[INTERVIEW] Soko


photo by Miriam Marlene

女優としても活躍するフランス出身のシンガー・ソングライターSokoが、長男の出産という人生の一大イベントを経て、5年ぶりのニュー・アルバムとなる『Feel Feelings』をリリースした。

新型コロナウイルスの蔓延や黒人差別への抗議活動の拡がりを踏まえて、この時期に新作をリリースすることを躊躇していたという彼女だが、Arthur Russellの曲から歌詞を引用し、“悲しくなるのは罪じゃない”と歌う「Being Sad Is Not A Crime」や、“その涙越しにあなたの笑顔を見たい/雨の中の太陽をもう一度”とクィアであることの歓びを高らかに歌う「Oh, To Be A Rainbow!」などを収録した本作は、今こそ聴かれるべき作品だろう。

虹色の人生を送るSokoが、Nick Caveとの出会いや、スパイク・ジョーンズ監督の映画『her/世界でひとつの彼女』の撮影秘話などを、たっぷりと話してくれた。

Continue Reading

[INTERVIEW] The Beths


photo:Amanda Cheng

2018年、ニュージーランドの自然豊かな美しい街、オークランドからデビュー・アルバム『Future Me Hates Me』で世界に飛び出していったThe Beths。彼らの2枚目となる新作、『Jump Rope Gazers』がリリースされた。

有名音楽メディアから絶賛され、北米やヨーロッパを横断して一気に有名になった彼らだが、本作に収録の「Dying To Believe」で“会話をできないなんて残念”と歌うように、成功と引き換えに故郷と地元にいる大切な人から離れなくてはならないことに苦悩と葛藤があったそうで、今作ではその長いツアーでの不安やネガティブな感情と経験が歌われているという。しかし、身体を揺らしたくなるようなキャッチーなギター・サウンドと、バンドの中心であるElizabethの美しい歌声にパワフルなバック・コーラスが重なり、世界を回った彼らの自信と成長も感じさせる作品となっている。

昨今のコロナ禍で世界を回れない状況になっても、彼らは4回に渡って“The Beths TV”と名付けた自宅やスタジオからのホーム・セッションを開催し、今度は離れた場所にいるファンと繋がる努力をしていたようだ。また、同時にこのセッションで人権擁護の団体への寄付を呼びかけている。

さて、Elizabeth Stokes(Vo.)と Jonathan Pearce(G.)に新作にまつわる話や、すでにコロナ・ウイルスの抑え込みに成功したというニュージーランドの今の状況等を電話で伺った。

Continue Reading

[INTERVIEW] Christian Lee Hutson



モリッシーの擁護者。アマチュア心理学者。連続的単婚主義者──そんな高校時代の悪友たちが離ればなれになり、やがて新聞で仲間の事故死を知るという歌詞が胸を打つ「Northsiders」を収録した本作は、昨年のPhoebe Bridgersの来日公演にも帯同していたシンガー・ソングライター、Christian Lee HutsonのAnti-移籍第1弾だ。

プロデュースもPhoebeが手掛け、彼女やPerfume Geniusの新作と同じロサンゼルスのSound City録音ということで、Conor OberstやEthan Gruska、Lucy Dacusといった周辺人脈が総出でサポートしたこのアルバムについて、Christianがメールで答えてくれた。

Continue Reading

[INTERVIEW] Blake Mills



ロサンゼルスで活動するミュージシャン、Blake MillsことBlake Simon Millsは、同じ高校に通っていたTaylor Dawes Goldsmithと一緒にSimon Dawesというバンドを結成し、19歳の時にファースト・アルバム『Carnivore』をリリースしている。そのレコーディングでベテラン・プロデューサーのTony Bergや、のちにGrizzly BearやThe War On Drugsを手掛けるエンジニアのShawn Everettと出会ったのが、彼の運命を変えることになったのかもしれない。

