・バンドBig Thief。ライブでも演奏されていない実験的な曲が多かった前作と比べると、既にライブで定番となっている曲を数多く収録した『Two Hands』は、極限まで無駄を削ぎ落とした、バンド本来の演奏が聴ける作品となっている。

そんなBig Thiefの核となっているのは、両親と共にインディアナ州のカルト集団から脱退し、15歳の時にシンガー・ソングライターとしてデビューしたというヴォーカル&ギターのAdrianne Lenkerが持つ、圧倒的なカリスマ性だ。しかし同時に、「彼女たちを見ていると、あの4人以外の誰かは必要じゃないような気がしてくる」とboygeniusのLucy Dacusが語るように、メンバーからはまるで血の繋がった家族のような、強い絆が感じられる。

新作のリリースにあたってバンドにインタビューする機会を得たのだが、Adrianneには雑誌『ミュージック・マガジン』の5月号でその生い立ちについて語ってもらったこともあり、今回はMega Bogの傑作『Dolphine』にも参加していた、ドラマーのJames Krivcheniaを指名。“天上と地上の双子”だという2枚のアルバムが出来るまでについて、エンジニアでもある彼ならではの視点で語ってくれた。


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[INTERVIEW] Velvet Crush



23年ぶりにオリジナル・メンバーでの活動を再開し、10月には東京・大阪でのライブも決定しているVelvet Crush

80年代からレコードを自主制作し、ファン主導による来日公演を行うなどDIYな活動を行ってきた彼らの、ノイジーなギター・サウンドと瑞々しいメロディーが融合した名曲の数々は、今も多くのポップ・ファンに愛されている。

来日公演を前にメールでインタビューに答えてくれたのは、ヴォーカル/ベースのPaul Chastain。バンドの現状報告から、96年のJeffrey Underhillの脱退の経緯、故Tommy Keeneの話など、いろいろな話を聞かせてくれた。

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[INTERVIEW] (Sandy) Alex G


photo by Tonje Thielsen

グリム童話の「ヘンゼルとグレーテル」には、お菓子の家の魔女に捕まった兄のヘンゼルを救い出す、勇敢な妹のグレーテルが登場する。一方、フィラデルフィアのシンガー・ソングライター(Sandy)Alex Gの「Gretel」という曲で歌われているのは、魔女に兄を殺させ、お菓子を貪り続ける身勝手な少女だ。

Frank Oceanの『Blonde』と『Endless』でギターを弾いていたことで一躍脚光を浴びたAlexが間もなくリリースする新作『House of Sugar』のタイトルもまた「ヘンゼルとグレーテル」を思わせるものだが、一般的には“House of Candy”と英訳されることの多いお菓子の家の“Candy”を、彼が“Sugar”に変えた理由は何だったのだろう。

実は古くから砂糖の精製で有名だったフィラデルフィアには、砂糖工場を改築した“SugarHouse”というカジノがあり、そこに時々通ってはルーレットに興じていたAlexは、そのカジノにちなんだタイトルをつけたのだという。そしてフィラデルフィアに実在する通りから命名された「Hope」という曲では、こんな風に歌われている。

 彼は僕の親友だった/彼は死んだ/どうして今更そのことを書くんだ?
 彼にどうにか敬意を表するため/その晩泣いている人たちを見た
 そう、フェンタニルは僕らから幾つかの命を奪った


ドラッグを暗喩する“Sugar”やギャンブルなど、甘い誘惑や欲望に負けてしまう人たちを描いた寓話とも言える本作について、Alexが話してくれた。


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