ほどなくしてバンドを脱退したBlakeは、名刺代わりのつもりだったというソロ・アルバム『Break Mirrors』を2010年にリリースすると、Tony Berg同様、プロデューサー兼セッション・ギタリストとしての道を歩んでいくことになる。その後2015年にリリースされたAlabama Shakesの『Sound & Color』、2016年のJohn Legend『Darkness And Light』という2枚のアルバムでグラミー賞のプロデューサー・オブ・ザ・イヤーにノミネートされ、名実共にトップ・プロデューサーの仲間入りを果たした彼が、先日4作目のソロ・アルバム『Mutable Set』をリリースした。

そんなBlake Millsとは、一体どんな人物なのだろう。残念ながらインタビュー後に参加が判明したBob Dylanの新作『Rough and Rowdy Ways』について聞くことはできなかったが、ギタリストとしてもWeyes BloodやPhoebe Bridgersといった近年の重要作に参加している彼の、貴重なインタビューをお届けしよう。

Continue Reading

[INTERVIEW] Braids



カナダのアート・ロック・バンド、Braidsのフロント・ウーマンであるRaphaelle Standell-Prestonは、バンドのファンでもあるChvrchsのLauren MayberryやEmpress OfことLorely Rodriguezと並んで、音楽界の女性蔑視と闘い、声を上げ続けた来たひとりだ。

前作『Deep In The Iris』に収録されていた「Mini Skirt」は、そんな女性たちにとってのアンセムになったが、その一方で白人である彼女たちが、意図せずして不公平や差別に加担しているのかもしれないという疑念は、バンドの基盤を根底から揺るがすことになる。

そんな彼女たちを救ったのは、偶然モントリオールに引っ越して来てメンバーの運営するスタジオを借りることになった元Death Cab For CutieのChris Wallaによる、こんな言葉だったという。

「怒ったっていいんだ。君がそうするべきだと感じたなら、避けなくたっていいんだよ」

こうして完成したのが、Chris Wallaを共同プロデューサーに迎えた5年ぶりの新作『Shadow Offering』であり、そのリード・シングルとなった、9分間にも及ぶ大作「Snow Angel」だ。過去のトラウマや気候変動、人種差別といった問題、そしてそれに加担してしまうことの罪悪感を吐き出すように歌ったこの曲で、彼らはファースト・アルバム以来真剣にギターという楽器と向かい合い、バンドを解体/再構築している。

そんな「Snow Angel」の日本語対訳付ミュージック・ビデオが公開されたので、アルバムについてのメンバー3人のインタビューを読みながら、ぜひその音楽と言葉に耳を傾けてほしい。


Continue Reading

[INTERVIEW] Muzz



今年の3月、詳細不明のままSoundcloudにアップされたMuzzというグループの「Bad Feeling」。その憂いを秘めた歌声と楽曲に様々な憶測が飛び交ったが、その正体はInterpolのPaul Banks、元The WalkmenのドラマーMatt Barrick、そしてBonny Light Horsemanのメンバーであり、The NationalやThe War On Drugs作品への参加でも知られるマルチ・プレイヤー、Josh Kaufmanによるスーパーグループだった。

今回のインタビューにあたって、残念ながらヴォーカリストであるPaul Banksは都合がつかなかったが、一昨年Fleet Foxesのドラマーとして来日し、今年リリースされたReal Estateの新作にも参加していたMatt Barrickを指名。3人の関係性や、全員が公平にソングライティングに関わったというファースト・アルバムの制作秘話を明かしてくれた。

Continue Reading

[INTERVIEW] Phoebe Bridgers



2017年のアルバム『Stranger in the Alps』でのデビュー以来、Julien BakerやLucy Dacusとのboygenius、Bright EyesのConor OberstとのBetter Oblivion Community Centerといったプロジェクトを通じて、広くその名を知られることになったロサンゼルスのシンガー・ソングライター、Phoebe Bridgers。そんな彼女の3年ぶりのアルバムとなる『Punisher』からのリード・シングルだった「Garden Song」では、こんな風に歌われている。

 わたしはここで育った/すべてが火に包まれるまで/ドアの外枠と切れ込みを残して

先日公開された『New Yorker』のインタビューによれば、Phoebeが20歳の時に両親が離婚し、その一年前、彼女の住んでいたロサンゼルスのパサディナの家が、実際に火事に遭ったのだという。チープなVHS風のビデオも話題になった彼女の「Kyoto」という曲は、来日公演で日本滞在中に、父親から電話がかかってきた時のことを歌った曲だ。

アルバムのラストに収められた「I Know The End」では、前述したJulien BakerとLucy Dacus、Conor Oberstの3人に加えて、Blake MillsやYeah Yeah YeahsのNick Zinnerらが参加し、ホーンの狂騒と絶叫の中、盛大なフィナーレを迎える。それは物語の終わりなのかもしれないし、呪われた家に火をつけ、その焼け跡に薔薇を育てる、新しい物語の始まりなのかもしれない。

アルバムに文章を寄せた作家のカルメン・マリア・マチャドについてインタビュー中にPhoebeが語った言葉は、そのまま彼女の音楽にもあてはまるだろう。ある意味トラウマになるような体験。確実に変な作品で、ちょっと不気味な感じではあるけれど、部分によってはかなり笑えるところもある。そして彼女は心を蝕むような、あまり良くない恋愛関係を、美しく表現していく。

The 1975やHayley Williams、Fiona Appleとの共演を経て、ミレニアル世代を代表するアイコンとなった彼女からの、最新の声をお届けしよう。


Continue Reading

[INTERVIEW] Devon Williams



日々の生活のなかの、ちいさな綻び。それは晴天の霹靂か、それとも擦り切れた、布の裂け目か──今年の秋に惜しまれつつも移転するAmoeba Recordsハリウッド店のスタッフでもあったDevon Williamsの6年ぶりの新作『A Tear In The Fabric』は、彼の父親の死と、娘の誕生という出来事を挟んで完成したアルバムだ。

それは同時に、家族を育てながら、音楽を続けることの難しさについても歌っている。80年代ニューウェーヴ/ネオ・アコースティックなサウンドに、DestroyerのメンバーでもあるJoseph Shabasonのサックスと、Ted Boisのピアノが色を添える本作について、Devonがメールで答えてくれた。

Continue Reading

[INTERVIEW] Perfume Genius


photo by Camille Vivier

僕の人生の半分は過ぎ去った──そんなフレーズで始まるPerfume GeniusことMike Hadreasの新作『Set My Heart On Fire Immediately』は、2017年の前作『No Shape』、シアトルのダンス・カンパニーのために書き下ろした昨年の『The Sun Still Burns Here』に続いて、三たびプロデューサー/ギタリストのBlake Millsとタッグを組んだ作品だ。

それは病弱で孤独だった青年が、ダンスを通じて自分の身体と心の繋がりを取り戻し、同時に他者との繋がりを見つけるまでの物語でもある。空を舞うような「Without You」から、地を這うような「Your Body Changes Everything」まで。過去の自分に火を点けて燃やし、1曲ごとに新しい自分に生まれ変わるような本作について、Mikeが語ってくれた。


Continue Reading

[INTERVIEW] Car Seat Headrest



Car Seat Headrestは、まだ学生だった2010年頃から、車のバックシートで録音した音源をbandcampに大量にアップし始めたヴァージニア州出身の青年、Will Toledoによるプロジェクトだ。

大学卒業後にシアトルに引っ越した彼は、名門インディー・レーベルのMatadorと契約。バンド・メンバーを集めてツアーをスタートさせると、2015年の『Teens Of Style』と2016年の『Teens Of Denial』で、一躍シーンの寵児となる。

そんな彼らが過去作をリメイクした2018年の『Twin Fantasy』に続いてリリースする最新作『Making A Door Less Open』は、ツアー中にWillがドラマーのAndrew Katzと始めた別プロジェクト、1 Trait Dangerから発展したものだという。

普段からあまりメディアに登場せず、インタビュー嫌いな印象もあるWillだが、本作におけるペルソナであり、ガスマスクにオレンジの蛍光服姿のTraitというキャラクターに扮した彼は、アルバムについて思いのほか饒舌に語ってくれた。


Continue Reading